HOME >> 資料室 _ 関連学会情報 >> 第16回国際エイズ会議(トロント)/2006年 >> 参加報告書

第16回国際エイズ会議参加報告書

りょうちゃんず 
代表 藤原良次

2006年8月13日~18日にカナダ・トロントで開催された第16回国際エイズ会議に出席致しましたので報告致します。

エイズ予防財団から与えられた課題は「PWAのQOL及び予防ついての情報収集」とのことでしたので、それを中心に報告致します。

全体的な印象ですが、HIV陽性者の増加が懸念される東欧の情報がない。アフリカに加え、アジアの報告が増えたとの印象でした。アジアに関しては昨年の神戸会議で主催者側に廻ったことで、意識しはじめたからかもしれません。また、カナダが思ったよりスローリーな国柄なのにも驚きました。

次回アジア会議開催予定のスリランカの陽性者の方と昼食を共にする機会に恵まれ、スリランカでも陽性者は増加しているとのことでした。又、彼自身は無職であり、カナダ入国に苦労したとのことでした。また、北側のレジスタンス活動が活発で、首都コロンボでもテロがおきておるとのことでした。カミングアウトした陽性者は7人ですが、日本でのカミングアウト数と大差ないと思いました。

最初のテーマである「PWAのQOL」については新規治療薬の開発が大きく影響いたしております。今回はセッションに出た3剤の報告をいたします。

最も早く使えそうなPI(プロテアーゼ阻害)剤ベーリンガー・インゲルハイム製のTipranavirは500㎎とリトナビル200㎎を一日2回(8錠)服用で有効であり、副作用は肝機能障害、脂質(中性脂肪)上昇との報告がなされていました。こちらは掲載された「THE LANCET」を配布資料としていました。別のPI剤、tibotec製のTMC114(ダルナビル:米国申請2006.6.23)で、一日2回(6錠)600㎎とリトナビル100㎎を服用することにより、多剤耐性ウイルスにも効果あり、CD4数、ウイルス量低下も既存のものより反応がよいようです。さらに、PI剤ロピナビル失敗者でも有効であるとの報告でした。又、副作用については、下痢は少なく、脂質(中性脂肪)代謝異常が認められたとの報告があり、ロピナビルを最後の治療薬として温存している患者には朗報であると考えます。

新しいNNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害)剤はフェーズ3のものがあるようです。

その他の新薬情報では、アタッチメント阻害剤TNX355、pfizer製のCCR5は現在フェーズ3に入っているとのことでした。また、インテグラーゼ阻害剤MK0515、フュージョン阻害剤TRI1144、TRI999も製薬メーカーブースにありましたが、まだ先のようです。いずれにしても。製薬メーカーの情報であるので、100%信頼するわけにはいきません。しかし、選択肢のないエイズ患者の希望であることはまちがいないと考えます。実際の治療現場では、患者が選択することが重要であると考えます。

予防につてはアフリカやアジアの取り組みが報告されており、習慣、風俗、経済等の違いからか日本の問題とは異なっていますが、予防や教育は人権(Human Right)を強く意識して取り組まないといけないことは共通の課題であります。さらに、日本においては戦略的な取り組みがなされていないことが陽性者の増加の原因であることは明白であり、政府の強いイニシアティブが望まれます。

今回はNAPWAの「NGOの問題」とAPN+の「ピア・カウンセリング」のスキルズビルディングに参加しました。神戸にてPWAラウンジ主催でスキルズビルディング形式のPWAミーティングを開催したことがきっかけで興味がありました。内容は、私たちの組織ではすでになされていることであり、特に、ピア・カウンセリングにおいては、我々の方が優れている部分も多くありました、しかしながら、自分たちがつくりあげたマニュアルを各国のNGOに示す大きさには見習うところが大きかったです。

権利擁護活動(アドボカシー活動)はセックス・ワーカー、ハームリダクション、同性愛者等マイノリティの方が困難な条件下でアドボケイターとして活躍されていました。日本では、私も微力をつくしています、血液製剤でHIV陽性者となった人がアドボケイターとして活動されている特殊な事情があります。しかしながら、日本ではカミングアウトできる環境にはありません。このことが、陽性者のQOL向上を妨げる大きな要因です。遠いゴールですが、続けていく覚悟を改めていたしました。
個人のテーマであるPWAラウンジですが、ラウンジの広さ、食事等の飲食物の豊富さ、マッサージサービス、室内装飾も含め、居心地の良さは比べようもありません。しかし、身内褒めですが、スタッフは、昨年の頭も負けてはいませんでした。

最後に、「HIV陽性者による陽性者の支援」「HIV陽性者の世界的な連携」「GIPPAの更なる取り組み」「ユースの支援活動」「予防法指針とサーベランスに基づいた予防の国家的戦略にHIV陽性者として関わる」の5つを自己の課題として、大阪HIV薬害訴訟原告団、りょうちゃんず二つの枠の中で、スキルの構築、実践、研究の分野で活動していきたいと考えています。