HOME >> 資料室 _ 関連学会情報 >> 第17回国際エイズ会議(メキシコ)/2008年 >> 参加報告書

第17回国際エイズ会議 参加報告書
 

東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻 
島村 珠枝

1. 専門分野でのセッションの概要

世界のHIV感染者の75万人が結核を発症し、HIV合併結核により23万人が死亡すると言われている。特にアフリカにおいて、結核はHIV感染者にとって最大の死因であり、結核とHIV感染はイコールと言えるほどである。抗ウイルス療法を行っている患者であっても、日和見感染症の中で結核の罹患は多く、先進国でもまた大きな問題と言える。TB/HIV対策を進めていくために、以下の2点が特に強調されていた。

1) ‘Three I’ strategy

WHOが現在推奨しているHIV/TB合併感染の戦略として、‘Three I’ strategyがある。‘Three I’ とは、以下の3つを指す。

  1. HIV感染者へのイソニアジド予防内服
  2. HIV感染者における、結核患者の発見の強化
  3. HIV感染者への結核感染制御
    ‘Three I’ は、WHOがまとめたTB/HIV活動を協調して進めるための12の政策の一部である。

これらが積極的かつ強力に実行されると、HIV合併結核に非常に大きな影響を与えることができると考えられる。

2) Coordination and Collaboration between the TB and HIV communities

上記の ‘Three I’ strategyを含めた戦略を進めていくためには、結核対策とHIV対策の両者の協働が求められる。この協働は選択肢の1つなのではなく、必須のものである。これまでも協働の重要性は認識してきたが、それだけでは充分ではなく、実際に協働を始め、進めていかなければならない。結核対策とHIV対策の2つのプログラムの協働を進めることは、HIV合併結核の患者の負担を減らし、生命を守ることにつながる。

2.選考基準となった会議における公的役割の成果

poster exhibitionでは、以下のような意見をいただいた。
日本のHIV合併結核の患者数がまだ少なく、関心のある保健医療従事者が少ないという本研究の結果は仕方がないことである。本研究の参加者は、研究に協力しているという時点で関心が高いと考えられる。質的研究であるので研究の結果を一般化するのは難しい。今回の結果を基に、さらなる研究を進めていく必要があるだろう。TB/HIVに着目している研究者が日本にいるということは非常に重要なことである。今後もこの分野で研究を深めていってほしい。

3.会議の成果を国内で還元する具体的計画

会議で得た知見や経験を、結核予防会発行の冊子「複十字」で公表するほか、結核研究所主催の研修において報告する。また、所属する研究室の教室員等との意見交換を通して、今後のHIV対策について考察を深めていく。

4.会議の感想

私は今回、初めて国際エイズ会議に参加した。会議の参加により、世界のエイズ対策の現状を身近に感じることができた。日本ではHIV感染者は増えているものの、関心は低く、世界的にみると感染者の非常に低い国でもある。諸外国ではエイズの問題は非常に大きく、国を揺るがす問題であるということや、感染症というボーダーレスな問題であるからこそ、感染者の多い国だけではなく世界的な視野を持って考えていかなければならないということを、肌で感じることができた。

また、今回の会議では、時間が合わず参加できなかったが、HIVと肝炎ウイルスの合併感染のセッションに関心を持った。日本でもC型肝炎のキャリアは多いので、今後問題になってくると予想される。今後の国内外の動向に注目していきたい。

世界エイズ会議には、世界中から、医学、社会学、NGO/NPO、ユース、HIV陽性者など、様々な立場でHIV/AIDSというテーマの下に人が集まっており、その多彩さがとても興味深かった。今回のツアーメンバーも、様々な立場の方が参加されていた。普段エイズ予防啓発活動に従事する中で、その存在は認識しているものの、普段なかなか接する機会のない方々と話をしたり、意見を交換することができたことが非常に貴重であった。話をしてみると、意外な接点があったり、共感できる部分も多く、今回のツアーメンバーと出会えたことが今後の自分にとってとても良い影響を与えるものであると思えた。