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第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議参加報告書
 

名古屋市立大学看護学部
塩野 徳史

The 11th International Congress on AIDS in Asia and the Pacific がバンコクで11月18日、19日の関連フォーラムを含め11月20日から11月22日まで開催された。公益財団法人エイズ予防財団「第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議」派遣事業による参加助成で、11月20日から11月22日の本会議に参加した。

本会議では、「厚生労働科学研究費補助金 MSMのHIV感染対策の企画、実施、評価の体制整備に関する研究(研究代表者市川誠一)」における研究成果として、MSM(men who have sex with men)における2000年から2011年までの出生年代別のHIV/AIDS感染についてポスター発表を行った。AIDS罹患率は出生年1950-59年群以外のいずれの群でも増加傾向であった。またHIV罹患率が最も高かったのは出生年1950-59年群 17.7、出生年1960-69年群42.9、出生年1970-79年群66.3、出生年1980-89年群82.7であり、出生年1980-89年群では顕著に増加していることを発表した。またこの研究発表に関連し、本会議での報告にはMSMとトランスジェンダー女性を対象にした予防介入や支援に関するものを中心に11セッションに参加した。

The 11th International Congress on AIDS in Asia and the PacificではHIV感染の新規感染者、HIV感染に関連した死亡者数及びHIV/AIDSをめぐる差別やスティグマを解決がテーマとなっており、それらに関する多くの取り組みについて各国から報告された。

「Self-Stigma Among Young Men who have sex with men and Transgender women and the Linkage with HIV(11月20日)」では、アジア各国の当事者で構成されるネットワーク(Youth Voice Count)によってセクシュアリティやHIV感染に関するスティグマがセッション内で可視化され、差別や偏見の現状について報告された。スティグマや差別は、当事者がセクシュアリティに気づいたときやHIV感染がわかったときの支援や、必要な情報を得る機会を当事者から奪ってしまうことに問題の根幹がある。HIV感染に関連した死亡への対策として、検査機会の提供や治療アクセスの改善がアジアでは優先的な課題となっているが、スティグマのある社会では受検時や治療時にセクシュアリティやHIV感染について、医療者等に対し情報を開示しにくく、当事者が適切な情報を適切なタイミングで受け取れない状況を作り出すことが多くのセッションで語られた。スティグマについては、ICAAPのテーマであり、後のラパトワ報告にも解決するには正しい知識の提供と、HIV感染者やLGBTIが身近に生活していることを意識することが重要であると報告された。

新規感染への対策としては、性行為を感染経路とする感染や薬物使用に伴う注射器の併用での感染に対し、特にMSMとトランジェンダー女性、セックスワーカーや薬物使用者への予防介入が治療アクセスを含め、コンドーム配布やHIVや性感染症、検査に関する知識の提供、検査機会の提供等がパッケージ化されている。「Using the Ottawa Charter for HIV/AIDS Prevention to establish LGBT Community Center in Taiwan(11月22日)」では台湾のコミュニティセンターが取り上げられ、コミュニティペーパーの配布や勉強会等は日本のコミュニティセンター事業を模して、特に20代後半から30代前半のMSM向けに展開されていた。「Community-based Testing and treatment support as prevention among MSM in China:-the Experience of the China-Gates Foundation HIV prevention Cooperation program(11月21日)」では、中国CDCがコミュニティ当事者を中心としたCBOの意見を踏まえ、インターネットサイト2社と協同した検査事業が紹介されていた。登録制のゲイ男性向けアプリケーションを用い検査予約や定期的検査へのリマインダーまでシステム化されていたが、そういったコミュニティ、企業、行政、医療機関の連携のあり方は日本ではあまりみられず今後の参考になるのではないかと思えた。しかしながらアジア各国のMSMにおいてコンドーム常用率がおおよそ50%前後にとどまっている報告が多く、予防対策における今後の課題となっている.

The 11th International Congress on AIDS in Asia and the Pacific の参加にあたっては公益財団法人エイズ予防財団「第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議」派遣事業に大変お世話になりました。今後の研究に本成果を活かしていけたらと考えております。ありがとうございました。

(以上)