世界エイズデー(12月1日)啓発キャンペーン

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令和5年度 
世界エイズデーポスターコンクール審査結果

最優秀賞(各部門)

  • 小学生・中学生の部
  • 鬼頭 香汰郎さん
    小学生・中学生の部
  • 高校生の部
  • 柞山 愛羅さん
    高校生の部
  • 一般の部
  • 横堀 晴奈さん
    一般の部

「一般の部」横堀晴奈さんの作品が令和5年度世界エイズデーキャンペーンポスターに選ばれました。

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令和5年度
世界エイズデーポスターコンクール講評

審査員長 中島 邦信
 本年度の世界エイズデーポスターコンクールの応募は、小学生・中学生の部46点、高校生の部174点、一般の部109点の計329点ありました。第一次審査は9月21日にオンラインで行われ、それらの中から小・中学生の部21点、高校生の部19点、一般の部37点が審査を通過しました。10月2日に第二次審査会が開催され、部門ごとに最優秀賞1点、優秀賞2点、佳作3点が選ばれ、最後に最優秀賞作品の中から世界エイズデーキャンペーンポスターに使用する作品の選考が行われました。
 今年は二次審査会には久々に審査員全員が直接顔を合わせ、率直、活発かつ濃密な議論が交わされました。以下に選評を記します。

〈小学生・中学生の部〉
小・中学生の部
 兵頭柚さんの「青空・男女・『なくそうエイズへの偏見』」と大柳愛菜さんの「テーマ・男の子と女の子・レッドリボン」が4票を得て先行、土屋さらさんの「地球にレッドリボン・『あなたの理解と支援が希望の光に』」、中谷水音さんの「黄色に黄緑の背景色・『UPDATE HIV!』」、鬼頭香汰郎さんの「ピンク地・コンドームキャラクターと多様な群衆」、芳賀遥さんの「赤地に白抜きレッドリボン・黒文字メッセージ」がそれぞれ3票を得て、後に続きました。兵頭柚さんの作品は絵も文字もきれいで分かりやすく、爽やかで好感度の高いものです。大柳愛菜さんの作品にはデザインに工夫がある、配色が美しい、素朴で温かみがあるといった感想が述べられました。土屋さらさんの作品には人物の表情がいい、世界エイズデーらしいワールドワイドなイメージがある、エイズよりも人種差別を想起させるデザインだ、といった意見も出されました。中谷水音さんの作品は色使いの美しさと優しいイメージを評価する声が高かった。鬼頭香汰郎さんの作品は実にユニークです。大勢の人物が丁寧に描き込まれ、中央のステージに立つのは巨大なコンドームです。一種異様な雰囲気があり、「ウォーリーを探せ」ではないが思わず一人ひとりの顔を見つめてしまうほどの吸引力を感じさせます。芳賀遥さんの作品はイラストの美しさ、ポスターとしての完成度の高さといった点で評価が一致しました。以上6点の中でどれを最優秀賞に推すか挙手を求めたところ、鬼頭香汰郎さんの作品に最多の3票が集まりました。一方でこの作品にはポスターの生命である「一目で人目を引く」力が十分でないという点で認識は一致しており、「もしこれを選ぶならポスター選出は諦めることになるでしょう」という前提で改めて協議した結果、やはり本作品が最優秀賞に選ばれました。優秀賞にはそれぞれ1票を得た兵頭柚さんと大柳愛菜さんの作品、佳作には土屋さらさん、中谷水音さん、芳賀遥さんの作品が選ばれました。

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〈高校生の部〉
高校生の部
 柞山愛羅さんの「『HIV』・多様な人たちとレッドリボン」が4票を得てリード、紙屋音衣さんの「『STOP HIV』・コンドームと笑顔」、土屋なごみさんの「パズルでレッドリボン」がそれぞれ3票で追い、野﨑堪太さんの「『AIDS』と『IDEAS』」、飯牟禮宮乎さんの「オレンジとブルーのコンドームキャラクター」、大塚純礼さんの「水色地に女の子・指先からふわふわレッドリボン」、須賀ななさんの「黄色地に男女・『エイズって、他人事じゃないかも。』」、作埜綾音さんの「白地に日めくりカレンダー・12と1」、横井紗來さんの「糸電話でレッドリボン・『大切なのは、知ろうとする心。』」の6作品が各2票でこれに続きました。柞山愛羅さんの作品は色使いの美しさが圧倒的で、デザイン的にも優れており、審査員中のプロをもうならせたほどです。紙屋音衣さんの作品はシンプルでインパクトが強く、また全体を覆う明るさも印象的です。土屋なごみさんの作品は正しい知識の探求をジグソーパズルに託したところがアイデア。レッドリボンの浮き出しも上出来です。野﨑堪太さんの作品は「AIDS」に「E」を加えると「IDEAS」となるという発見が、グラフィックのそしてメッセージのベースであり、今回のテーマとも共鳴しています。飯牟禮宮乎さんの作品はグラフィックの完成度がプロ並みに高いこと、コンドームの重要性をアピールしている点が評価されました。大塚純礼さんの作品は絵の優しさ、構図と色使いの巧みさが、ほのぼのとした空気を作り出しています。須賀ななさんの作品は黄色地に男女の生徒が並んで座っていて、リアルでインパクトの強いグラフィックです。『エイズって、他人事じゃないかも。』というセリフにはゾクッとさせられます。作埜綾音さんの作品は日めくりカレンダーが12と1(世界エイズデー)を示しているだけのシンプルなものです。シンプル イズ ベストとなるか? 横井紗來さんの作品は糸電話を使った二人の姿。シンプルでほのぼのとした雰囲気ですが、メッセージが小さすぎてやや読みづらいのが難点です。以上9作品の中でどれが最優秀賞に相応しいか挙手を求めたところ、柞山愛羅さんの作品に4票、紙屋音衣さんの作品に1票が投じられました。紙屋音衣さんの作品を推した審査員も特に異存はないとのことで、最優秀賞は柞山愛羅さんの作品に決定しました。次に優秀賞について挙手を求めたところ、紙屋音衣さんの作品と大塚純礼さんの作品が共に2票を得て受賞が決まりました。佳作を選ぶに当たっては、上記6作品に新たに複数の審査員から推薦のあった2作品を候補に加えました。織田美幸さんの作品「スケートボーダー・『HIV検査へ行こう』」は黒いピクトグラムがスケボーに乗って、赤いレッドリボン形のレーンを走っており、その後方にメッセージがプリントされています。吉田竜也さんの作品「レッドリボンを着けた豹・『踏み出す勇気があなたを変える。』」は早期治療を促すメッセージの下を豹が疾走していて、どちらも動き、スピードを感じさせる作品です。以上8作品の中から佳作3作品を選定し、挙手で選ばれたのはまず野﨑堪太さんの作品、次に土屋なごみさんと織田美幸さんの作品が選ばれました。

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〈一般の部〉
一般の部
 横堀晴奈さんの「レッドリボンを着けた白くまペア」、河田柚香さんの「HIV巨大オブジェと躍動する女の子」、豊田新流さんの「テーマ・ペンキの塗り変え」、穂積ひかりさんの「白地にレッドリボン・両脇に笑顔」の4作品が各3票を得て先行、木村蓮さんの「サーモンピンク地に立体レッドリボン」、村本昌聡さんの「赤地に世界地図とレッドリボン・白文字でテーマ」、髙野愛七さんの「半身の二人・『守ろう、大切な人。』」、田村貞夫さんの「力強い手・電源マーク・テーマ」の4作品が、各2票を得てこれに続きました。横堀晴奈さんの作品は白くまが赤いマフラー(レッドリボン)を巻いており、ほのぼのとした感じで心温まる、白くまの性別が全く分からないところが多様なペアを象徴しているようでいい、といった意見が出されました。河田柚香さんの作品はとても印象的、啓発的で、女の子がエイっと高い壁を飛び越えようとしている、今回のテーマを体現しているような躍動感を感じる、といった好意的な意見が寄せられました。豊田新流さんの作品にはダイナミックな変換の意志が伝わってくる、今回のテーマをペンキの塗り変えといった意表を突いた方法で表現している、などの意見が出されました。穂積ひかりさんの作品について共通しているのは「温かい」、「優しい」、「愛らしい」、「共感できる」などのコメントです。木村蓮さんの作品はシンプルでインパクトが強い、というのが共通した見方です。レッドリボンや文字を立体化したのがよかったのでしょうか。村本昌聡さんの作品は赤地に白抜きの『UPDATE HIV!』がとても目立つ一方で、レッドリボンも世界地図もシルエットのように霞んでただの背景となっているという、ユニークな仕上がりです。髙野愛七さんの作品は男女の半身の合体で、斬新で、洒落ていて、デザイナーの評価は高いようです。田村貞夫さんの作品は指がこちらを指しており、鋭い視線を浴びせかけるような迫力があります。よそ見をしていても気になる作品です。以上8作品の中でどれが最優秀賞に相応しいか、挙手をしてもらいました。結果は河田柚香さんの作品に4票、木村蓮さんの作品に1票でした。これで決まりかと思われましたが、一審査員から「この構図バランスだと、飛び降りる姿にも見えかねない」との懸念が出されました。支持者からは女の子の姿を前向きな躍動、理解や支援の意気込みととらえているという反論がある一方、その危うさに同調する意見も出て、教育現場で使用されるものでもあるため、ポスター候補作品即ち最優秀賞からは外すという結論に至りました。改めて7作品で挙手を求めたところ、横堀晴奈さんの作品に3票、豊田新流さんの作品に2票となり、横堀晴奈さんの作品が最優秀賞に決定しました。優秀賞には河田柚香さんの作品と豊田新流さんの作品が選ばれました。佳作には木村蓮さん、村本昌聡さん、髙野愛七さんの作品がそれぞれ選ばれました。

〈キャンペーンポスター作品の選考〉

 先の議論を踏まえ、小・中学生の部の最優秀賞作品以外の高校生の部の柞山愛羅さんの作品と一般の部の横堀晴奈さんの作品についてどちらをポスター作品とするか、審査員にそれぞれ意見を述べてもらいました。その上で挙手を求めたところ「レッドリボンを着けた白くまペア」に3票、「『HIV』・多様な人たちとレッドリボン」に2票と票が割れましたが、後者を選んだ審査員も最終的に前者を受け入れて、「一般の部」横堀晴奈さんの作品が本年度のキャンペーンポスターに選ばれました。
 最後に一言。今回も「規定外」の作品が計32点、全体の9.7%もありました。何と10点に1つです。せっかく応募してくれた作品が選考前にはねられてしまうのは残念でなりません。実際素晴らしい作品が何点もありました。「実施要領」をよく読んでください。漢字は正確に、スペルミスは不可、大文字・小文字の使い分けも決まりに従って。どうかよろしく。

趣旨

ポスターの制作を通じてHIV感染症・エイズについて考え、これらに対する知識と予防の理解を深めることを目的として、全国の小学校・中学校、高等学校及び一般からデザインを募集するポスターコンクールを実施する。

主催

公益財団法人エイズ予防財団

募集区分

(1)小学生・中学生の部 (2)高校生の部 (3)一般の部

募集期間

令和5年4月26日(水)~9月5日(火)

募集内容

募集する作品は、一人ひとりがHIV感染予防に取り組むことを訴えるもの、HIV陽性者・エイズ患者への理解と支援を呼びかけるもの、HIV検査の受検を呼びかけるものとする。

応募点数

(1)小学生・中学生の部 46点
(2)高校生の部     174点
(3)一般の部      109点    合計 329点
  • 審査基準
    エイズ予防財団ポスターコンクール審査会において、HIV/エイズに関する正しい理解、HIV感染予防、HIV検査の周知、HIV陽性者・エイズ患者への理解と支援、多様性の尊重等の視点から、応募作品のキャッチコピーやメッセージ等の正確性、表現の適切さ、ポスターとしての完成度・デザイン性・メッセージ性・インパクト・期待できる効果等について審査を行います。
  • 審査会
    ■第一次審査 令和5年9月21日(木)
    ■第二次審査 令和5年10月2日(月)

入賞作品

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入賞者

小学生・中学生の部

最優秀賞
鬼頭 香汰郎 さん
名古屋市立昭和橋中学校 3年生
優秀賞
大柳  愛菜 さん
壬生町立壬生中学校 1年生
優秀賞
兵頭   柚 さん
宇和島市立三間中学校 3年生
佳作
芳賀   遥 さん
大仙市立太田中学校 3年生
佳作
土屋  さら さん
米沢市立第一中学校 3年生
佳作
中谷  水音 さん
岩国市立岩国中学校 3年生

高校生の部

最優秀賞
柞山  愛羅 さん
富山県立富山北部高等学校 3年生
優秀賞
紙屋  音衣 さん
富山県立富山北部高等学校 3年生
優秀賞
大塚  純礼 さん
岐阜県立岐阜各務野高等学校 2年生
佳作
土屋 なごみ さん
岐阜県立岐阜各務野高等学校 2年生
佳作
織田  美幸 さん
岐阜県立岐阜各務野高等学校 2年生
佳作
野﨑  堪太 さん
宮崎県立佐土原高等学校 2年生

一般の部

最優秀賞
横堀 晴奈 さん 
優秀賞
河田 柚香 さん 
麻生情報ビジネス専門学校北九州校
優秀賞
豊田 新流 さん 
大阪モード学園
佳作
木村  蓮 さん 
麻生情報ビジネス専門学校北九州校
佳作
髙野 愛七 さん 
麻生情報ビジネス専門学校北九州校
佳作
村本 昌聡 さん 
北海道立旭川高等技術専門学院

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エイズ予防財団
ポスターコンクール審査会 審査員
(敬称略 五十音順)

審査員長
中島 邦信
前職 公益社団法人ACジャパン常務理事
審査員
芹澤 信之
厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課エイズ対策推進室室長補佐
審査員
何  英二
前職 株式会社電通クリエイティブ局クリエイティブディレクター
審査員
都丸 雅明
元 AAA運営事務局事務局長
審査員
灰  来人
グラフィックデザイナー
認定NPO法人魅惑的倶楽部・福岡コミュニティーセンターHACO職員
notAlone Fukuoka HIV陽性者交流会代表
審査員
松﨑 美枝
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官

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