平成12年1月25日

委員長コメント
 
  1. 今回の報告期間は平成11年11月1日より12月26日までの約2ヶ月であり、 患者数は法定報告42件(前回50件)、任意報告2件(前回3件)、感染者数は91件(前回76件)である。
  2. 前回報告(平成11年8月30日より10月31日)と今回の報告とを比較すれば、今回報告の特徴は、
    (1) 患者数は50件から42件とやや減少した。
    (2) 感染者数は76件から91件と増加した。感染原因別でみると、特に男性の異性間及び同性間の性的接触によるものの増加が目立った。
    (3) 20歳代を中心に、若い世代に感染者の増加傾向が見られた。
  3. 平成11年分の患者・感染者数は、患者289件、感染者491件となり、平成10年に比べて患者が58件の増、感染者が69件の増となっている。
     なお、詳細については、本年度のエイズ動向年報にて発表する予定である。
  4. 平成11年の保健所におけるHIV抗体検査及び相談の総実施件数については、抗体検査48,218件、相談103,206件であり、平成10年実績と比較すると抗体検査で5,000件、相談で7,840件減少している。これは患者・感染者が増加傾向にある現状から見ると、望ましくない状況である。
     利便性の高い場所と時間帯に配慮した検査・相談の実施や、より積極的なエイズに関する普及啓発活動が望まれる。
  5. 平成11年の献血件数中のHIV抗体陽性件数は63件で、10万人当たりでも1.026人と上昇の傾向が続いている。基本的には、全体の感染者数の増加を反映したものと考えられるが、これ以上の上昇をまねかないよう一層の対策が望まれる。
 

結果報告
 
  1. 本日の委員会では、平成11年11月1日より12月26日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに同年11月1日より12月31日までの任意報告を解析した。
  2. 平成11年11月1日から12月26日までの間に感染症法に基づき報告されたエイズ患者は42件、HIV感染者は91件であった。
     患者42件、感染者91件の内訳は、
    (1) 感染原因では、異性間の性的接触による患者23件、感染者38件、同性間の性的 接触による患者7件、感染者37件、その他の原因の感染者1件、原因不明の患者12件、感染者15件であった。(表1−1、1−2)
    (2) 性別では男性患者35件、感染者77件、女性患者7件、感染者14件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は10代1件、20代8件、30代12件、40代6件、50歳以上15件、感染者は20代38件、30代27件、40代13件、50歳以上13件であった。(表2−1、2−2)
    (4) 国籍では日本人患者29件、感染者75件、外国人患者13件、感染者16件である。
    (5) 感染地域では、国内で感染した患者21件、感染者64件、海外で感染した患者15件、感染者10件、感染地域不明患者6件、感染者17件であった。(表3−1、3−2)
  3. 患者42件、感染者91件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者23件、感染者38件のうち日本人男性は、患者14件、感染者26件、日本人女性は患者1件、感染者4件であった。また、外国人男性は、患者4件、感染者2件、外国人女性は、患者4件、感染者は6件であった。(表1−1、1−2)
    (2) 日本人男性患者27件のうち20代2件、30代5件、40代6件、50歳以上14件、日本人男性感染者71件のうち20代28件、30代19件、40代11件、50歳以上13件であった。また、日本人女性患者2件のうち10代1件、50歳以上1件、日本人女性感染者4件のうち20代1件、30代2件、40代1件であった。(表2−1、2−2)
    (3) 外国人男性患者8件のうち20代3件、30代5件、外国人男性感染者6件のうち20代2件、30代3件、40代1件であった。また、外国人女性患者5件のうち20代3件、30代2件、外国人女性感染者10件のうち20代7件、30代3件であった。(表2−1、2−2)
    (4) 国内感染による患者21件のうち日本人男性が19件、日本人女性は2件であった。また、国内感染による感染者64件のうち日本人男性が57件、日本人女性が3件であった。(表3−1、3−2)
    (5) 海外感染による患者15件のうち日本人男性が6件、外国人男性は6件、外国人女性は3件であった。また、海外感染による感染者10件のうち日本人男性5件、外国人男性2件、外国人女性3件であった。(表3−1、3−2)
  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告は2件、この内訳は日本人男性2件である。
    (2) 患者・感染者の死亡6件のうちエイズが原因のものは5件、それ以外の原因は1件であった。
    (3) 死亡報告の6件のうち20代3件、30代1件、40代1件、50歳以上1件であった。
  5. 今回6名の死亡及び「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの報告とあわせ累積死亡報告数は1,155名となった。
  6. 平成11年1月から12月末日までの献血件数6,139,205件のうち、HIV抗体陽性件数は63件であった。