感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
(平成15年11月5日法律第145号)

 

第7章 新感染症

(新感染症に係る健康診断)
第45条

都道府県知事は、新感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該新感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者に対し当該新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。

 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。

 第17条第3項及び第4項の規定は、都道府県知事が第1項に規定する健康診断の勧告又は前項に規定する健康診断の措置を実施する場合について準用する。

 

(新感染症の所見がある者の入院)
第46条

 都道府県知事は、新感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、新感染症の所見がある者に対し10日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該新感染症の所見がある者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関以外の病院であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該新感染症の所見がある者を入院させるべきことを勧告することができる。

 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、10日以内の期間を定めて、当該勧告に係る新感染症の所見がある者を特定感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関以外の病院であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、前2項の規定により入院している新感染症の所見がある者を、前2項の規定により入院したときから起算して10日以内の期間を定めて、当該新感染症の所見がある者が入院している病院以外の病院であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。

 都道府県知事は、前3項の規定に係る入院の期間の経過後、当該入院に係る新感染症の所見がある者について入院を継続する必要があると認めるときは、10日以内の期間を定めて入院の期間を延長することができる。当該延長に係る入院の期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

 

(新感染症の所見がある者の移送)
第47条

 都道府県知事は、前条の規定により入院する新感染症の所見がある者を当該入院に係る病院に移送しなければならない。

 

(新感染症の所見がある者の退院)
第48条

 都道府県知事は、第46条の規定により入院している者について、当該入院に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないことが確認されたときは、当該入院している者を退院させなければならない。

 病院の管理者は、都道府県知事に対し、第46条の規定により入院している者について、当該入院に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがない旨の意見を述べることができる。
 第46条の規定により入院している者又はその保護者は、都道府県知事に対し、当該入院している者の退院を求めることができる。

 都道府県知事は、前項の規定による退院の求めがあったときは、当該入院している者について、当該入院に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないかどうかの確認をしなければならない。

 

(新感染症の所見がある者の入院に係る書面による通知)
第49条

 第17条第3項及び第4項の規定は、都道府県知事が第46条第1項に規定する入院の勧告、同条第2項及び第3項に規定する入院の措置並びに同条第4項に規定する入院の期間の延長をする場合について準用する。

 

(新感染症に係る消毒その他の措置)
第50条

 都道府県知事は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該新感染症を一類感染症とみなして、第27条から第33条まで及び第35条第1項に規定する措置の全部又は一部を実施し、又は当該職員に実施させることができる。

 第35条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により都道府県知事が当該職員に同条第一項に規定する措置を実施させる場合について準用する。
 第36条第1項及び第2項の規定は、第1項の規定により都道府県知事が第27条第1項若しくは第2項、第28条第1項若しくは第2項、第29条第1項若しくは第2項、第30条第1項又は第31条第1項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合について準用する。
 第36条第3項の規定は、第1項の規定により都道府県知事が第32条又は第33条に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合について準用する。
 市町村長は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該新感染症を一類感染症とみなして、第35条第4項において準用する同条第1項に規定する措置を当該職員に実施させることができる。
 第35条第4項において準用する同条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により当該職員に同条第4項において準用する同条第1項に規定する措置を実施させる場合について準用する。
 第36条第4項において準用する同条第1項及び第2項の規定は、第1項の規定により実施される第27条第2項、第28条第2項又は第29条第2項の規定による都道府県知事の指示に従い、市町村長が当該職員に第27条第2項、第28条第2項又は第29条第2項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

 第1項又は第5項の規定により実施される措置は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。




(厚生労働大臣の技術的指導及び助言)
第51条

 都道府県知事は、第45条第1項、第46条第1項、第3項若しくは第4項、第47条若しくは第48条第1項若しくは第4項に規定する措置又は前条第1項の規定により第27条から第33条まで若しくは第35条第1項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させようとする場合には、あらかじめ、当該措置の内容及び当該措置を実施する時期その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に通報し、厚生労働大臣と密接な連携を図った上で当該措置を講じなければならない。

 厚生労働大臣は、前項の規定による通報を受けたときは、第45条から第48条まで及び前条第1項に規定する措置を適正なものとするため、当該都道府県知事に対して技術的な指導及び助言をしなければならない。
 厚生労働大臣は、前項の規定により都道府県知事に対して技術的な指導及び助言をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
 前3項の規定は、市町村長が前条第五項の規定により第三十五条第四項において準用する同条第一項に規定する措置を当該職員に実施させる場合について準用する。

 

(厚生労働大臣の指示)
第51条の2  厚生労働大臣は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第45条第1項、第46条第1項、第3項若しくは第4項、第47条、第48条第1項若しくは第4項又は第50条第1項の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示をすることができる。

 厚生労働大臣は、前項の規定により都道府県知事に対して指示をしようとするときは、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。

 前項ただし書に規定する場合において、厚生労働大臣は、速やかに、その指示した措置について厚生科学審議会に報告しなければならない。

 

(新感染症に係る経過の報告)
第52条

 都道府県知事は、第45条から第48条まで又は第50条第1項に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させた場合は、その内容及びその後の経過を逐次厚生労働大臣に報告しなければならない。

 前項の規定は、市町村長が、第50条第5項に規定する措置を当該職員に実施させた場合について準用する。

 

(新感染症の政令による指定)
第53条

 国は、新感染症に係る情報の収集及び分析により、当該新感染症の固有の病状及びまん延の防止のために講ずべき措置を示すことができるようになったときは、速やかに、政令で定めるところにより、新感染症及び新感染症の所見がある者を1年以内の政令で定める期間に限り、それぞれ、一類感染症及び一類感染症の患者とみなして第3章から前章まで及び次章から第10章までの規定の全部又は一部を適用する措置を講じなければならない。

 前項の政令で定められた期間は、当該政令で定められた新感染症について同項の政令により適用することとされた規定を当該期間の経過後なお適用することが特に必要であると認められる場合は、1年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。当該延長に係る政令で定める期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。
 厚生労働大臣は、前2項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。