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第20回国際エイズ会議 参加報告書
 

HIV/AIDS Action Team At SHARE (HAATAS)
鈴木有佳

自分がかかわっている分野を中心としたテーマの報告
 この度、第20回国際エイズ会議へ、特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 HIV/AIDS Action Team At SHARE (HAATAS)のHIVピアエデュケーターとして、参加助成を頂きました。私は日本で若者向けにHIVの予防啓発・教育を行っており、本会議では予防的観点及び日本の若者向け活動に役に立つ情報収集・情報交換を念頭にセッション等へ積極的に参加致しました。

参考となった研究発表の内容とその理由
 会期中、数多くのセッションに参加しましたが、中でも下記のセッションが大変勉強になり、印象に残っています。
 "Community Skills Development Workshop Dynamic, Diverse, & Inclusive: Evidence-based Approaches to HIV and Sexual Health Peer Education for Young People"
 これはオーストラリアのピアエデュケーショングループYouth Empowerment Against HIV/AIDS (YEAH) がメインになり、5ヶ国の若者ピアエデュケーターが開いた、若者向けピアエデュケーションをより良くするためのワークショップ形式のセッションでした。
 セッションは、通常YEAHが授業で用いているアイスブレイキングで始まりました。これはただ場を和らげるだけではなく、参加者間で性にまつわる個人の考えを自然と表現し、話し合えるものとなっており、参加者を授業の内容に巻き込む効果的な手法で、大変参考になりました。
 次に、このセッションでは、ピアエデュケーションにおける事前の計画の大切さが強調されていました。特に文化への配慮 (cultural sensitivity)については、民族的な文化だけでなく、それぞれのコミュニティ、学校、年齢等の細かな単位においても多様性のある文化について、事前の下調べや、関係する方との話し合いを通して、計画段階から配慮することが、当日に参加者をより巻き込み、より効果的な情報伝達および行動変容へと結びつくため、重要であることが確認されました。
 また、文化に加えて、多様な性へ配慮した言葉の選び方も、授業の計画・実施にまつわる重要な要素として挙げられていました。実際に、例文と絵の描かれたカードを使って、「この言い方では誰が受け入れられたと感じ、誰が疎外されたと感じるか」を考えるワークを行うことで、言葉や態度による参加者への影響を具体的に知ることができ、性的マイノリティ・マジョリティ関係なく、全員を巻き込むことが大切であると再確認しました。
 最後には、ピアエデュケーションの経済性について触れられていました。少ない資金で多くの対象者に参加者と近い目線でメッセージを伝えられる点で、ピアエデュケーションはとても良い性教育の方法であると説明されていました。
 以上のように、若者向けピアエデュケーションの意義や実際の計画の立て方および注意点など、大変勉強になり、今後の日本での活動でも十分に生かしていきたいと思います。

会議の成果を国内で還元する具体的計画
 今回の会議で得させて頂いた最新の国際的なエイズ対策に関する知見は、HAATASとして、高等学校での授業、HIV関連イベント、勉強会等で日本の若者向けに広め、日本のエイズ対策に貢献させて頂きます。また、ピアエデュケーションのワークショップで学ばせて頂いたことは、HAATASメンバーとも共有し、日本の若者向けHIVピアエデュケーションがより効果的なものとなり、更に日本でHIVピアエデュケーションが今後広まっていくよう、活用させて頂きます。

会議の感想
 今回、国際エイズ会議に参加させて頂き、セッション内外でオーストラリアや中国のピアエデュケーターの若者とじっくり話をする機会を持つことができました。どちらの国の団体も、若者向けの性教育の重要な機会として、国や国際機関から援助を受け、しっかりと組織化されたピアエデュケーションを行っていました。世界的にもHIV対策資金はこれ以上増やすことができない状況が続き、限られた資源を用いてより良い費用対効果が求められる中、経済的で効果的な手法としてピアエデュケーションが注目されていることが印象に残っています。
 また、会議場のエイズ予防財団のブースでは、日本の若者向けエイズ対策の例として、HAATASの活動を紹介させて頂きました。日本のHIV新規感染者のうち7割がMen who have sex with men (MSM)であるという疫学データから、日本では資源と対策がMSMに集中的に配分されています。並行して、セクシュアリティにかかわらず、若者が性に関する正しい知識を得た上で、行動を変えて行く手助けをする活動は、他の先進国に比べて学校での性教育の実施が難しい日本では特に重要であると感じました。