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■ 20世紀末現在における世界のHIV/AIDS流行状況 UNAIDS(国連合同エイズ計画)およびWHO(世界保健機関)は、HIV/AIDSと共 に生きている成人および小児の感染者・患者は、2000年末までに世界中で合計3,610万 人に達するであろうと推計している(図1)。このうち15歳から49歳までの男性は1,820 万人と推計され、男女の比がほぼ1:1に近くなっていることが特徴的である。同時にまた、西暦2000年1年間で、15歳未満の小児60万人を含む530万人が新たにHIVに感染したであろうと推計された。 世界におけるHIV/AIDSの流行の開始以来、2000年末までに2,180万人の成人や小 児が死亡しているものと推計されるが、その数は依然増加し続けていて、西暦2000年だ けで300万人が亡くなっているだろう。女性の死亡の増加は特に著しく、成人において は52%が女性で男性を上回ると考えられる。 AIDSを発症した患者数については、各国の報告に基づいてWHOが集計している。2000年11月25日現在で、231万2,860例のAIDS患者数が報告されている。これは1999年11月から11万1,399例の増加であるが、先進諸国における治療による減少を上回って、開発途上国特にサハラ砂漠以南のアフリカ諸国での患者数の増加が著しい。サハラ砂漠以南アフリカの15の国々では、西暦2000年1年間に8万1千例以上の新規患者(発症者)の報告があり、その地域での累積数を1割増加させた。HIV感染者(未発症者)とAIDS患者(発症者)の比は、その地域(国)による流行の歴史の長さや治療などの対策の違いによって、大きなばらつきがある。
■ 世界の地域別HIV/AIDS状況 (1) サハラ砂漠以南アフリカ 1999年1年間に新たに感染した約400万人という推計数から、今回、2000年の新規 感染者数推計が前年を下回る380万人と、この地域では初めて頭打ち現象が認められた。
しかしながら、この地域は依然として世界中で最も流行の激しい地域であり、世界全体の 2000年の新規感染者530万人の72%、感染者・患者生存推計数3,610万人の70%、AIDS死亡数の80%を占めている。 (2) アジア太平洋地域 2000年末時点で、この地域の成人および小児感染者・患者の生存推計数は640万人 とされている。この地域では、流行の多くは南および南東アジアのいくつかの国々に集中
する傾向が続いている。アジアの多くの国々では成人におけるHIV陽性率はまだ比較的 低いが、行動学的研究データによると、買売春、不法薬物使用、性感染症の流行度、大量の人口移動などの社会学的要因から、HIV流行の危険は今後さらに高まりつつある。 (3) ラテンアメリカおよびカリブ海沿岸地域 この地域の感染者・患者の生存推計数は180万人とされる。この地域のいくつかの国々 では、感染者の多くは同性と無防備な性的接触をする男性(MSM)と薬物常用者(IDU) に依然として集中しているが、他の国々では、異性間性的接触による感染の増加という現 実に直面している。また、ブラジルなどいくつかの国では抗HIV療法の普及によって、 死亡数の減少が見られている。 (4) 東ヨーロッパおよび中央アジア地域 1999年に続いて2000年においても、この地域は急激な感染流行の増大を見せた。 2000年1年間で25万人が新たに感染し、この地域の感染者・患者生存推計数を60%も 増加させて計70万人となった。この地域の感染の多くはIDUである現象が続いている。 (5) 北アフリカおよび中東地域 流行を推計する情報の限られた地域であるが、新規感染 の増加は認められ、2000年1年間で8万人と推計される。 (6)北アメリカ、西ヨーロッパ、太平洋沿岸先進国地域 いわゆる先進国地域においても、依然として毎年何千人という人々が毎年新たに感染 している。抗HIV療法によるAIDS発症や死亡や母子感染の減少が確実にあるにも関わ らず、新規感染の方はここ数年あまり変わっていない。むしろ死亡数の下げ止まりと新規 感染数の継続によって、感染者・患者生存推計数は前年までを少し上回る150万人とな っていて、この地域ですら決して楽観の許されない状況である。
表 世界の地域別HIV/AIDS 流行推移値(2000年末現在)
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