非配偶者間の人工授精(AID)実施の際のHIV感染等の予防対策について

健 医 疾 発 第 8 5 号
児 母 第 5 2 号
平 成 1 1 年 7 月 3 0 日

 

厚生省保健医療局エイズ疾病対策課長
厚 生 省 児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課 長

 

 厚生行政の推進については、かねてより特段のご配慮を煩わしているところであり、深く感謝申し上げます。

 現在、厚生科学審議会先端医療技術評価部会・生殖補助医療技術に関する専門委員会において、生殖補助医療技術に係る諸問題について審議が行われているところでありますが今般、非配偶者間の人工授精(以下「AID」という。)について議論がなされたところAIDの実施については、第三者の精子を使用することから、ヒト免疫不全ウイルス(以下「HIV」という。)や肝炎ウイルス等の感染症予防対策に万全を期す必要があるとの指摘がありました。

 同委員会においては、AIDに伴うHIV感染等については、

  1. 精子提供者に対し、HIVの抗体検査について十分な説明と同意を取ったうえで当該検査を実施し、陰性であることを確認した後に精子提供を受けること、
  2. 提供された精子については、6か月間凍結保存し、再度、当該精子提供者のHIVの抗体検査を実施し、陰性であった場合に限り、当該精子をAIDに用いること、
  3. その他、AIDに伴う感染症を予防するために必要な検査等を実施することが、その予防に有効であることが報告されていることから、御了知の上、管下市町村、関係団体、医療機関等に対し、このことについて周知、指導方お願いいたします。

 また、過去にAIDを受けた人については、HIV感染の可能性はほとんどないものと考えられますが、これらの人から相談があった場合には、AIDを実施した医療機関はもとより、身近な医療機関や保健所等においても、HIVの抗体検査や適切な相談が実施できるよう関係機関等との十分な連携を図られるようお願いいたします。

 なお、AIDについては、出生児の法的地位の問題や倫理的、社会的な問題があることから、現在、同委員会において、実施の是非等を含めて様々な問題について議論されているところであることを念のため申し添えます。