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第15回国際エイズ会議参加報告書

りょうちゃんず相談員 早坂典生

 

 2004年7月11日~16日にタイのバンコクで開催された第15回国際エイズ会議に参加いたしましたので、報告いたします。

 今回の国際エイズ学会の参加の目的は下記の通りです。

  1. 各国のPWAとの情報交換を計り、国内のPWA組織との連携により、全国的な組織を設立する。
  2. ピアカウンセリング等のスキルを学び、現在の患者支援事業に活かす。
  3. 予防啓発介入等のプログラムを学び、個人への予防介入方法の研究に活かす。
  4. 第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議への準備に活かす。

 PWA組織との連携:日本ではPWAによる当事者ネットワークがなく、個々の団体が活動していました。展示ブースの出展は様々な国、地域、団体から応募がある中、JaNP+が出展できたことはこの目でブースを回って見て、主催者側が当事者団体の存在を認めた結果であることの価値が理解できました。JaNP+のブースには各国の方が、活動を紹介するモニターや薬害エイズの歴史に触れたパネルの前に立ち止まる姿が見られました。現在、りょうちゃんずを含め8団体がネットワークに参加していますが、JaNP+を中心にして個々の団体の持つスキルを使った連携を取ることで、アドボカシー、医療、福祉、生活に関する患者・感染者のニーズに添った支援ができるようになると思いました。どの団体にもアクセスすらしたことのないような方も受け入れながら、JaNP+が国内における多くの患者・感染者の窓口として支援活動が展開することに協力したいと思います。これもある意味「アクセス・フォー・オール」につながるであろうと思いました。

  また、各国のPWAとの係わりはJaNP+の長谷川代表を通じて面識を持つにとどまりました。23歳にしてAPN+(アジア太平洋地域の感染当事者団体)の代表として活躍している女性は、小柄ながら覇気と力強い雰囲気を感じたのは個人的な印象です。また、韓国のPWAの方とは昨年の神戸での日本エイズ学会以来の再会となり、元気な姿を見ることができました。

 タイの取り組み予防と啓発:タイでは、国の重要政策としてHIV対策に取り組んでいることから、感染者が減少し、HIV対策が成功しています。オープニングセレモニーでタクシン首相は、ジェネリック薬の国内生産、無料提供、小学生からのコンドーム教育、ドラッグユーザーへ対するハームリダクション政策が成功したことを強く語りました。実際は、国内すべての施設に薬が行き届くまで、まだ時間がかかることや、ハームリダクション(この場合ドラッグの使用を認めた上で、清潔な注射器や針を支給する等)が進んでいないと、抗議の声がセレモニー会場で上がるなど不充分な面を残しながらも、確実に効果を上げている様子でした。

  参加して気づくことですが、道路の至るところに「アクセス・フォー・オール(万人へのアクセス)」の看板が掲げられ、TVでは連日、ニュース放送されていました。また、会場内には課外授業に参加する若者たちが見学に訪れ、別棟のglobal Villageという会場では会議参加者以外の一般参加者が多数いました。コンドームの配布、コンサートやトークイベントなど連日行われ、一部ではバザーやマッサージコーナーなどにぎやかスペースとなっていました。国際エイズ会議に触れることやボランティア活動、課外授業等を通じて、HIVに接する機会を得ることで、自然に知識や注意が喚起され多くの方への感染予防につながると思いました。

 地域格差:万人へのアクセスがテーマとされていますが、基本的なところでは日本国内におけるHIV環境と国外におけるHIV環境では根本的に違うということ肌で感じました。日本では医療体制や社会保障があり、必要最低限の制度は確保されています。しかし、日本や欧米各国に比べ、アジアやアフリカの各国には、HIV薬が行き届かない地域が存在し、治療や予防を考える以前に生きていくことすら困難な国もあることを聞きました。

  現在の相談員の仕事では、病気や治療の相談、障害年金や身障者手帳、生活関連の相談をよく受けますが、日本だからこその話しであり、現在の制度があるからこそできるという印象を改めて持ちました。世界基準で考えれば人種、生活習慣、宗教、文化等の違いは根本的なことであり、すべて同じ土俵では扱えませんし、個人がどうこうできる問題ではありませんが、日本だけの活動では気づき難いことなので、率直に考えさせられる機会となりました。日本政府主催のサテライトミーティングでも、グローバルファンドについて多く国に支援が受けていることが報告されました。この中で印象的なのは、会場からの発言者が、内容よりも国の状況を訴え支援を求める発言が多いことでした。アジアやアフリカの国の中には、国内紛争による生死や、HIVよりマラリアや結核による死亡者の方が多いと訴える声も上がり、すべての言葉を理解したわけではないが、何か強く訴えるものは感じました。今後の動向に注目していきたいです。

 第7回アジア・太平洋エイズ国際会議:来年は2003年に延期になっていた第7回アジア太平洋エイズ会議が行われます。(財)エイズ予防財団やICAAPのブースでも反響が多いとの話を聞き、国内外から多くの参加者が得られると感じています。今回、タイのボランティアの方は、会場内の案内や会場からホテルへの送迎バスまで丁寧に親切な対応をしてくれました。またPWAラウンジでは、タイテーストのインテリアを配置しゆっくりできる休憩所が確保され、毎日適度に変わる食事メニューやタイ式マッサージは連日予約がいっぱいでした。このように遠方から出向いている私たちに快適な空間を提供してくれました。相当な準備を重ねた結果と想像できますが、これを参考に、来年は神戸に来てよかったと思われるよう7thICAAPに藤原代表と共に協力いきたいと思いました。成功するためには、国内から多くの患者・感染者の参加が不可欠ですし、参加できるよう働きかけをしていきたいと思います。自分自身、これから1年間学ぶことがたくさんありますが、今回の会議に参加したことを7thICAAPの成功と国内の患者・感染者ネットワークの構築、患者・感染者支援に結びつけていきたいと思います。神戸では、国内外のPWAとも再会できることを楽しみにしています。

  最後に、実際に見て感じたことを今後の活動に活かしていきたいと思います。このような機会を与えてくださった(財)エイズ予防財団の皆さまと、旅先においてお世話になったすべての皆さまに感謝いたします。ありがとうございました。