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第19回国際エイズ会議 参加報告書
 

名古屋市立大学 看護学部 感染疫学教室
岩橋 恒太

1.派遣期間

平成24年7月21日~7月27日

2.会議での公的役割

3.会議での活動の概要

●示説 ポスター発表
示説の概要については、以下の通りである。
タイトル:2010年度首都圏居住MSMに向けたHIV抗体検査促進のためのキャンペーン『できる!-we can do it!-』の構成と効果
―エイズ予防のための戦略研究 MSM首都圏グループ

co-author:
岩橋恒太    名古屋市立大学、慶応義塾大学院
市川誠一   名古屋市立大学
塩野徳史   古屋市立大学
金子典代   名古屋市立大学
ジェーンコナー   名古屋市立大学
生島嗣   特定非営利活動法人 ぷれいす東京
荒木順子   特定非営利活動法人 akta
柴田惠   特定非営利活動法人akta
木南拓也   特定非営利活動法人akta
高野操   国立国際医療研究センターエイズ治療・開発センター、公益財団法人エイズ予防財団
岡慎一   国立国際医療研究センターエイズ治療・開発センター
木村哲   公益財団法人エイズ予防財団
 我が国では、年間の新規エイズ発症者の報告数が増加し続けている。特にMSMにおける発症者の増加が著しい。エイズ発症のケースを減らすには、感染予防に加え抗体検査の普及が必要である。厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業「エイズ予防のための戦略研究」MSM首都圏グループでは、2010年度に首都圏(東京都、神奈川県、千葉県)居住MSMを対象にHIV感染の早期発見と早期受診を促すキャンペーン「できる!」を実施した。報告では、このHIV抗体検査促進キャンペーンの構成と質問紙調査を通じた効果分析を行い、紹介を行った。
 キャンペーンは、首都圏居住のMSMを対象に2010年6月~12月に実施した。MSM向けHIV検査情報提供に協力する検査施設情報、陽性者の経験談、支援情報等を掲載した資材を開発し、2ヵ月ごと、4パターンでビジュアルおよび掲載情報を更新して展開した。キャンペーンの普及方法は、首都圏にあるMSM向け商業施設への資材配布、および資材と同内容の情報を掲載したwebサイトでの広報とした。また、資材認知の指標アイコンを設定し、アウトリーチ対象地域での「バー顧客調査」での指標の認知および受検率の変化を追った。調査はキャンペーン実施前(2009年2月)とキャンペーン実施後(2011年2月)に行い、その推移によって効果評価を行った。
 首都圏にあるMSM向け商業施設に対し18,000部(1期平均4,500部)のキャンペーン資材を配布した。また、本キャンペーンのwebサイトの閲覧人数は、1ヵ月当たりのべ3,533件~9,946件で推移した(月平均6,106.4件)。バー顧客調査の回答者数は1,428件(2009年)、1,749件(2011年)だった。2009年に指標の認知割合が全体の25.4%であったのに対し、2011年では51.7%と増加していた。受検率については、キャンペーンの資材パターンの認知別に「すべて知らない」「いずれか1つ」「いずれか2つ」「いずれか3つ」「すべて認知」の5群に分けて分析した。生涯受検率はそれぞれ51%、58%、68%、67%、74%で、過去1年間の受検率は20%、25%、31%、33%、41%だった。
 バー顧客調査において、キャンペーンの指標の認知割合が増加したことが明らかになった。また検査行動についても、資材の認知数と受検率に有意な関連があり、認知数が多いほど受検率は高くなることが明らかになった。このことから、「できる!」キャンペーンは、首都圏居住のMSMの検査促進に有効だといえる。

 当日、報告会場で外国の複数の研究者および地域でHIV対策に関わるNGOメンバーに対して、調査手法と調査結果について紹介する機会となった。特に、アジアおよびアフリカの参加者からの質問を多く受けることができた。質問者からは、MSMを対象としたプログラムを実施、評価を、自国の文化的背景に適合したかたちで行うのに参照したいとのコメントを多数受けることができ、またシンガポールの研究者とは、シンガポール国内において本プログラムの紹介を行うことを約束した。このことは、エイズ予防のための戦略研究でのプログラムが国内のみならず、海外においても有益性がある可能性を示唆する。

●国際ネットワーキングミーティングへの参加
 今回、報告者が日本のFocal Pointとして参加した、Developed Asia Network on Sexual Diversity(DAN)は、以下のような目的をもって構築されたネットワークである。

  To improve common understanding and strengthen the capacity of groups working in sexual health in Developed Asia, regardless of sexual orientation or gender identity. The network will advocate for effective programs and policies that seek to reduce HIV and STI transmission for those.

 アジア圏の先進地域間における共通理解を深め、当該地域で性的健康(セクシュアルヘルス)に取り組む団体の能力を強化することを目的とする。 その際、性的指向や性自認(ジェンダーアイデンティティ)を限定しない。本ネットワークは、HIVと性感染症の感染を減少させるために効果的なプログラムと政策について、提言をしていく。

 2010年12月、シンガポールでの会議において、Network Working Group Meetingの組織化が行われた。今回は第3回目の国際会議となる。参加国・地域は以下の通りである。
 Network Working Group Meetingでは各地域からFocal Pointが集まり、各地域の疫学動向およびプログラム、政策の課題について共有し、共通の課題について議論を行った。今回は2012年~2013年のDANの年間プログラムについて、集中して議論を行った。議論したアジェンダについては、下記の通りである。

DAN Caucus - AIDS 2012
場所:Global Village, Booth 808 - Asia-Pacific Networking Zone
日程:7月24日4:30pm - 5:30pm
Agenda:
Attendees:
Observers:
 報告者からは日本の疫学状況およびMSMを対象とするHIV対策の状況などについて、共有を行った。議論した内容については近日中にまとめ、公開を予定している。

4. 会議の成果を国内で還元する具体的計画