感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の施行について

平成11年3月19日 健医発第452号・生衛発第434号
各都道府県知事・各政令市長・各特別区長宛 厚生省
保健医療・生活衛生局長連名通知

 

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年10月2日法律第114号)、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年12月28日政令第420号)及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年12月28日厚生省令第99号)の施行については、平成10年10月20日厚生省発健医第346号・10畜A第2227号により厚生事務次官及び農林水産事務次官から通知されたところによるほか、下記の事項に留意の上、適切に処理されたい。
 なお、この通知においては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律を「法」と、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令を「令」と、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則を「規則」とそれぞれ略称するほか、第2の3、第5の2、同4及び同5を除き、保健所を設置する市又は特別区にあっては、「都道府県知事」とあるのは「市長」又は「区長」と、「都道府県」とあるのは「市」又は「区」と読み替えるものとする。

 

第1 感染症類型等

  1. 四類感染症
     アメーバ赤痢、咽頭結膜熱等の別表第1に掲げる59疾病としたこと。このうち、法第12条の届出の対象となるオウム病はクラミジア肺炎に含まれるものとすること。(規則第1条関係)

  2. ニ類感染症の疑似症適用
     疑似症を呈している者(症状はあっても、病原体による診断がなされていない者)について、当該感染症の患者とみなして法を適用すべき感染症は、鑑別疾患の有無及び国民の抗体保有状況を踏まえて、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス及びパラチフスとすること。(令第1条関係)

  3. 特定感染症予防指針を作成する感染症
     特定感染症予防指針を作成する感染症は、インフルエンザ、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジローム、梅毒及び淋菌感染症とすること。(規則第2条関係)
     このうち、性器クラミジア感染症以下の5疾病については、性感染症対策の観点から一括して指針を作成することとしていること。


第2 感染症に関する情報の収集及び公表

  1. 医師の届出
    (1)  医師が法に基づく届出をすることを要しない場合は、診断した患者及び当該感染症について法に基づく届出が既になされていることを知っている場合とする。(規則第3条関係)
    (2)  一類感染症の患者、ニ類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者及び法第53条の政令で定める新感染症の患者にかかっていると疑われる者についての届出事項は、氏名、年齢、性別のほか以下のとおりとすること。(規則第4条第1項関係)
     当該者の職業及び住所
     当該者が成年に達していない場合にあっては、その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)。
     感染症の名称及び当該者の症状
     診断方法
     当該者の所在地
     初診年月日及び診断年月日
     病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者にあっては、発病したと推定される年月日を含む。)
     病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域(又はこれらとして推定されるもの)
     診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
     その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項
    (3) 新感染症にかかっていると疑われる者についての届出事項は、氏名、年齢、性別のほか、以下のとおりとすること。(規則第4条第2項関係)
     当該者の職業及び住所
     当該者が成年に達していない場合にあっては、その保護者
     新感染症と疑われる所見
     診断方法
     当該者の所在地
     初診年月日及び診断年月日
     病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者にあっては、発病したと推定される年月日を含む。)
     病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域(又はこれらとして推定されるもの)
     診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
     その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項
    (4)  法第12条第1項に基づいてその患者については届出をすべき四類感染症(以下「全数届出の四類感染症」という。)は、国内における発生数が比較的少なく、全数を把握する必要があるアメーバ赤痢、エキノコックス症等の別表第2に掲げる30疾病とすること。(規則第4条第3項関係)
    (5)  全数届出の四類感染症の患者及び梅毒及び後天性免疫不全症候群の無症状病原体保有者についての届出事項は、患者の年齢、性別のほか、以下のとおりとすること。(規則第4条第4項関係)
     感染症の名称及び当該者の症状
     診断方法
     初診年月日及び診断年月日
     病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者にあっては、発病したと推定される年月日を含む。)
     病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域(又はこれらとして推定されるもの)
     診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
    (6)  都道府県知事は、全数届出の四類感染症について法第12条第1項による届出を受けた場合には、7日以内に報告すべきこととすること。(規則第4条第5項関係)
    (7)  法第12条による届出を、当該感染症で死亡した者について行う場合については、(1)から(6)までを準用すること。(規則第4条第6項関係)


  2. 獣医師の届出
    (1)  法第13条第1項に基づく届出をすべき感染症は、エボラ出血熱及びマールブルグ病とし、届出をすべき動物は、それぞれの感染症について、サルとすること。(令第2条関係)
    (2)  エボラ出血熱及びマールブルグ病にかかったサルについての届出事項は、当該動物の所有者(所有者以外の者が管理する場合においては、その者。以下同じ。)の氏名のほか、以下のとおりとすること。(規則第5条関係)
     動物の種類
     動物の所有者
     感染症の名称
     動物の所在地

  3. 指定届出機関の届出
    (1)  法第14条第1項に基づく届出をすべき感染症(以下「定点把握の感染症」という。)は、以下の(1)から(5)までの指定区分のうち、指定届出機関ごとに都道府県知事が指定する区分に掲げる感染症とすること。(規則第6条関係)
     咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎等12疾病
     インフルエンザ
     急性出血性結膜炎及び流行性角結膜炎
     性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症等4疾病
     急性脳炎(日本脳炎を除く。)、クラミジア肺炎(オウム病を除く。)等9疾病
    (2)  指定届出機関の指定は、地域における感染症にかかる医療を提供する体制、保健所の設置の状況、人口等に社会的条件、地理的条件等の自然的条件その他の地域の実情を勘案して行うものとすること。
    (3) 指定届出機関の指定は、(1)のアからオまでの指定区分に応じ、原則としてそれぞれ以下の病院又は診療所のうち適当と認めるものについて行うものとすること。
     診療科名中に小児科を含む病院又は診療所
     診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所
     診療科名中に眼科を含む病院又は診療所
     診療科名中に産婦人科若しくは産科若しくは婦人科、性病科又は泌尿器科若しくは皮膚科若しくは皮膚泌尿器科を含む病院又は診療所
     患者を300人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び外科を含むもの
    (4)  指定届出機関は、定点把握の感染症のうち(1)のエに掲げるもの又は(1)のオに掲げるもののうちペニシリン耐性肺炎球菌感染症等3疾病については、毎月の初日に、それ以外の定点把握の感染症については、毎週月曜日に届出を行うものとすること。(規則第7条関係)
    (5)  定点把握の感染症について届け出るべき事項は、患者の性別及び年齢の他、(1)のオに掲げる感染症については、原因となった病原体の名称及びその識別のために行った検査の方法とすること。
    (6)  都道府県知事は、(4)による届出を受けた後7日以内に厚生大臣に届出の内容を報告するものとすること。

  4. 感染症の発生の状況、動向及び原因の調査(積極的疫学調査)
    (1)  法第15条に基づく質問又は必要な調査を行う当該職員の身分証明書を定めたこと。(規則第8条及び別記様式第一関係)
    (2)  法第15条に基づく質問又は必要な調査の結果について、都道府県知事が厚生大臣に報告を行うものは、感染原因等、感染症のまん延の状況その他の事情を考慮して重要と認めるものについて行うものとすること。(規則第9条関係)


第3 健康診断、就業制限及び入院

  1. 健康診断
    (1)  健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を行う場合の通知事項は、以下のとおりとすること。(規則第10条関係)
     健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施する理由
     健康診断の勧告をする場合にあっては、健康診断を受け、又は受けさせるべき期限
     健康診断の措置を実施する場合にあっては、健康診断を行う日時、場所及びその方法
     健康診断の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に健康診断の措置を実施する旨
     その他必要と認める事項
    (2)  健康診断の通知を行うに当たっては、(1)のほか、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第57条に基づく教示をあわせて行うことが必要であること。また、各都道府県の独自の判断により、健康診断が必要とされる状況に応じて、(1)のオに基づき、健康診断を受ける者の理解をできるだけ得て実施できるように必要な事項を通知することが望ましい。

  2. 就業制限
    (1)  就業制限を通知する際の事項は、以下のとおりとすること。(規則第11条第1項関係)
     一類感染症の患者、ニ類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者と診断した医師から都道府県知事への届出の内容のうち、感染症の名称、当該者の症状、診断方法、初診年月日及び診断年月日
     就業制限及びその期間に関する事項
     就業制限に違反した場合に罰金に処される旨
     就業制限の適用を受けている者が、都道府県知事に対して就業制限の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる旨
     その他必要と認める事項
     このうち、イについては、就業してはならない業務の範囲及び就業制限が終了する要件が含まれること。また、健康診断の通知と同様、通知事項のオの有効な活用が望ましいこと。
    (2)  就業制限の対象となる職種は、以下のとおりとすること。(規則第11条第2項関係)
     一類感染症、ニ類感染症及び三類感染症の全ての感染症について、飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務
     接触感染がありうるエボラ出血熱等の4疾病について、他者の身体に直接接触する業務
     飛沫感染がありうるジフテリア及びペストについて、多数の者に接触する業務
    (3)  就業制限の期間は、当該感染症について、その病原体を保有しなくなるまでの期間とすること。(規則第11条第3項関係)

  3. 入院
    (1)  入院患者の移送は、当該移送を行う患者に係る感染症がまん延しないよう配慮して行わなければならないものとすること。(規則第12条関係)
    (2)  入院の勧告をし、入院の措置を行い、又は入院の期間の延長をする場合の通知事項は、以下のとおりとすること。(規則第13条関係)
     入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長をする理由
     入院の勧告又は入院の措置をする場合にあっては、入院すべき期限及び医療機関
     入院すべき期間又は入院の措置の延長をする期間
     入院の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に入院の措置をすることがある旨
     法第22条第1項に規定する退院に関する事項
     法第22条第3項の規定により退院を求めることができる旨
     法第25条に規定する審査請求の特例に関する事項
     その他必要と認める事項
     このうち、オについては、退院の要件について通知することが含まれること。また、キについては、法第20条第2項又は第3項に基づく入院の期間が30日を超える場合に、法に基づき、厚生大臣に審査請求を行うことができる旨等が含まれること。
    (3)  入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長の通知を行うに当たっては、(2)のほか、行政不服審査法第57条に基づく教示をあわせて行うことが必要であること。また、各都道府県の独自の判断により、入院が必要とされる状況に応じて、(2)のクに基づき、入院が必要とされる者の理解をできるだけ得て実施できるように必要な事項を通知することが望ましいこと。



第4 消毒その他の措置

  1.  消毒
     法第27条に基づく消毒については、消毒薬を用い、対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、十分な消毒が行えるような方法により行うとともに、その際には、消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意することとすること。(規則第14条関係)

  2.  ねずみ族及び昆虫等の駆除
     法第28条に基づくねずみ族又は昆虫等の駆除については、対象となる区域の状況、ねずみ族及び昆虫等の性質その他の事情を勘案し、十分な駆除が行えるような方法により行うとともに、その際には、駆除を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意することとすること。(規則第15条関係)

  3.  物件に係る措置
    (1)  法第29条に基づく物件の移動の制限及び禁止、消毒、廃棄その他必要な措置については、対象となる物件の状況、感染症の病原体の性質、以下の措置の基準その他の事情を勘案し、措置の目的を十分に達成できるような方法により行うこととすること。(規則第16条第1項関係)
     消毒にあっては、消毒薬、熱水消毒、煮沸消毒等により行うこと。
     廃棄にあっては、消毒、ウの減菌その他の感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な処理をした後に行うこと。
     減菌にあっては、高圧蒸気減菌、乾熱減菌、火炎減菌、化学減菌、ろ過減菌等により行うこと。
    (2)  消毒及び減菌にあっては、消毒又は減菌を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。(規則第16条第2項関係)

  4.  建物に係る措置及び交通の制限又は遮断
    (1)  法第32条第1項に基づく建物への立入の制限又は禁止は、対象となる建物の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、適切と認められる方法により行うものとすること。(規則第17条関係)
    (2)  法第32条第2項に基づく建物への措置は、以下の基準により行うものとすること。(令第4条関係)
     一類感染症の建物の外部へのまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する建物の構造及び設備の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこと。
     法第32条第2項に規定する緊急の必要がなくなったときに、できる限り現状回復に支障を来さない方法で行うこと。
    (3)  法第33条に基づく交通の制限又は遮断は、以下の基準により行うものとすること。(令第5条関係)
     一類感染症の広範囲の地域にわたるまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する場所の交通の状況その他の事情を考慮して適切な方法を行うこと。
     法第33条に規定する緊急の必要がなくなったときは、定められた期間内であっても、速やかに当該措置を解除すること。
     当該措置の対象となる者の人権に配慮しつつ行うこと。
     なお、ウの当該措置の対象となる者には、感染症の患者に加え、交通の制限又は遮断の対象となる者が含まれること。

  5.  質問及び調査
     法第33条に基づく質問又は必要な調査を行う当該職員等の身分証明書を定めたこと。(規則第18条及びに別記様式第ニ関係)

  6.  書面により通知すべき事項
    (1)  都道府県知事が、消毒、ねずみ族及び昆虫等の駆除、物件に係る措置、死体の移動制限等、生活の用に供される水(以下「生活用水」という。)の使用制限等を実施し、又は当該職員に実施させる場合に通知すべき事項は、当該措置を実施する旨及びその理由のほか、以下のとおりとすること。(規則第19条第1項関係)
     当該措置の対象となる場所、区域、物件、死体又は生活用水
     消毒若しくは駆除の措置又は物件に係る措置(物件の移動の制限及び禁止の措置を除く。)にあっては、当該措置を実施する日時又は実施すべき期限及びその方法
     物件若しくは死体の移動又は生活用水の使用若しくは給水の制限の措置にあっては、その期間及び制限の内容
     物件若しくは死体の移動又は生活用水の使用若しくは給水の禁止の措置にあっては、その期間
     このうち、ウについては、物件若しくは死体を移動し、又は生活用水の使用若しくは給水をできる場合の条件が含まれるものとすること。
    (2)  都道府県知事が、建物に係る措置又は交通の制限若しくは遮断を実施し、若しくは当該職員に実施させる場合に掲示すべき事項は、当該措置を実施する旨及びその理由のほか、以下のとおりとすること。(規則第19条第2項関係)
     当該措置の対象となる建物又は場所
     立入り又は交通の制限の措置にあっては、その期間及び制限の内容
     立入り禁止又は交通の遮断の措置にあっては、その期間及び制限の内容
     このうち、イについては、立入り又は交通をできる場合の条件が含まれるものとすること。
    (3)  (1)の通知を行い、又は(2)の掲示を行う際には、行政不服審査法第57条に基づく教示をあわせて行うことが必要であること。
    (4)  (1)及び(2)については、市町村長が当該職員に消毒、ねずみ族及び昆虫の駆除又は物件に係る措置を実施させる場合について準用すること。(規則第19条第4項関係)


第5 医療

  1.  費用負担の申請
    (1)  法第37条に規定する申請を行う場合の申請書に記載する事項は、以下のとおりとすること。(規則第20条第1項関係)
     患者の住所、氏名、生年月日及び性別
     申請者が患者の保護者の場合にあっては、当該保護者の住所、氏名及び患者との関係
     患者が医療保険各法による給付をうけることができる者であるときは、その旨
    (2)  費用負担の申請書に添付するものは、以下のとおりとすること。(規則第20条第2項関係)
     入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長の通知の写し
     当該患者並びにその配偶者及び民法(明治29年法律第89号)第877条第1項に定める扶養義務者の当該費用の負担能力を把握するために都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)が必要と認める書類

  2.  感染症指定医療機関の指定について
    (1)  感染症指定医療機関の指定については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第38条第2項の規定に基づく厚生大臣の定める感染症指定医療機関の基準(平成11年3月厚生省告示第43号。以下「施設基準」という。)に基づき行うこととされたこと。
    (2)  第一種感染症指定医療機関の指定については、以下のとおりとしたこと。
     第一種感染症指定医療機関の指定を行う際に医療機関が満たしていなければならない要件を施設基準において定めたこと。なお、この場合において、指定される医療機関が医療法(昭和23年法律第205号)の基準を満たしていることは当然の前提であり、施設基準に規定する基準は、その上乗せの基準であること。
     なお、施設基準中第一のニにおいて第一種感染症指定医療機関が有するべきとされている設備等のうち、「4 集中治療室」及び「5 人工透析を行うことができる設備」は、一類感染症の患者をこれらの設備において治療するという趣旨ではなく、第一種感染症指定医療機関としては、これらの設備を有し、実際に機能しているという意味において充実している必要があることを示したものであること。
     施設基準中第三に定める、都道府県において第一種病室の病床数が適当と認められる場合については、別に通知する予定であること。
    (3)  第二種感染症指定医療機関の指定については、以下のとおりとしたこと。
     第二種感染症指定医療機関の指定を行う際に医療機関が満たしていなければならない要件を施設基準において定めたこと。なお、この場合において、指定される医療機関が医療法の基準を満たしていることは当然の前提であり、施設基準に規定する基準は、その上乗せの基準であること。
     第二種感染症指定医療機関における電話機及びテレビの設置については、平成12年4月1日から指定の要件とされることとなったが、これ以前に指定された感染症指定医療機関にあっても、それまでにできるだけ速やかに設置することが望ましいこと。
     法附則第8条第1項の規定により第二種感染症指定医療機関の指定を行う場合にあっては、施設基準の要件を満たさない医療機関についても指定を行うことができること。
     施設基準中第三に定める、二次医療圏において第二種病室の病床数が適当と認められる場合については、別に通知する予定であること。

  3.  感染症指定医療機関における医療について
    (1)  感染症指定医療機関における医療については、感染症指定医療機関医療担当規程(平成11年3月厚生省告示第42号。以下「医療担当規程」という。)によることとされたこと。
    (2)  感染症指定医療機関にあっては、法に基づく入院患者について、良質かつ適切な医療の提供を行うために、特に以下のことを定めたこと。
     法に基づく入院患者を、医療担当規程に定めるところにより適切な病室に入院させるべきこと。(医療担当規程第6条関係)
     外部との連絡の確保をするように努めるべきこと。(医療担当規程第8条関係)
     退院時に必要な指導を行うべきこと。この場合の指導内容の例示すれば、感染症のまん延の防止のために払うべき生活上の注意、引き続き行うべき服薬等に関する指導が挙げられる。(医療担当規程第9条関係)
    (3)  感染症指定医療機関は、法に基づく入院患者等から求めがあった場合は、必要な証明書等を交付しなければならないこととされているが、交付のための費用については、感染症指定医療機関の運営費の補助に既に含まれているため、交付を求めた入院患者等に対してその費用を請求する必要はないものであり、指定を行い都道府県知事にあっては、感染症指定医療機関に対してそのことを周知することが望ましいこと。(医療担当規程第7条関係)

  4.  指定医療機関に対する都道府県知事の指導
     都道府県知事は、感染症指定医療機関であって大学の付属病院その他教育又は研究を主たる目的とするものに対して法に基づく指導を行うに当たっては、これらの教育又は研究に不当に関与しないよう配慮するものとすること。(規則第21条関係)

  5.  診療報酬の請求及び支払
    (1)  都道府県知事が法第40条第3項の規定により医療費の審査を行うこととしている場合においては、感染症指定医療機関は、療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)の定めるところにより、当該感染症指定医療機関が行った医療に係る診療報酬を請求するものとすること。(規則第22条第1項関係)
    (2)  (1)の場合、都道府県は、感染症指定医療機関に対し、都道府県知事が当該指定医療機関の所在する都道府県の社会保険診療報酬支払基金事務所に設けられた審査委員会、社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)に定める特別審査委員会、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会又は同法第45条第6項に規定する厚生大臣が指定する法人に設置される診療報酬の審査に関する組織の意見を聴いて、決定した額に基づいて、その診療報酬を支払うものとすること。(規則第22条第2項関係)
    (3)  法第40条第5項の政令で定める医療に関する診査機関は、社会保険診療報酬支払基金法に定める特別診査委員会及び国民健康保険法第45条第6項に規定する厚生大臣が指定する法人に設置される診療報酬の審査に関する組織とすること。(令第6条関係)

  6.  療養費支給の申請
    (1)  法第42条に規定する申請を行う場合の申請書に記載する事項は、以下のとおりとすること。(規則第23条第1項関係)
     支給を受けようとする療養費の額
     感染症指定医療機関から法第37条第1号各号に掲げる医療を受けた場合において、当該医療が緊急その他やむを得ない理由により同項の申請をしないで行われたものであるときには、緊急その他やむを得ない理由
    (2)  費用負担の申請書に添付するものは、以下のとおりとすること。(規則第23条第2項関係)
     入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長の通知の写し
     当該患者並びにその配偶者及び民法(明治29年法律第89号)第877条第1項に定める扶養義務者の当該費用の負担能力を把握するために都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)が必要と認める書類
     当該医療に要した費用を証明する書類



第6 新感染症

  1.  新感染症に係る健康診断等
     新感染症に係る健康診断、新感染症の所見がある者の入院に係る書面による通知及び新感染症に係る消毒その他の措置について書面により通知すべき事項については、感染症に係る法に基づく健康診断、入院及び消毒その他の措置を行う際に通知すべき事項に準じて行うこと。(規則第24条から第26条関係)

  2.  新感染症に係る通報事項
    (1)  都道府県知事が、新感染症に係る措置を実施し、又は当該職員に実施させようとする場合にあらかじめ厚生大臣に通報すべき事項は、当該措置の内容及び当該措置を実施する時期のほか、当該措置を実施することが必要な理由及びその他必要と認める事項とすること。(規則第27条関係)
    (2)  このうち、当該措置の内容については、少なくとも以下の事項が含まれること。
     行おうとする措置
     対象となる者、場所、区域、物件、死体、生活用水又は建物
     措置の方法
    (3)  (1)のうち、その他必要と認める事項の通報については、最終的には通報する都道府県知事の判断によって行われるものであるが、新感染症のまん延の防止及び新感染症と疑われる所見を有する者の医療の必要性から十分な情報を通報する必要があることから、通報に当たっては、厚生省と必要な連携を図って行うことが重要であること。


第7 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置

  1.  指定動物
     法第54条により輸入してはならない動物は、サルとすること。(令第7条関係)

  2.  輸入検疫の対象となる感染症
     法第55条により、サルについて輸入検疫を行う感染症は、エボラ出血熱及びマールブルグ病とすること。(令第8条関係)


第8 費用負担

   都道府県の負担並びに補助及び国の負担並びに補助について、厚生大臣が大蔵大臣及び自治大臣と協議して定める基準に従って行う等の所要の規定を設けたこと。(令第9条から第13条まで関係)


別表第1 四類感染症

アメーバ赤痢、咽頭結膜熱、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、エキノコックス症、黄熱、回帰熱、感染症胃腸炎、急性出血性結膜炎、急性脳炎(日本脳炎を含む。)、Q熱、狂犬病、クラミジア肺炎、クリプトポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、コクシジオイデス症、細菌性髄膜炎、ジアルジア症、腎症候性出血熱、水痘、髄膜炎菌性髄膜炎、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジローム、先天性風疹症候群、炭疽、ツツガムシ病、手足口病、デング熱、伝染性紅斑、突発性発疹、日本紅斑熱、乳児ボツリヌス症、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、百日咳、風疹、ブルセラ症、ペニシン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、発疹チフス、マイコプラズマ肺炎、麻疹、マラリア、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、ライム病、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症、レジオネラ症


別表第2 全数届出の四類感染症

アメーバ赤痢、エキノコックス症、急性ウイルス性肝炎、黄熱、オウム病、回帰熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、コクシジオイデス症、ジアルジア症、腎症候性出血熱、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症候群、炭疽、ツツガムシ病、デング熱、日本紅斑熱、日本脳炎、乳児ボツリヌス称、破傷風、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、ブルセラ症、発疹チフス、ライム病、レジオネラ症