HOME >> 資料室 _ 関連学会情報 >> 第17回国際エイズ会議(メキシコ)/2008年 >> 参加報告書

第17回国際エイズ会議 参加報告書
 

社会福祉法人 はばたき福祉事業団
柿沼 章子

HIV感染者の就労

HIV陽性者の就労に関して他国の現状、どのような取り組みがあるのか情報を得ようとHIV on the Jobというセッションに参加した。カナダ、インド、南アフリカ、ジャマイカ、ロシアから発表があった。全般的に言えることは、実際には各国の事情にもよるようだが、カナダから報告された「APECやILOに基づき政策的な方針はあるが、政策を作っても引き出しに入っているだけ」という表現が現状を的確に表していると感じた。会場からの発言者(米国のトラック労働組合)は「人間を物として扱っていないか?HIV感染者に対する国際的な基準があるようだが、国々の事情があるし上手く機能するかは疑問」と述べた。

南アフリカではMBAのカリキュラムにHIV陽性者雇用に関する内容が含まれており、またインドや中南米でも教育を通して、ロシアは制度・法律は定めることによって国をあげて取り組んでいる。しかし、成果がみられるのはまだまだ先のようである。

就労だけに限らないのであろうが、HIV/AIDSに関する問題の根底には『差別・偏見』がある。課題は明確であるが、それを解決するため方策が具体的なものとなりHIV陽性者の就労に支障がないところまでのものにすることはかなり困難を極めているようだ。

今回、私が知りたかった現状とはHIV陽性者の職場での現実である。このような学会での当事者の発表は難しいのかもしれないが、当事者の話として実例を聞きたかったのが本音である。

教育 

At School : Student, Educators and HIVというセッションは会場が小さいこともあったが、大変人気があり会場外に多くの人があふれ、参加することができない人々が「自分も入れろ」と会場前でもめていた。このことからもわかるように、教育は非常に重要だと考えられており、多くの人は他国ではどのような教育が行われているか興味をもっている。

アフリカの国々では、学校教育で生徒らに教育を行うのはもちろんのこと、教師がHIV陽性者というケースが珍しくないため彼らのサポート、特に女性教師のエンパワーメントが課題だとされていた。教育を行う立場の人が陽性者という、微妙でありながらも最大の教育となりうるとも思えた。

また他のセッションでは、アジアの国では母子感染による子どもへの感染、治療等の問題が取り上げられており、特に小さな子どもに規則正しい服薬を理解させるための教育が必要とされていた。予防教育が主とされる中、上記のような観点から病気としてとらえたHIV感染症自体の教育も必要だと考えられる。

まとめ

HIVに関する諸問題の根底には『差別・偏見』がある。現在、はばたき福祉事業団でも取り組んでいるHIV感染者の就労に関してもその壁は非常に厚い。その解決のためには教育こそが一番であると思うのだが、日本ではHIV教育=性教育とイメージされるためか学校教育では敬遠されがちである。それでは健康教育という視点でHIV教育を展開するのはどうであろうか。現状を考えると感染予防は最重要課題であること重々わかりつつも、予防教育と平行しながら将来を視野に入れた新しい切り口で教育を考えていくことがHIV全般の問題解決に必要であると感じた。