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第15回国際エイズ会議参加報告書

東京都健康局医療サービス部医師  杉下 由行

 

<専門分野でのセッションの概要>

(1) Oral session
Track C:Epidemiology and prevention(疫学と予防)
Track D:Social and Economic Issues(社会的・経済的問題)
Track E:Policy and Program Implementation(政策・計画の実行)
HIV予防・ケア・検査に関する取り組みについて発表がなされ、問題点や有用性について報告があった。

(2) Poster Exhibition
Relationship between policies and program
Socioeconomic and resource implication
Lessons learned in policy and program
HIV予防・政策・検査・相談について参考になるポスターが多数提示されていた。

 

<その他参考となった研究発表の内容と理由>

(1) 国家プロジェクトとしてのコンドームの配布
 コンドームを利用しやすい環境を整備することで感染を防ぐ試みがなされている。

(2) 各国単位でのエイズ予防プログラム
 それぞれの国々での取り組みが提示され段階に分けた形で進行状況が示されていた。

(3) 病院での外来患者を対象としたHIV検査
 通常の腹痛・頭痛・発熱等の症状で来院した人々にHIV検査の重要性を教え無料で検査を提供している。HIV流行拡大が深刻な国で実施された取り組みで陽性率も高い。

 

<選考基準となった会議における公的役割の成果>
【役割】HIV・AIDSへの取り組みの情報収集(予防と政策について)

(1) 協力
 各組織の横断的な協力が必要である。学校・企業・病院・自治体の協力は不可欠であり、加えてメディア(テレビ・ラジオ・新聞)、NGOの活用を積極的に行っていく事が重要である。国によっては警察・教会等の組織が主体的に関わっている場合もあり、興味深い。

(2) 対象
 陽性者のパートナーへの介入が重要である。また、女性・若者への積極的な働きかけも怠ってはならない。さらに小社会への対応も今後必要である。実例が挙げられていたのは聴覚障害者や結核患者への対応である。アフリカでは聴覚障害者の間にHIV/AIDSが広がっており情報が極端に入りにくいこのようなコミュニティーへの対応が必要である。また多くの結核患者がHIVも合併しており、結核患者へのアプローチもなされている。

(3) 予防
 陽性者への支援が予防につながる。
[具体的支援例]
[1] カウンセリング [2] 自宅での療養支援(訪問) [3] グループセラピー [4] 治療(STI・日和見感染症) [5] コンドームの配布 [6] 子どもへの予防 [7] VTC(Voluntary counselling and testing)

(4) 検査
 迅速検査の導入はもはや不可欠である。(利用者のアンケート調査からも明らかで1週間待たなくて良いメリットは大きい)
課題として迅速検査での確定検査の実施、検査利用者の友人・関係者へのアプローチがあげられる。

(5) カウンセリング
 経験あるカウンセラーの確保とカウンセラーの教育が重要である。最新の情報を提供しスキルアップを図ることが求められる。その為のプログラムの構築が必要である。検査とカウンセリングは一体で提供されるべきで、受検者への説明は重要である。

(6) MSM
 MSMの感染率は高い。MSMの多くのものが検査を受けておらず、彼らは感染の事実を知らない。また多くのMSMはHIVに対する知識が不足している。コンドームの利用も十分ではない。このグループへのリサーチと予防対策は大変重要である。

 

<会議の成果を国内で還元する具体的計画>

(1) 全庁的な取り組みの実施
→エイズの予防月間での各局の連携(勤労者へのアプローチ、教育庁との連携によるピアエディケーションの推進)

(2) 東京都エイズ対策基本方針に基づくエイズ対策事業実施計画の更なる充実

(3) メディアへの働きかけ
→新聞等への積極的な情報提供

(4) NGOとの協力の更なる推進
→ボランティア講習会で今回の国際エイズ会議に関する情報の提供

(5) 感染者に対する支援の拡充
→専門相談員制度の再構築

(6) 検査体制の再構築
→土日検査の充実、南新宿検査所でのアンケートの改善(それにより新たなエビデンスを得る)

(7) MSMへの介入
→広報媒体を用いた効果的事業の検討

 

<会議の感想>

 国際会議自体初めての参加でありましたが、非常に大きな会議で人の数に圧倒されました。多くの情報を得る事ができ大変有意義でした。NGOブースが充実しており、ポスター、コンドーム、資料等様々なグッズを手に入れる事ができました。今後の普及啓発資料の参考にしていきたいと考えています。