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第16回国際エイズ会議参加報告書

大阪HIV訴訟原告団 
澤田清信

2006年8月13日~18日にカナダのトロントで開催された第16回国際エイズ会議に参加いたしましたので、報告いたします。

・抗HIV薬について
この学会でトレンドな話題と言えばTibotec社から発売された新薬のプロテアーゼインヒビター(以下PI)TMC114(ダルナビル?)(米国2006.6.23承認)だと思われます。
TMC114の特徴として、

  1. 既存の薬で効かない多剤耐性ウイルスにも効果を示す
  2. コントロールのPIに比べCD4数が5倍増加
  3. コントロールのPIに比べウイルス量が検出限界以下になるのが4倍近く早い
  4. コントロールのPIに比べ下痢の頻度が低い
  5. 脂質変化(HDL,コレステロール、LDL)においてはあまり変化がないが、トリグリセリ ド(TG)においては、上昇傾向にある。

と言われています。用法用量としては、リトナビルでブーストして使用することが望ましく、TMC/rとして600mg/100mgを1日2回(1日6錠)食後に服用するという事になります。症例報告では、LPV/r(カレトラ)で治療失敗後、TMC/rを使用することでCD4数増加、ウイルス量が検出限界以下になった例も報告されていました。

その他のPIではベーリンガーインゲルハイム社からtipranavir(aptivus?)(以下TPV)の報告もありました。TPVもリトナビルでブーストをかけて使用します。用法用量としては、TPV/rとして500mg/200mgを1日2回(1日8錠)食後に服用します。主な副作用として肝機能上昇(B、C型肝炎ウイルスに感染している人は注意)、中性脂肪(トリグリセリド)やコレステロールの上昇などがあります。

最近では、新しい抗HIV薬の機序であるインテグラーゼ阻害剤(MK-0518)やフュージョン阻害剤(TRI-1144、TRI-999)が開発されているので注目して動向を見ていきたいと思われます。

またエントリー阻害剤に分類されるアタッチメント阻害剤(TNX-355)、CCR5阻害剤(Maraviroc)は治験段階(第2、3相)、非核酸逆転写酵素阻害薬(NNRTI)であるTMC125(Tibotec社)が1日2回1回200mg服用で第3相試験中であるとのことでした。

ずっと薬を服用し続ければならない当事者にとってウイルスと戦うことが最重要ですが、同時に副作用とも戦っていかなければならないという現状があります。現在では、慢性疾患とまで言われるようになっていますが、今後はAIDSで亡くなると言うよりも副作用が原因(例えば脂質代謝異常→動脈硬化→心筋梗塞→死)で亡くなる人が多くなっていくのではないかと思われ不安は感じます。今後、もっと副作用対策にも力を入れた開発をしてもらえたらと思います。


・ HIV/AIDS患者のQOL及び予防について
使える薬が増える、新薬が開発されていると知ることは、QOLを上げる1つの要因にもなると思われます。当事者からすると生きる希望が出てくると思われます。アフリカ、諸外国等でもピアカウンセリングが積極的に行われていますが、ピアの人たちといろんな問題や状況を共有することによってQOLを上げていることはどこの国でも同じであると思われました。また予防に関してもピアカウンセリングによって行動変容し予防できる。という報告がありました。今回の会議に参加させてもらい、いかにピアカウンセリングが大切なのかを実感しました。またコンドームの使用においては、積極的に推奨する活動、使わないで禁欲するといった考え方があり、国家、人種、風習などによって違うことを知り、予防介入の奥深さを感じました。


・おわりに
2006年の会議テーマは「実現の時」と言うことで、自分自身が当事者としてこれからどのようにHIV/エイズと言う問題に向き合い、関わりそして取り組んで行けるかを考え、実現していくのかが今回の学会に参加させてもらえたことで見えてきた感じがします。またいろんな人達と出会い、同じテーマでいろんな見方、考え方を共有できたことは、生きていく上で大きな財産となりました。今後、医療の追求だけでなく、今まであまり自分自身が取り組むことができなかった予防・啓発活動などにも目を向けて、ピアだからできることを積極的に行い、活動していきたいと思います。