輸血用血液製剤のHIVに対する安全性の確保について

平成九年五月二七日
薬企第五一号

 

各都道府県・各政令市・各特別区・各中核市衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局企画課長通知

 血液事業の推進については、平素より格別のご理解とご協力をいただいているところである。

 本日開催されたエイズサーベイランス委員会に、感染の原因に輸血と記載されたHIV感染症例が報告されたことに関して、日本赤十字社のこれまでの調査により、現在の科学技術水準の下では献血時において感染を確認できない期間(ウインドウ・ピリオド)に係る献血血液による感染であることが判明しているところである。

 本件に関して、日本赤十字社事業局血液事業部長あて別添のとおり通知したので、ご了知願いたい。

 また、HIVの検査を目的として献血を行う行為は、当該献血血液の輸血を受ける患者に対して、ウインドウ・ピリオドによる感染を引き起こす可能性のある行為であることから、これらの者においては、保健所や医療機関において相談や検査を受けるべきことを周知されるとともに、輸血によるHIVの感染や可能性について不安を抱いている者等がある場合には、保健所等において相談や検査が適切に行われるよう、特段のご配慮をお願いする。

 

 

〔別添〕

輸血用血液製剤のHIVに対する安全性の確保について

平成九年五月二七日 薬企第五二号

日本赤十字社事業局血液事業部長あて厚生省薬務局企画課長通知

 本日開催されたエイズサーベイランス委員会に、感染の原因に輸血と記載されたHIV感染症例が報告されたことに関して、貴社のこれまでの調査により、現在の科学技術水準の下では、献血時において感染を確認できない期間(ウインドウ・ピリオド)に係る献血血液による感染であることが判明しているところである。

 ウインドウ・ピリオド中の献血によるHIV感染の危険性については、現在の科学技術水準の下では排除し得ず、問診等による献血者のスクリーニングにより対応するほかなく、貴社においては、平成七年七月、「輸血用血液製剤の安全性に関する報告書」を受け、一層の問診の充実に努めるとともに、献血者が献血後に問診事項に対する回答を修正する必要があると考えた場合、献血終了後三時間以内に当該献血者の採血番号と生年月日を当該献血者が献血を行った血液センターに対して連絡を行う制度(献血者自己申告制)を設けてきたと承知している。

 今後も引き続き問診や献血者自己申告制の徹底により、輸血用血液製剤の安全性の確保に努められるようお願いする。
なお、現在の抗体検査よりもウインドウ・ピリオドの短縮が期待される献血時のPCR検査の導入に向け、厚生省としても技術開発を支援しているところであるが、貴職におかれても、今後とも献血時のPCR検査の導入の可能性や有効性の検討を進める等、同製剤の安全性の向上に努められたい。