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第9回アジア太平洋地域国際エイズ会議参加報告書

特定非営利活動法人 HIVと人権情報センター中部支部事務局次長
大郷 宏基

インドネシア・バリ島で開催されました第9回アジア太平洋地域エイズ国際会議においてアジア・パシフィック・ヴィレッジでの‘Japan HIV Center’ブース出展の模様、および各国におけるVCTとPITCのOral Sessionへの参加と現地VCTクリニックの訪問をしたためご報告いたします。

1) アジア・パシフィック・ヴィレッジでのブース出展
HIVと人権・情報センター(Japan HIV Center=JHC)ではICAAP神戸を除き、海外で
の国際会議ではおよそ7年ぶりのブース出展をおこなった。その他、ヴィレッジには地元インドネシアをはじめアジア・太平洋地域の24団体が出展しており、一般人も登録料無しで入館できることもあり賑わいを見せた。JHCのブースでの催しは次のとおり。

期間中、ブースに来られた来場者のうち400名にたいし日本の感染者数の増加、抗体検査の受検状況、免疫と栄養、教育に関する6問のテストをおこなった。解答がパーフェクトとなる参加者は少なかったが、不正解にたいする説明をおこなうなどして日本の現状を伝えることができ、これらクイズ参加者全員に“うちわ”等のグッズを配布した。この企画が功を奏したため、期間中の毎日は開場1時間もしないうちにグッズ配布が完了してしまう大盛況となった。その後は陽性者や周囲でサポートをする人を対象にNutritionに関する説明や栄養ハンドブックの配布、各国の要人を含む様々な人たちから写真付きのメッセージを記帳していただいた。また、ユースを集め、JHCが開発し日本国内でおこなっているYYSP(Young for Young Sharing Program)をインドネシア語と英語を交えて実践した。YYSPは過去にタイにおける国際会議のほか、JHCのボランティアがいくつかの国で教育プログラムとして実践した実績がある。

このブースを拠点に各国のNGOやユース、政府の方との交流ができたことは海外における現状や情報を得るのに非常に参考となった。

2) VCTおよびPITCに関するOral Sessionへの参加
Poster Sessionを含めてもVCTに関する演題が若干少ないように感じたが、アジア・
太平洋地域を拠点とする6つの団体から研究の成果を聴講することができた。

これらのセッションから、VCTサービスはUNAIDSのガイドラインを基に、MSM・IDU・CSW・若者それぞれへの個別施策を検討し、さらにはそれぞれの国の治療状況や社会環境・文化風習などを鑑み実施されることが望ましいと言えよう。

日本におけるVCTサービスにおいては早期発見によるメリットのほうが多く、さらなる検査機会を拡大するための啓発が必要である。一方、一部の国におけるHIV陽性者にたいする入国規制、日本を含めアジア・太平洋地域における同性愛者、性産業従事者、薬物使用者、移住労働者への法的保護が充分でないことがコミュニティにおける効果的な対策の阻害要因になっており、法改正が進まない限り今後の受検率にも影響していくだろうと考える。

PITCにおいては日本での導入を検討することも考えられるが、HIV陽性となった場合、社会的なスティグマによって不当解雇や診療拒否が未だ存在する状況下においてはVoluntaryでない検査は慎重にならざるをえないだろう。

3) Field Visit~VCTクリニックの視察~
今回のICAAPにて様々な現場を視察できるツアーがたくさん企画されていた。私は2ヶ所のVCTセンターを見学させていただくことにした。

Field Visitに参加して感じたことは、300万人程度の住民しかいないバリ島でVCTに関連する施設が上記のほかにも刑務所やMSMのコミュニティセンターがあり、多彩な施設を運営されていることにまず驚いた。

また、非営利の市民活動は日本と同様、インドネシアにおいても財政的に厳しい環境におかれていることがわかった。彼らはNPOセクターに要求されるニーズを的確に掴み、新たな事業を展開し、それら活動を継続するためには目標を達成し、ファンドを得続けるための努力を惜しまない。そういった気持ちがなければ市民活動はすぐに衰退し、マイノリティである人たちの支援が滞ってしまう。そういった困難に立ち向かう姿を垣間見ることができ、JHCの職員として7年目となった私にとっても非常に勇気づけられた。

今回の9th.ICAAPに参加させていただけたことは、大変貴重な体験となりました。今後の活動としては9月中に内部の職員やボランティア向けに報告会を開催し、アジア・太平洋地域の現状を共有し、順次JHCのホームページ等へも報告をしていきます。また、JHCが行政との連携でおこなっている抗体検査・相談事業における運営に生かすほか、MSMをはじめとする個別施策のためのツールの作成や研修プログラム実施をしていきたいと思います。