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第16回国際エイズ会議参加報告書

国立病院機構九州医療センター免疫感染症科 
南 留美

テーマ:HIV感染者/エイズ患者のサポート、チーム医療について

2006年8月14日から8月18日まで第16回国際エイズ会議に出席しましたので、今回、与えられた「HIV感染者/エイズ患者のサポート、チーム医療について」のテーマに沿って会議にて得た情報を紹介いたします。

サポート全般に関しては、経験をもとにした「Community-Based individuals providing care」の報告がありました(MoLP02)。Communityの中でチーム(HIV感染者、医師、看護師、薬剤師、カウンセラー、栄養士、ボランティアなど)をつくってサポートを行っていき、communityの中にある病院で診ていく方法です。HIVに関する知識の普及、アドヒアランスの維持、食事のサポート、ペットの世話等、サポートの仕方は地域によって様々です。またHIV感染者が数人のグループを作って定期的に個々の問題点を話し合い解決していく「HIV/AIDS self-care symptom management manual」の紹介もありました(WEPE0214)。一方、地理的、精神的に孤立した感染者に関しては「Home-Based management」(身体、精神面でのケア、収入、就学など社会資源の供給など) を強力に行い、多くの家庭で成功していると報告がありました(MOPE0646)。CommunityがHome-based managementの方法を指導し双方でケアを行っているところもありました(THPE0218)。いずれの地域でもボランティアの活躍が目立ちました。個々の患者のデータをカードに記憶させてすぐに参照出来るようなシステム(WEPE0109)や電子カルテ(WEPE0093)、ネットワークシステム(日本で言うA-net)の普及などの工夫も報告されていました。

患者をケアする上で患者と病院とのつながりを維持すること、およびアドヒアランスの維持が重要であると考えられます。患者へのアンケートの結果、医療者側へ信頼を寄せているほうが病院とのつながりが強くアドヒアランスも良好であったという客観的なデータもありました。また、health workerによる電話や訪問、ナースやカウンセラーとともに行うグループセッションによる動機付けが病院とのつながりを強めるのに役立ったという報告が多数ありました。アドヒアランスに関しても、医療者からの電話(TUPE0144)やナースの訪問(TUPE0152)、アドヒアランスカウンセリングやグループカウンセリング(TUPE0146)、セルフレポートなどがアドヒアランス向上に役立っていました。Adhereance support workerというボランティアの活躍も見られました。またアルコール依存(THPE0163)や鬱(TUPE0142)はアドヒアランスの低下に繋がることから精神面が重要視され、精神的なケアのためのホームページの紹介もありました。またAmerican Psychiatrid Associationの演者の方からはメンタルヘルスについて沢山の資料を頂きました。HIV感染に関連した不安や気分障害、鬱、不眠、依存症についての原因や診断法、治療法が簡潔にまとめられており、私自身、今後の診療に役立てていく予定です。

今回の学会で、日本は抗HIV剤の導入を始め、感染予防や患者ケア、サポートの面で、まだまだ世界のレベルに到達していないことを実感しました。日本では毎年、HIV感染者の報告数が増加しています。今回学んだことをまず身近なところから応用していけるよう努力したいと思います。