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■ 2001年末現在における世界のHIV/AIDS流行状況

20年前にAIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群)が臨床において最初に報告されて以来、AIDSは人類が直面した最も悲惨な病気であり続けている。AIDSの原因であるHIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)流行の発生以来、6,000万人以上もの人々がこのウイルスに感染した。現在、HIV/AIDSはサハラ砂漠以南アフリカ地域において死亡原因の第1位であり、全世界においても第4位である。

UNAIDS(国連合同エイズ計画)およびWHO(世界保健機関)は、PWH(People Living with HIV/HIVと共に生きている人:HIV感染者)およびPWA(People Living with AIDS/AIDSと共に生きている人:AIDS患者)の総数は、2001年末までに世界中で合計4,000万人に達すると推計している(図1)。このうち成人は約3,720万人(女性1,760万人)、15歳未満の小児は約270万人と推計している。また、2001年1年間で、500万人が新たにHIVに感染したと推計している。さらに、2001年1年間で、HIV/AIDSにより300万人が死亡したと推計している。

2001年末までに世界中で4,000万人がHIVと共に生きていると推計され、成人のうち15歳から49歳のHIV陽性率は1.2%である。言い換えれば、約100人に1人がHIVに感染しているのである。開発途上国においては、多くの場合、新規感染者の大部分が若者である。この若者には、弱い立場に置かれている若い女性も含まれている。現在の世界のHIV感染者・AIDS患者の3分の1は、15歳から24歳までの若者である。この若者のほとんどが、自分がウイルスを持ち運んでいるということに気づいていない。それ以上に、何百万という人々がHIVについて何も理解しておらず、あるいは、ほとんど理解しておらず、HIVから自分を守る方法も身につけていない。

成人のHIV陽性率が低い国々でも、その数値を誤解してはならない。特定地域・特定集団人口においては深刻なHIV流行が発生しており、流行が一般人口に拡大する恐れが非常に大きいからである。特に若者の間で注射器による薬物乱用が蔓延している国においては、緊急に行動を起こさなければならない。HIVに関する正しい知識およびHIVから自分を守る方法を、率直に、わかりやすい手段で人々に伝えなければならない。


■ 世界の地域別のHIV/AIDS状況

(1) サハラ砂漠以南アフリカ

この地域では2001年1年間に230万人がAIDSで死亡し、340万人が新規にHIVに感染したと推計され、生存するHIV感染者・AIDS患者推計数は2,810万人である。適切な治療・ケアが施されなければ、今後の約10年間のうちに、そのほとんどが亡くなってしまうであろう。

最近の妊婦検診のデータによると、アフリカ南部のいくつかの地域でボツワナ以外にも妊婦のHIV陽性率が30%を超える地域が存在する。また、アフリカ西部では少なくとも5カ国が、成人HIV陽性率5%を超えており、危機的状況にある。

一方、ウガンダにおいては成人HIV陽性率は減少し続けている。また、アフリカのいくつかの地域で若者(特に女性)のHIV陽性率の減少も見られる。

(2) アジア太平洋地域

この地域では現在710万人のHIV感染者・AIDS患者がいると推計され、2001年1年間に43万5千人がAIDSで亡くなったとみられている。この地域の多くの国々ではHIV陽性率は低いが、この数字(低陽性率)にだまされてはいけない。この数字はさまざまな地方における局所的流行の深刻な状況を隠してしまう。アジア太平洋地域は、世界でもっとも人口の多い地域であるがゆえ、局所的な流行が、全地域レベルで一般的に広がる重大な脅威にさらされている。

しかしながら、カンボジアやタイにおいて見られるように、迅速で大規模な予防プログラムによって、流行の拡大を防ぐことが可能である。カンボジアにおいては、強力な政治的リーダーシップおよび国民のコミットメントによる一致団結した努力の結果、2000年末には妊婦陽性率を2.3%(1997年の妊婦陽性率の3分の1)まで下げることに成功した。

(3) ラテンアメリカおよびカリブ海沿岸地域

この地域の生存HIV感染者・AIDS患者の推計数は180万人とされる。カリブ海沿岸地域では、成人のHIV陽性率が約2%あり、世界で2番目に影響を受けている地域である。

多くの中南米諸国では比較的にHIV陽性率が低いので、特定の集団においてHIV流行がすでに堅固に根付いているという事実は曇らされている。中南米諸国は現在の対策を強化することができれば、流行の拡大を防ぐことができるであろう。

(4) 東ヨーロッパおよび中央アジア地域

東欧諸国(特にロシア)は、新規感染者数の急激な増加とともに、世界で最も急速に流行が拡大している。2001年1年間で25万人が新たに感染し、HIV感染者・AIDS患者の生存数は100万人と推計される。

HIV以外の性感染症の陽性率も高いこと、および、若者の注射器による薬物使用率が高いことを鑑みれば、このままでは今後も流行は拡大し続ける恐れが高い。

(5) 北アフリカおよび中東地域

北アフリカおよび中東地域では現在、44万人のHIV感染者・AIDS患者がいると推計される。複雑かつ危機的状況にある国々(ジブチ・ソマリア・スーダンなど)において、流行の進行状況が最も顕著である。HIV陽性率は比較的低いままであるが、イラン・リビア・パキスタンを含む複数の国々においてもHIV感染の増加が見られる。

(6)北アメリカ、西ヨーロッパ、オーストラリア周辺地域

これらのいわゆる先進国地域においては、2001年1年間で75,000人が新規に感染し、生存するHIV感染者・AIDS患者推計数は150万人とされる。これらの地域でも流行の拡大が懸念されている。

治療・ケアにおける最近の進歩は、予防対策における前進を必ずしも伴っていない。北アメリカ・西ヨーロッパの一部・オーストラリアにおいてさえ、新たなHIV感染が増え始めている兆候も見られる。HIV以外の性感染症の増加は、安全でないセックスの増加を反映している。さらに、注射器による薬物使用の蔓延がHIV流行を助長し、同時に貧困層へと流行を移してきている。


表 HIV/AIDSに関する世界の地域別統計値・特徴(2001年末現在)

地域
流行発生時期
生存HIV感染者・AIDS患者推計数
新規HIV感染者数
成人*HIV陽性率
成人*HIV陽性者中の女性の割合
成人の主たる感染経路
サハラ砂漠以南
アフリカ
70年代末期から80年代初期
2,810万人
340万人
8.4%
55%
異性間
北アフリカ・中東 80年代末期
44万人
8万人
0.2%
40%
異性間IDU**
南・南東アジア 80年代末期
610万人
80万人
0.6%
35%
異性間IDU**
東アジア・太平洋 80年代末期
100万人
27万人
0.1%
20%
IDU**
異性間
MSM***
ラテンアメリカ 70年代末期から80年代初期
140万人
13万人
0.5%
30%
MSM***
IDU**
異性間
カリブ海沿岸 70年代末期から80年代初期
42万人
6万人
2.2%
50%
異性間
MSM***
東ヨーロッパ・
中央アジア
90年代初期
100万人
25万人

0.5%

20%
IDU**
西ヨーロッパ 70年代末期から80年代初期
56万人
3万人
0.3%
25%
MSM***
IDU**
北アメリカ 70年代末期から80年代初期
94万人
4万5千人
0.6%
20%
MSM***
IDU**
異性間
オーストラリア・
ニュージーランド
70年代末期から80年代初期
1万5千人
500人
0.1%
10%
MSM***
合計
 
4,000万人
500万人
1.2%
48%
 
*
成人:15歳から49歳までの人口統計(2001年)を使用
**
IDU:Injecting Drug User(注射器による薬物使用)
***
MSM:Men who have Sex with Men(男性とセックスする男性)

このUNAIDS/WHO報告の推計値は、各国・地域から提出されたデータを基礎にして算定されています。推計誤差等を鑑みて算定されていますので、内訳値の単純合計値と、表示されている合計値は必ずしも一致しません。

UNAIDS/WHO報告の詳細は、UNAIDSホームページ (http://www.unaids.org ) のAIDS Epidemic Update 2001のコーナーをご覧下さい。