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第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議参加報告書
 

MASH大阪
後藤 大輔

 The 11th International Congress on AIDS in Asia and the Pacificがバンコクで11月18日~22日迄開催された。公益財団法人エイズ予防財団の「第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議」派遣事業による参加助成で本会議に参加した。

 私の主な活動として、大阪地域のMSM(=Men who have sex with men)に向けたHIV予防啓発活動を行っている。毎年大阪では、新規HIV感染とエイズ発症で見つかる人が約200人ほどで、かつ7~8割がMSMという結果がある。本会議ではそうしたMSMやコミュニティを中心とした活動についてのセッションを中心に参加した。

 また、The 11th International Congress on AIDS in Asia and the Pacific においてのテーマはTriple ZERO「Getting To ZERO New Infections(新規感染をゼロに)」、「Getting To ZERO AIDS Related Deaths(エイズで亡くなる人をゼロに)」、「Getting To ZERO Discrimination(差別をゼロに)」が掲げられた。

 台湾の「Using the Ottawa Charter for HIV/AIDS Prevention to establish LGBT Community Center in Taiwan(11月22日)」ではMSMをリスクの高い集団と捉え、日本のコミュニティセンターを元にした、MSM集団への予防介入を実践した。実践にあたり、まずは地域の中における健康に対する意識を高める事が必要と考え、CBOやNGO、政府や学校の教師やLGBTなどの様々なセクターの人たちで構成されたエイズ推進委員会という場を構築した。そして、HIV感染リスクに晒されている可能性の高い人たちにサービスを提供する事、活動が広がり拡散されるように地域や人の活性化を行う事、セーファーセックスや予防法についてのキットの開発をする事、既存の健康サービスを見直すことが上げられていた。日本においては、まだこうしたセクターを繋ぐ力がそれほど強くはなく、今後の活動においては、こうしたセクターを越えるつながりが対策を進める上で大切なのではないかと考える。また、ベトナムの「FACTORS CORRELATED WITH USE OF CONDOMS AND LUBRICANT WITH CASUAL SEX PARTNERS AMONG MSM IN VIETNAM」では、MSMの推定有病率は16.7%と高く、コンドーム使用行動やセーファーセックス行動を推進する因子について発表があった。コンドームとローションを常に持ち歩くという事を知っている事、水溶性ローションは破損のリスクが低い事、コンドームを自信を持って買う事が出来る事、相手に使ってほしいといえる事。これらはより感染リスクの低い性行動をとる事ができる要因となりえるが、それだけではなく偏見を減少させるよう働きかける事も必要である事が話された。

 パキスタンではCBOの活動の状況はもっと過酷であった。日本にいると意識しにくいが、同性愛が違法である国も少なくはない。男性同性愛者という事で懲役や死刑になることもあり、そうした偏見は活動が効果的に実施されないばかりか、そもそもMSMがHIV感染対策における重要な集団だと言う認識そのものも低くなる。差別や偏見がある事による活動の困難さを目の当たりにした発表であった。

感想
 各国の発表をみると、MSMやTG(トランスジェンダー)がHIV流行のキー集団として認識されており、そのための活動を様々なセクターの人たちがそれぞれの得意とする分野においてHIV感染予防のプロモーションを強力に推進して行くような印象を受けた。日本もこうしたセクターを越えたつながりを持って一つのムーブメントを作り出せるようなHIVプロモーションが出来るように仕組みや枠組みを構築し実施する必要があるように思う。

 また、各CBO/NGOブースにおいては、大・小様々なブースが並んでおり、活動報告だけではなく、募金やグッズ販売等活気に満ちていた。その中で特に印象に残っているのが、ボランティアスタッフと見られる若いスタッフが、梱包されたコンドームをパッケージングしている光景があった。日本では薬事法の関係でコンドームのパッキング等は禁止されており、こうした事を気軽に実施する事が出来ないのが現状である。こうした自由な活動が行えるようになるには、法による活動のサポートも必要なのであると考える。法への働きかけもまた、今後HIV予防啓発を行うにあたっての課題であると考える。

 最後に、今回の会議参加の貴重な機会を与えてくださった公益財団法人エイズ予防財団に感謝いたします。ありがとうございました。

(以上)