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国連エイズ特別総会報告  ~関連イベント~
 

(財)エイズ予防財団専務理事
山田 兼雄

総会の前
この度ニューヨークの国連本部で国連エイズ特別総会が6月25日(月)から27日(水)まで開かれた事はすでに多くのメディアによって報告された。国連でこのように一つの疾患について特別総会が開かれたのは始めてである。この会議に関連する行事はすでにニューヨークで19日(火)から催されていた。わたくしは23日(土)にニューヨークに到着し、24日(日)正午に行われるゲイ並びにレスビアンのパレードを見ることにした。彼らがニューヨークの各町角から一斉に出発し5番街に向かって行進を始めた。毎年行われる行事であるが今年は国連エイズ総会に因んで特に盛大であったようで、日本からも着物姿の参加者も見られた。始めて見る筆者にとっては、活発なブラスバンドの曲に会わせたその堂々たる行進振りに、ただ目を見張るばかりであった。ニューヨークの町の各所の電光掲示板に「現在世界で生存しているHIV感染者3610万人、エイズによる死者2180万人・・・・」とインプットされたUNAIDSの資料が映し出され、街がエイズ一色とまではいかなくても、少なくとも世界のエイズ問題に対してわが国よりは関心が深いという印象を受けた。

全体会議・ 関連イベント:
翌日午前8時から会議が始まったが、入場に問題があった。数千人が本会議のために世界から参集したが、特別通行証2200枚が各国代表に配られ、これに現地の国連関係者が加わって計3000人が主会場に入場可能となり全体会議に出席した。その他の一般通行証では主会場に入る事は出来ず国連本部の地下室、或いは近隣の諸施設で行われた関連イベントのシンポジュウム、パネルに参加するようなシステムになっていた。これも過去に経験した国連関係の爆破事件の惨事などの事を考えれば致し方のない事と思うが、このような情報が前もって出発前に関係省庁から伝えられればよかったと思っている。関連イベントの中には大変魅力的なシンポジュウムもあったが、そこは開始前に満員となり入場が不可能という状態で、ワクチンのセッションも聞く事は出来なかった。

ビルマ/ミヤンマーのエイズ:
1日目の午後、1番街、44丁目のチャーチセンターでBurma/Myammar and AIDS:The Silent Crisisと言うテーマでシンポジュウムが行われた、現在世界で流行に関して不明な点の多い地域として取り上げたられたので、聴衆も少なくなかった。Burma Asia UN Service Office のDrThaung Htunにより実情が説明され、人口4700万の2%が感染していると推定されると述べられた。最後に発言したJohns HopkinsのDrBeyrer は感染の流行は成人の3.46%で、アフリカの最悪の状態よりはましではあるが、4%のカンボジャに続いて東南アジアとしては2番目に高いい感染率であると述べられた。この事実が一般に知れわたってないのは軍政府が実情を公表するのを控えている可能性がある。ビルマのエイズによる死亡者は1999年1年間で48,000人と推定されているがビルマの軍政府の公表は802人である。

ニューヨーク市のHIV/AIDS流行に対する市の対策モデル:
1番街の26-27丁目の市のPublic Health Laboratoryで、3日間続いて行われたシンポジュウムで第1日目がSurveillance and Epidemiology, 2日目がDiagnostic and Laboratory Issues ,and Co-Morbidities on HIV/AIDS、第3日目はHIV Prevention and Models for Government/Community Collaborationであった。

このシンポジュウムの目的は2000年1月にニューヨーク州で制定されたHIV/AIDSの報告と届け出の法律に基づいた調査成績の1部のお披露目すること、ならびに発展途上国のNGO達への教育が目的であったように思える。オンラインシステムを用いて、しかも個人の情報の守秘に注意が払われながら、調査された成績が示される予定であったが、データが未完成で、残念ながら聞く事は出来なかった。このシリーズはニューヨーク市公衆健康局のスタッフにより行われたものであるがスライドを十分に使って良く理解できた。又1部に見られる発展途上国の教育用の講演は私達のASEAN向けの講義の参考にもなった。、HIV Rapid Testの講演でも、それぞれの国に理解できるようにあらゆる検査キットをあげて説明するあたりは見習う点であった。

ニューヨークのHIV―2
前述のシンポジュウムのDr Serat Beatriceaの講義の中でHIV-2の項目は筆者にはあまり聞く機会のない事であった。。2000年5月までにニューヨーク州で確認されたHIV-2感染例は124例で、市内では120例となっている。この中健康局では4例見つけている。現在一般に行われている検査では3分の1が見落される可能性があり、HIV-1、HIV-2共用検査法でなくては完全なスクリーニングは出来ない。現在行っている治療はHIV-1の場合と特に異なってないがHIV-2が流行している地域が治療が普及していない地方なので研究する事が出来ない。またウイ-ルスのRNAの測定は一般には不可能で治療の効果はCD4の変化のみでチェツクするより他に方法がない。

National HIV Testing Day -Harlem Hospital and North General Hospital:
最終日の午後、5番街の125丁目のNational Black Theaterでの抗体検査サービスを見学した。この場所まで乗せてくれるイエローキャブをやっと見つけて無料検査場を探し当てた。1980年にニューヨークにいた時はとても来る気になれない場所であったが現在では、かなり安全な町にみえた。検査希望者は平均21歳で、若者が多いとのことであった。検査に来た人にサンドウィッチとジュースをサービスするところいかにも、アメリカらしさを感じた。カンセリングの部屋、採血の部屋などを急いで見て、帰りはジュネーブのUNAIDSのDr Joseph Perriensと白タクでホテルに帰ってきた.

おわりに:
学会とは異なる経験であった。その中で比較的学会に近い雰囲気の部分について記した。1日目の午前にアフリカの現状について、各NGOが発表している中で、医者1人に感染者6000人と述べられたときに、私は英語の聞き違いかと思って周囲を見回すと、隣のアフリカの女性がこちらを見て頷いた。理解しがたい事実も語られていて、世界のエイズ問題が想像以上のものである事を痛感して帰ってきた。

(2001年7月10日記)