感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
(平成15年11月5日法律第145号)

 

第6章 医療

(入院患者の医療)
第37条  都道府県は、都道府県知事が第19条若しくは第20条(これらの規定を第26条において準用する場合を含む。)又は第46条の規定により入院の勧告又は入院の措置を実施した場合において、当該入院に係る患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)又はその保護者から申請があったときは、当該患者が感染症指定医療機関において受ける次に掲げる医療に要する費用を負担する。

 診察

 薬剤又は治療材料の支給
 医学的処置、手術及びその他の治療
 病院への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
 都道府県は、前項に規定する患者若しくはその配偶者又は民法(明治29年法律第89号)第877条第1項に定める扶養義務者が前項の費用の全部又は一部を負担することができると認められるときは、同項の規定にかかわらず、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。

 第1項の申請は、当該患者の居住地を管轄する保健所長を経由して都道府県知事に対してしなければならない。

 

(感染症指定医療機関)
第38条

 特定感染症指定医療機関の指定は、その開設者の同意を得て、当該病院の所在地を管轄する都道府県知事と協議した上、厚生労働大臣が行うものとする。

 第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関の指定は、厚生労働大臣の定める基準に適合する病院について、その開設者の同意を得て、都道府県知事が行うものとする。
 感染症指定医療機関は、厚生労働大臣の定めるところにより、前条の規定により都道府県が費用を負担する感染症の患者及び新感染症の所見がある者の医療を担当しなければならない。
 特定感染症指定医療機関は、前条第1項各号に掲げる医療のうち新感染症の所見がある者並びに一類感染症及び二類感染症の患者に係る医療について、厚生労働大臣が行う指導に従わなければならない。
 第一種感染症指定医療機関は、前条第1項各号に掲げる医療のうち一類感染症及び二類感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
 第二種感染症指定医療機関は、前条第1項各号に掲げる医療のうち二類感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
 感染症指定医療機関は、その指定を辞退しようとするときは、辞退の日の1年前までに、特定感染症指定医療機関については厚生労働大臣に、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関については都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

 感染症指定医療機関が、第3項から第6項までの規定に違反したとき、その他前条に規定する医療を行うについて不適当であると認められるに至ったときは、特定感染症指定医療機関については厚生労働大臣、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関については都道府県知事は、その指定を取り消すことができる。

 

(他の法律による医療に関する給付との調整)
第39条

 第37条第1項の規定により費用の負担を受ける感染症の患者(新感染症の所見がある者を除く。)が、健康保険法(大正11年法律第70号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)又は老人保健法(昭和57年法律第80号)の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。                                       

 

(診療報酬の請求、審査及び支払)
第40条

 感染症指定医療機関は、診療報酬のうち、第37条第1項の規定により都道府県が負担する費用を、都道府県に請求するものとする。                                   

 都道府県は、前項の費用を当該感染症指定医療機関に支払わなければならない。
 都道府県知事は、感染症指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、かつ、感染症指定医療機関が第1項の規定によって請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
 感染症指定医療機関は、都道府県知事が行う前項の規定による決定に従わなければならない。
 都道府県知事は、第3項の規定により診療報酬の額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)に定める審査委員会、国民健康保険法に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
 都道府県は、感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。

 第3項の規定による診療報酬の額の決定については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。

 

(診療報酬の基準)
第41条

 感染症指定医療機関が行う第37条第1項各号に掲げる医療に関する診療報酬は、健康保険の診療報酬の例によるものとする。

 前項に規定する診療報酬の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。

 

(緊急時等の医療に係る特例)
第42条

 都道府県は、第19条若しくは第20条(これらの規定を第26条において準用する場合を含む。)又は第46条の規定により感染症指定医療機関以外の病院又は診療所に入院した患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)が、当該病院又は診療所から第37条第1項各号に掲げる医療を受けた場合においては、その医療に要した費用につき、当該患者又はその保護者の申請により、同項の規定によって負担する額の例により算定した額の療養費を支給することができる。これらの者が感染症指定医療機関から同項各号に掲げる医療を受けた場合において、当該医療が緊急その他やむを得ない理由により同項の申請をしないで行われたものであるときも、同様とする。

 第37条第3項の規定は、前項の申請について準用する。

 第1項の療養費は、当該患者が当該医療を受けた当時それが必要であったと認められる場合に限り、支給するものとする。

 

(報告の請求及び検査)
第43条

 都道府県知事(特定感染症指定医療機関にあっては、厚生労働大臣又は都道府県知事とする。次項において同じ。)は、第37条第1項に規定する費用の負担を適正なものとするため必要があると認めるときは、感染症指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に感染症指定医療機関についてその管理者の同意を得て実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。

 感染症指定医療機関が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、都道府県知事は、当該感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払を一時差し止めるよう指示し、又は差し止めることができる。

 

(厚生労働省令への委任)
第44条

 この法律に規定するもののほか、第37条第1項の申請の手続、第40条の診療報酬の請求並びに支払及びその事務の委託の手続その他この章で規定する費用の負担に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。