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第9回アジア太平洋地域国際エイズ会議参加報告書

プロジェクトコネクト青少年プロジェクトリーダー
稲垣 朝子

●“若者”というテーマを再考する

私が中心にすえているテーマ“若者”は、HIV感染リスクが高い人口層のひとつととして、エイズの国際会議でよく取り上げられるテーマである。“若者”という言葉がキーワードとして、“MSM” “セックスワーカー” “IDU”など別のグループ名と並列されて扱われることが多い。ただ今一度振り返りたいのは、“若者”の中に、もちろん“MSM” “セックスワーカー” “IDU”“女性(特にDVなどの視点で)”は含まれており、“若者”への介入を行うということは、これら多様な背景を持つ若者たちと接していくということである、ということだ。プロジェクト コネクトとでも学校現場等で若者と接しているが、以上の点については、間違えない。

今回の第九回アジア太平洋地域国際エイズ会議では、若者のセッションだけでなく、“MSM” “セックスワーカー” “IDU”をテーマとするセッションに積極的に参加をし、知識の習得をはかった。対象とのコミュニケーション方法や対象へのリーチ方法などで、現場にいかせるノウハウをいくつか学べたことは、重要な収穫だったと考える。印象的だったことは、ある“MSM”をテーマに行われたスキルズピルディングに参加したときのことだが、その団体は“MSM”を中心テーマとしながら、他のグループにも汎用性のあるプログラム内容と説明方法でスキルズビルディングを進めていたことだ。実施に私がかかわる現場にも直接リンクして考えられる素材が多かったし、現場でMSMの若者に出会ったときに、こちら側の対応がこれまでより柔軟にできるように自分たちがエンパワーされた実感があった。

若者分野においては、その中で“MSM” “セックスワーカー” “IDU”の個別グループ立ち上げるまではいかずとも、これらのテーマをきちんと視野に入れたプログラム作りを今後進めていかなければいけないことを痛感した。一方で、それぞれの若者がそれぞれの背景を持ちつつも、若者全般に共通して応用することのできるコミュニケーション方法、介入方法を自分たちは現場で構築していることも実感した。若者対象のプログラム内容やマニュアルに“汎用性”を持たせることで、他のテーマで活動する人たちに対しても、“若者”を意識してもらうことの重要性を感じた。

●市民社会の盛り上がり~バリから釜山へ~

本来病気をテーマとして扱う会議の参加者は、学者・研究者・医者で構成されることが多いが、このエイズ国際会議(以下ICA)やアジア太平洋地域国際エイズ会議(以下ICAAP)では、学者・研究者・医者の参加者だけではなく、大勢のNGO職員、各分野の当事者、あるいは地域に根ざした活動を実施する医療従事者、行政職員が参加していることが、特長としてあげられる。毎回設けられる“Village”というセクションには、様々な組織のブースが出展され、多くの人との出会い、対話を生む場所として位置づけられている。これまで私が参加してきたICA・ICAAPでもVillageは無料開放されており、市民が受けられるセッションや見学できるステージ発表などもあったが、今回はIDがないと入れず、Villageはどことなくいつもの活気がなかった。おそらく会議会場が首都からは遠く、さまざまな現地のNGOの巻き込みが困難だったのではないか、と考える。

私個人としても、一NGO職員として、Villageが盛り上がるよう、できることはなかったかを振り返ると同時に、韓国、釜山 Pusan で2011年8月に開催される次回のICAAPでYouthがどのような存在感を発揮できるかに思いをめぐらせた。7th ICAAPで会議のホスティングを経験している我々だけに、釜山のyouth task forceに何を還元できるのか、考えるいい機会になりそうだ。


●会議参加フレッシュマンによる若者のための9thICAAP報告会の実施

プロジェクトコネクトが主催する“PHOTO de Bali 9th ICAAP 報告会”を開催する予定である。対象は、エイズの国際会議にまだ数回しか参加したことがない、あるいは初めてだという“会議参加フレッシュマン”の若者。固い発表形式ではなく、各自が撮影してきた写真を見ながら、互いに会議中あったことを話し合う企画。ざっくばらんな話し合いを通して、各々が経験を振り返る機会を作ると同時に、今回参加できなかった若者が会議にはいかずとも、世界のエイズ対策を知ったり、自らの活動を再考したりする機会づくりを目指したい。