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第15回国際エイズ会議参加報告書

ICAAPスキルズビルディングワークショップ小委員会ユースフォーラム実行委員 
浅野円香

 

0.はじめに

 この度、第15回国際エイズ会議への参加にあたり、ご支援いただいた(財)エイズ予防財団及びICAAP(アジア太平洋地域エイズ国際会議)組織委員の皆様に御礼申し上げます。そしてとくユースを派遣団の一員として位置づけて下さったことに、感謝したいと思います。第15回国際エイズ会議では、本会議におけるユースの存在感が大きく、バンコクのユース委員会が掲げていた目標の一つは、「今後のエイズ会議においても『ユース』という枠が設置されるよう、その土台を築く」ということでした。そんな中、日本からユースが参加することには意味があり、来年のアジア太平洋会議のことを考えると、今後日本の若者が、バンコクに集まったユースの熱意を温め続けていくことが大事なのではないか、と思います。ユースを社会問題の対象としてではなく、資源とみなし、大人のパートナーとして認識して頂くための第一歩は、まずこうした機会を通じて互いの信頼関係を築いていくことではないか、と感じました。本書では、ユースという立場で参加した視点から、国際エイズ会議の「ユースプログラム」について簡単に述べたいと思います。

 

1.バンコク・ユース実行委員会のミッション

  1. 今後開催されるエイズ会議においてもユースという枠が継続的に設置されるよう、 恒久的なユースの土台を築くこと。
  2. ユースが自らの力で問題解決できるようにサポートすると同時に、HIVに感染している/影響を受けているユースが抱える問題を明らかにすること。
  3. ユースが互いに学び、分かち合えるように、考えや経験を交換できるようにサポートすること。                   
  4. 世界のエイズコミュニティーにつながるグローバルなユースネットワークを築くこと。
  5. HIV/AIDSと闘うためにユース・リーダーを指導し、育てること。
  6. バンコク各地域や世界中から300のユース・リーダーを集めること。

 

2.会議における、自分の公的役割

  私の公的役割は、ICAAPユースフォーラム実行委員として、日本でエイズ問題に取り組む若者の活動を、海外の人に紹介することであった。具体的には、2003年11月29-30日に神戸で開催された『ICAAPユースフォーラム2003』 の成果を報告することであった。そのために

  1. ポスターセッション(7月15日、10:00-12:00 Poster Exhibition)の発表
  2. 完全英語版報告書の配布
  3. 現地コミュニティ・プログラムのユース・コーディネーターとミーティングを行い、バンコク会議におけるユースプログラムの組織運営などについて伺う(7月15日)
  4. アジア・太平洋地域からの参加者、特にICAAPユースフォーラム2003にスピーカーとして参加してくれたユースとの交流・情報交換を行った。


 
3.会議における、自分の公的役割の成果

  1. ポスターセッション(7月15日、10:00-12:00 Poster Exhibition)の発表:
     タイ、韓国、インド、ウガンダのユース及びユース関係者に対し、ポスター・報告書・統計に基づいた日本のユースとHIV/AIDSの現状、ユースグループについて話した。

     教育や医療制度の整っている日本で、若い人のHIV感染者が増えている事実に驚嘆していた。日本のNGOで活動しているユースのスキルアップが必要であることを話すと、ウガンダのコーディネーターは地元のユースグループNaguru Teenage Information and Health Centreについての資料を下さり、ライフスキルプログラムの必要性について互いに意思確認ができた。ユースに関する情報が少ない韓国については、訪れた女性から地元の高校に対する「大人専門家」派遣事業についての話を聞いた。インド人の男性ユースとは、日本やインドにおけるリーダーシップについて意見交換し、アフリカや欧米のリーダー像とは少し異なっていることで意見が一致した。

  2. 「ICAAPユースフォーラム2003」報告書の配布
     バンコクのユース実行委員、第6回ICAAPユースフォーラム実行委員代表、ICAAPユースフォーラム2003に参加した海外ユース、第16回世界エイズ会議ユースフォーラム実行委員をはじめ、関心のある関係者に報告書を配布できた。

  3. ユース・ネットワークの構築
     バンコクユース実行委員会の第4の目標は、「世界のエイズコミュニティーにつながるグローバルなユースネットワークをつくること」であった。15日のユースフォーラムの閉会式では、世界の地域ごとに別れ、ディスカッションを行った。その結果、Global Youth Network の趣旨について参加者は合意し、さらにアジアの地域のミーティングの結果、Asia Youth Network が設立された。これは、各国から1名代表者を出し、代表間のメーリングリストをつくるシステムである。グローバルな場で発言していくためには、まず地域ごとで結束することの必要性が確認された。ユースは、Asia Youth Network(及びPacificのユースとの連携)を通じ、来年のアジア太平洋会議において、アジア・太平洋のユースの声を届けるための組織体制を敷くことを視野に入れている。

  4. 日本のユースが作成したビデオレターと、バンコクユース委員会のメディア部門が作成した映像記録を交換する約束ができた。

 

4.会議の成果を国内で還元する具体的計画

 

5.会議の感想

  世界会議で、日本のユースという立場に徹し、日本のユースとHIV/AIDSについてのみ話をすることの限界が感じられました。世界という舞台では、日本人・アジア人・女性・ユースといったアイデンティティーをうまく使い分けて議論をしなければならないし、「ユース」という概念が語られているコンテクストを汲み取らなければなりませんでした。つまり、グローバルなエイズ・パンデミックに占める15-24歳の割合についての議論なのか、アジアに独特な文化的背景を踏まえた社会問題についての議論なのか、若い女性が直面するジェンダー問題についての議論なのか、性行為が活発になる成長過程についての議論なのか、一個人・一地球市民としての議論なのか、とにかく自分が背負っているあらゆる肩書きが浮き彫りになってしまうのです。

 世界、特にアフリカや南アジアのユースの状況を聞くと、日本国内で活動しているユースの現状を一方的に訴えて、理解してもらうことは難しいことだと分かりました。日本というドナー国に住んでいる私たちは、途上国のユースが出しているSOSに応える役目も引き受けざるを得ない状況にあるのではないか、と感じました。たくさんの人が今、日本のユースを見ています。HIV/AIDSを含め、日本社会が背負っている国内問題、対外的な問題に積極的に取り組んでいく意欲的な仲間(ユースリーダー)が増えることを願います。