健医感発第15号
薬 機 第 7 号
平成5年2月9日
都道府県
衛生主管部(局)長  殿
指定都市
厚生省保健医療局疾病対策課
結核・感染症対策室長
(エイズストップ作戦本部事務局長)

厚生省薬務局医療機器開発課長

コンドーム自動販売機の設置等の状況について

 エイズ対策の推進につきましては、日頃からご高配を頂き厚く御礼申し上げます。
 さて、平成4年12月18日付健医感発第73号厚生省保健医療局疾病対策課結核・感染症対策室長通知により御協力をお願いした標記の調べについて、その結果及び考え方について別添のとおりとりまとめました。
 ついては、各都道府県、指定都市におけるエイズ予防対策を推進される上でのご参考とされたく送付いたします。

コンドーム自動販売機の設置等の状況について

調査対象 47都道府県12指定都市
調査時期 平成4年12月
(注1)以下の集計においては、都、道、府についても便宜上「県」と読み変えた。また、指定都市については、属する道府県と同一結果であったので、県単位で整理した。
(注2)制限に関しては、薬事法第39条に基づく、営業所一体原則に関するものを除いた。

1.コンドーム自動販売機設置等の全国の状況について PDF(65KB)

2.設置にかかる制限の内容について PDF(19KB)

3.コンドーム自動販売機の設置等についての考え方

(1) コンドーム自動販売機の設置について調べた結果、制限のない県(9県)と制限のある県(38県)に分かれ、未設置の県(10県)もあるなどその取扱いには地方によりかなりの差異があることが判明した。また、現在制限を設けている県においても、約3割がその見直しについての検討を行う可能性を示唆している。
 なお、コンドーム自動販売機の設置を地方公共団体が制限する際の根拠としては、大半が薬務局長通知「コンドームの自動販売機について」(昭和47年8月22日薬発第825号)の「なお書き」部分(別掲)を挙げており、各地方公共団体の諸制限も同時期に制定されたものが多かった。
(2) エイズのまん延が世界的に深刻な問題となり、わが国においても患者・感染者が急増し、感染爆発の瀬戸際に立っている現在、その予防に官民挙げて全国的な取組みを進めることが緊急の課題となっている。エイズウイルスの主要な感染経路は性行為を通した体液の媒介によるものであり、コンドームの正しい使用が感染予防に有効である。このため、エイズウイルスに感染する危険性のある性行動を避けるよう啓発するとともに、コンドームの使用に関する正しい知識や理解の普及と併せて、コンドームの入手方法についてもできるだけ心理的抵抗が少ない形で購入できるよう配慮していくことは、エイズのまん延の防止に寄与するものと考えられる。
(3) 政府としても、今年度からエイズ対策の抜本的な拡充に努めており、今後テレビを通じた全国的な広報の展開などにも鋭意取組むことをはじめとして、学校教育においてもエイズに関する指導が強化されているところである。さらに、近時のエイズ報道の広がり、国内及び諸外国のエイズ予防キヤンペーンの実績等も併せて考慮すると、コンドーム自動販売機の設置をもって直ちに青少年の健全育成に支障があると判断することについては検討の余地が生じていると考えられる。
(4) 以上に鑑み、現在コンドーム自動販売機に関して各都道府県が青少年の健全育成の見地から設けている諸制限については、エイズに対する啓発普及の浸透等の動向を勘案しながら、地域の青少年健全育成関係者とも十分連絡をとりつつ時宜に応じた見直しが行われるよう御配慮をお願いしたい。
 

(別掲)

薬務局長通知(昭和47年8月22日薬発第825号)抜粋

 「なお、コンドーム自動販売機の設置場所については、薬事法上の問題以外に青少年健全育 成の見地からの配慮も必要となる場合があると考えられるので児童福祉担当部局にも十分に連 絡をとってその取扱いに遺憾のないように取り図られたい。」