本人用:服用のための説明文書とチェックリスト
(AZT/3TC/IDV


 以下、チェックリストに従い感染予防のための服薬についての説明文書を良く読み、服用の意義、注意点等について確認して下さい。


□=チェック欄

□服用の意義
 針刺し事故などでHIV汚染血液に暴露された場合の感染のリスクは、最も高い場合でも0.5~0.3%とされており、 B型肝炎やC型肝炎の同じ様な事故の場合の感染リスクに比べそれぞれ1/100~1/10と低いことは知られています。 しかし、低いとはいえこの数字は感染リスクは0%ではなく、1000回の事故につき3~5人は感染するということを意味しています。しかも、今のところ感染が成立してしまった場合、治癒できるような治療法は確立されておりません。しかし一方、感染直後にAZTを服用することで感染のリスクを約80%低下させうることが示されました。 今回奨めている3剤であればさらに効果的であろうと考えられます。予防服用により100%感染を防げるわけでは ありませんが、予防服用を強くすすめる理由はこのためです。服用の意義を理解し、次に進んで下さい。

□服用に当たっての注意点
 感染予防の効果をあげるためには、事故後できるだけ早くできれば1~2時間以内に予防薬を服用する必要があります。このため専門家に相談できる前に自己判断で服用を開始せざるを得ない場合もあります。どうしていいかわからない場合、妊娠の可能性がなければ、とりあえず第1包目を服用する事をすすめます。

□妊娠の可能性のある場合
 大至急妊娠の有無を調べて下さい。今回の3剤については、妊娠初期の胎児に対する安全性は確立されており ません。妊婦の場合、責任医師と大至急服薬について相談して下さい。

□予防服用される抗HIV薬の注意点及び副作用

「AZT」レトロビル
 HIVの治療において、もっとも基本的な薬です。以下のような副作用があります。

副作用
1: 最も多い副作用は、服用したその日に起こる吐気等の消化器症状です。この場合には、一度服用を中止し1日1capから再開して下さい。消化器症状は、だんだん軽くなってきます。大体40~50%位の患者さんが飲み始めに消化器症状がでますが、ほとんどの方が問題なく飲めるようになります。
2: 次に多いのが筋肉痛・頭痛です。この副作用は、服用開始1週間以内から出始め、人によっては長く続きます。 5~10%位の人にみられると思います。
3: 1ヶ月程度の予防服用であればまず問題にはなりませんが、長期服用の副作用としてMCV上昇を伴う貧血がよく 知られています。頻度の高い副作用ですが、1日300mgであれば、AZTを中止しなければならないような貧血が出現する頻度はそれほど高くありません。
 
「3TC」エピビル
 1日2回の服用で良く、副作用の少ない薬剤です。患者さんへの治療の場合にもAZTとの併用で用いられます。

注意点
 慢性B型肝炎の治療薬としても臨床試験中です。しかし、B型肝炎患者がこの薬剤を半年以上服用した後の中 止後、肝炎が悪化することがあり、その中で激症化し死亡した例もありました。従って、この薬剤を服用する前には、必ずB型肝炎の有無を調べてもう必要があります。B型肝炎患者の場合には、3TC中止時に注意が必要です。 充分主治医と相談してください。尚1ヶ月程度の服用では、今のところこのような副作用はあまりみられないと思います。
 
「indinavir」クリキシバン
 レトロビルとエピビルが逆転写酵素阻害剤であるのに対し、クリキシバンはプロテアーゼ阻害剤という新しい 作用機序の薬剤です。

注意点:
1: 食間に1日3回服用する必要があります。クリキシバン服用時の注意点は、決められた通り服用する必要のある点です。中途半端な服用によりすぐに耐性化してしまう危険があります。
2: クリキシバンは、吸湿性に問題があり、室内に放置すると24時間で薬効が低下します。持ち運びには、専用のボトルを使用して下さい。
3: 普段比較的よく使われる薬剤の中にも併用禁忌薬が少なくありません。他院にかかっている人は、必ずもらっている薬剤を責任医師に見せてください。また、他院に行く時も、併用禁忌薬リストを必ず持参するようにしてください。

副作用:
1: 「消化器症状」
食前服用のため消化器症状が問題になります。約50%の人がムカムカなどの副作用を訴えます。この場合には、服用前に軽食を取ることにより解決できることもあります。主治医に相談してください。
2: 「腎結石」
indinavirそのものによる結晶ができるためによる腎結石が起こります。20~30%位の人に見られるようです。症状としては、背部痛・腰痛・腹痛や血尿です。予防には1日に水分を1.5l以上取る必要があります。
3: 「高血糖」
新聞等で大きく取り上げられましたが、頻度的には非常に稀な副作用でおそらく5000人に1人位だろうと思われます。
4: 「高ビリルビン血症」
最大で5前後までの高ビリルビン血症が見られることがありますが、通常はGOT/GPT等の肝酵素の異常は伴わず薬剤の投与は継続しても良いことになっております。
5: 「腎障害及び腎萎縮」
長期使用により、蛋白質(23.5%)・クレアチニンの上昇(5.2%)など腎障害を示唆する検査値異常が見受けられます。また、腎萎縮をきたしたケースも報告されております。

□チェックリストに従い感染予防のための服薬についての説明文書を読みました。

予防服用の重要性を理解し、予防服用フローチャートに従い服薬を開始します。

□:はい         □:いいえ


平成  年  月  日

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