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第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議参加報告書
 

上智大学総合人間科学部社会福祉学科
由井薗 美和

1、はじめに
2013年11月18日から22日にかけて、バンコクで開催されたICAAP11に参加させていただいた。ICAAP11thのテーマは「Asia/Pacific Reaching Triple Zero: Investing Innovation」であり、アジア太平洋地域を中心として世界各国から4000人程が参加した。今回、アジア太平洋地域各国で行われる取り組みや、HIV/AIDSについてより多角的に理解を深めていくこと、また今後の研究や活動に活かしていくことを参加の目的とさせていただいた。
 
2、セッション:東アジアにおける移住労働者とHIV/AIDSに関する取り組みについて
(特活)シェア国際保健協力市民の会と、レイ・ファンデーション、及び現在インターンとして関わらせていただくアフリカ日本協議会主催のセッションが20日に催された。スピーカーにはシェアの沢田貴志氏はじめ、タイ、フィリピンから計3名を迎えた。このセッションでは、「東アジアにおける移住労働者とHIV/AIDSに関する取り組み」をテーマに日本をはじめタイやフィリピンのケーススタディを取り入れた報告が行われた。タイ、日本、中国、韓国、また台湾等の国を比較しながら移住労働者に対する厳しい取り締まり政策や違法移住労働者の医療アクセス問題、HIV陽性の人に対する差別的な種々の規制政策など現状東アジア地域が抱える多くの課題が報告された他、移住労働者を送り出す国と受け入れる国が求められている改革についても報告された。
 
3:若者への啓発で求められるアクションについて
「若者」とはHIV/AIDSを考える上での「核となる特定の人口集団」(Key populations)とされる。今回のICAAPでも多くの若者向けのセッションが行われた。

UNAIDS、UNESCO、UNDP and Youth Leadの報告によると2012年、アジア太平洋地域における若者(15歳~24歳)のHIV陽性者数は推定69万人であった。また世界で最も若者の数が多いこの地域でも、現在も安全でない性交渉、注射針による薬物の使用などが主たる原因となりHIVの感染が拡大しているという。同時に地域によって若者のHIV予防に対する意識の隔たりもある。

今回のセッションでは、まず第一に「若者が主体的にかかわっていくようにすること」、第二に法や教育、就労の場といった「核となる環境に働きがけをおこなっていくこと」、第三に家族や社会、宗教そして自己に対して「差別・偏見をなくしていくよう働きかけていくこと」、そして最後に「より効果的に基金などのリソースを分配していくこと」が必要なのではないかとされた。また、グループに別れて行われたディスカッションでは「偏見・差別をなくしていくためにどうすればよいのか」をテーマに各国のユースと意見交換をさせてもらったが、国を問わず最も多かった意見がFacebookやTwitterなどのメディアを通じた啓発、また教育機関での啓発というものであった。だが、具体的にメディアでどのようなアプローチで行えば良いか、であったり、ブルネイ・ダルサラームのようなイスラム教国家では保守的な国の性格故に教育機関であろうともそうした啓発がタブー視されてしまう、などどいった課題も浮き彫りとなった。どの国でも「差別・偏見」の問題が未だ深刻で対策も難航しがちであることがわかる。
 
4:ユースセッションを通じて
今回ICAAPでは多くのユースセッションに参加させてもらったが、タイ、中国、ラオス、インド、スリランカ等から参加しているユースと出会い、彼らがいかに公に対し自らのセクシャル・アイデンティティやHIVのステータスをオープンにしたり、また国内だけでなく国外のユースとも積極的に協力し合い活動しているのかを目の当たりにした。今回ICAAPのユースセッションで日本人の発表者はいなかった。今後日本人ユースからもこうした彼らに負けない積極的な参画が求められてくると思うし、私自身日頃から繋がりを大切に、今回学ばせてもらったことを共有しながら活動を継続させていこうと思う。
 
5:今後の報告活動等
12/17に実施される労働組合協同フォーラムにて今回の報告をさせていただく。また、アフリカ日本協議会で発行しているメールマガジンGlobal Aids Updateにも記事を載せさせて頂く。
 
6:全体を通じて
今回初めてHIV/AIDSの、それも国際会議に参加させていただいた。今までHIV/AIDSについて学んでいたつもりではあったが、実際に「ユース」、「セックスワーカー」、「移住労働者」、「LGBTIQ」等と様々なアプローチからHIV/AIDSを考える機会をICAAPに参加して得ることができ、自分がいかに狭い視野の中でしかエイズについて理解していなかったのかを痛感した。そして、特にこの地域ではHIV/AIDSについて考えるときにこうしたKey Populationsとの関連を踏まえることは不可欠であり、単に「偏見・差別の解決」と言えど、ある一点にだけフォーカスしていては真の意味での解決には至らない。予防啓発活動などにおいてもそうである。

今後も今回学びと、いただいた繋がりを大切に日々活動していきたい。

最後になりましたが、今回このような貴重な機会を頂くことができ、多くの学びや出逢いがありました。本当に感謝しております。ありがとうございました。