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第17回国際エイズ会議 参加報告書
 

大阪HIV薬害訴訟原告団
藤原 良次

2008年8月3日~8日まで、メキシコに首都メキシコシティで開催された第17回国際エイズ会議に参加してきましたのでご報告いたします。今回のメキシコ会議はラテンアメリカで開催された最初の会議です。

オープニングセレモニーから報告します。会議テーマが「UniversalActionNow~今こそすべてに行動を!」であり、言い争いをしている場合ではなく行動をおこす時だといっています。特に、「ホモ・フォビア」「Women」「SexWorker」「IDU(ドラックユーザー)」等の具体的言葉がでました。特に「ホモフォビア」が主催者側から、はっきり表現されたのは僕の記憶では初めてであり、男性間性行為の感染が世界的な問題であり解決すべき優先課題であると改めて思いました。もうひとつ、この問題に携る人の力が表現化させたとも言えます。国内では薬害被害は終ったと思われている私達も見習うところを感じました。

メキシコの取り組みでは、トリートメントセンターがメキシコシティに開設され、トリートメントアクセスが向上したことを発言しましたが、ブーイングもありました。

ピーターピオットは初めて感染率が下がったがIDUの問題やこれまでうまく行っていた地域での感染増加等まだまだ安心できないと言っていました。

また、コンビネーションセラピーがあるようにコンビネーションプリベンションが必要だと言っていました。コンビネーションプリベンションとは地域性や社会的公正さを考慮した予防のことです。もうひとつ、エイズをノーマライゼーションしては行けないといけないといっていました。

最後、HIV陽性者のカンボジアの女性は結婚相手が死んでから自身の感染を知ったこと、威厳ある人生のために活動していること。カンボジアでは結核で命をおとしていること、MSM、セックスワーカー、IDU、トランスジェンダーが不当に差別されていることの現状を話してくれました。「薬があればいいってものではない」との発言は強く頷けるものがありました。

後日、カンボジア活動しているドクターとお話する機会がありましたが、TB(結核)はひどく、日本では死んでいる状況でも退院しているそうです。TBが蔓延する土壌がカンボジアにはまだまだ存在しているのでしょう。

南アフリカではビジネススクールでの予防プログラム構築をしており、ヤングエグゼクティブが自らプログラムを実践することによりHIV感染を防げると予想しています。国、企業、アカデミーが一体のなった取組みは日本にはなく進んでいると感じました。

今回のPWHAラウンジについて、キャパシティは十分ではありませんでしたが、マッサージサービスやベッドも配置してあり、出される食事もとてもおいしいものでした。ただ、居心地のよさをそれほど感じなかったのは、常にいっぱいでリラックスできなかったことと、そこがPWHAにとって安全な場所ではなかったことが原因です。HIV陽性者が増加していることを考えるとキャパシティは広いほうがよいと感じました。

8thICAAPのブースに行き、開催国のバリの実行委員に協力、特に、PWHAラウンジ運営のノウハウの協力を約束してきました。

グローバルビレッジでの「感染させたら犯罪か」がテーマのセッションに参加しました。今回はこれについて詳しく意見も踏まえて書きます。

私の感染は血液感染です。また、感染したことが不当であったと裁判を起こし和解しましたが、今尚誰でもが表面に出ないのは今度は感染させる側として生きるためです。そこには、差別や偏見から身を守ることも含まれます。

性行為が子供を作る手段という意味合いがあるとすれば、体外受精の方法があるものの、自然分娩もあってもいいと思います。その際、パートナーへの感染の危険性はあります。それ以前に性行為自体は個人です。アイデンティティーといってもいいでしょう。それは誰からも犯されてはいけない基本的人権だと思います。しかし、パートナーにも同じものがあります。HIV陽性にはならないほうがいいに決まっています。そこに、訴訟手段が存在するのも仕方ないと思います。しかし、演者のひとりがいったように「訴えた方も訴えられた方も関わった人も誰もハッピーにならない」の言葉どおり訴訟で解決するのでなく、お互いを尊重する思いや態度で解決できる社会でないと寂しい気がします。
本当はウイルスの病気なのに、そこに、性的嗜好、経済、国の施策、差別、偏見が存在し社会的病気との位置付けがされています。予防、教育、検査、陽性者支援、医療、行政その他様々な分野に関わる人があと一歩本気で歩めばウイルスの病気に戻るのではないかと思います。

最後にスカラシップの配慮と会議期間中にお世話になった木村哲理事長をはじめ財)エイズ予防財団、同行のすべての方に感謝いたします。今後の取り組みにて社会にお返しできることがあると確信しています。