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第17回国際エイズ会議 参加報告書
 

立教大学異文化コミュニケーション学部
CASTRO-VAZQUEZ,GENARO

第17回国際エイズ会議派遣事業に参加させていただき、日本における障害とHIV/AIDSに関する研究成果の発表ができました。さらに、日本における男子亀頭包皮切除(男子割礼/male circumcision)に関する問題が今後の研究課題として導かれました。HIVウイルスがペニスの包皮の内部表面に存在する説は、2006年に南アフリカ共和国とケニア、ウガンダの3ヶ国で実施された、ランダム化比較対照試験の結果を受けたものです。この試験では、割礼によって男性のHIV感染が半数以上減少するという結果が得られ、特定の細胞(HIVレセプターを持っているラングハンス細胞)からの感染経路が提起されました。従って、この内部表面のHIVレセプターの大部分を取り去る男性の割礼がHIV感染に対して重要な防御対策になっています。実際、包皮を切除された男性はHIVに感染する可能性が2倍から8倍低くなると言っています。30カ月におよぶ研究期間中、割礼した50人は誰一人HIVに感染しなかったのに対して、割礼していない男性137人中40人がHIVに感染した事が確認されました。このことは、HIVが男性のペニス包皮の裏側か尿道を通して入ることを証明しています。なぜならHIVの断片がこれらの部位で抗原提示細胞上に見いだされたからです。主要なHIV感染のほとんどのケースは、初めに抗原提示細胞上のHIVレセプター(CD4とCCR5)にHIVが付着すると考えられます。抗原提示細胞は、生殖器や肛門の粘膜に存在するマクロファージ、ランゲルハンス細胞、樹状細胞などを含みます。ケニアの大部分の民族では、成人になるための通過儀礼として割礼が行われています。ただしコンドーム装着の重要性が減るわけではないので国民の批判が出かねず、プログラムは非常に慎重に実施されなければならないです。

さらに、割礼に関するセッションにおいて、主に、次の問題点が挙げられました。

  1. 男性の割礼が拡大しているのに、性に関する快楽と機能性の影響については、まだ充分に検討されてない。それでも、無割礼群と割礼群の比較データを用いたケニアでの研究は、割礼が、性的なパフォーマンスに影響を与えないと立証した。
  2. 男性の割礼とHIV感染率との関係は、統計上まだ完全には説明が出来ていないため、モデルを提案する際に、様々な要素を取り入れている。しかし、モデル思考する場合は、HARTとHIV感染との相関や、本人のセックス相手の人数と特定度、セーフセックスと割礼の関係を考慮しなければいけない。特に、男性の割礼の推進より、HIVの抗体検査を優先するべきである。
  3. 男性の割礼は、確かにHIV/AIDS予防に有効だが、コンドーム装着を不要するものではないため、男性の割礼に関わる公衆衛生政策は、さらに検討する必要がある。特に、成人男性の割礼は、その内包する危険性・利益・費用を考えなければならない。

今回、第17回国際エイズ会議に参加する機会を得たことで男性の割礼とその機能に関する知見を深めることができたことは筆者にとって非常に意義深いものでした。関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。