平成12年9月26日

委員長コメント
 
  1.  今回の報告期間は平成12年6月26日より8月27日までの約2ヶ月であり、患者数は法定報告63件(前回57件)、任意報告3件(前回0件)、感染者数は82件(前回64件)である。

  2.  今回報告件数は前回報告と比較して、患者6件、感染者18件の増であった。
     このうち、HIV感染者では同性間性的接触によるものが41件、AIDS患者では 異性間性的接触によるものが32件と、それぞれ約半数を占める。
      年齢別では前回同様、患者・感染者ともに各年齢層に分布しているものの、感染者では20代〜40代、患者では30代以上が占める割合が高い。

  3.  前述のとおり、依然として患者・感染者報告件数は増加傾向にある。
      今後、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針に基づき、個別施策層(青少年、外国人、同性愛者、性風俗産業の従事者及び利用者)に対する普及啓発の充実が求められる。

 

 

 

結果報告

 

  1.  本日の委員会では、平成12年6月26日から8月27日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成12年7月1日から8月31日までの任意報告を解析した。

  2.  平成12年6月26日から8月27日までの間に感染症法に基づき報告されたエイズ 患者は63件、HIV感染者は82件であった。
     患者63件、感染者82件の内訳は、

    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者32件、感染者25件、同性間の性的接触による患者14件、感染者41件、母子感染による患者1件、感染者1件、その他の原因による患者3件、感染者1件、原因不明の患者13件、感染者14件であった。(表1−1,表1−2)  

    (2)性別では男性患者53件、感染者73件、女性患者10件、感染者9件であった。

    (3)年齢区分別では、患者は10歳未満1件、20代9件、30代18件、40代15件、50歳以上20件、感染者は10歳未満1件、20代25件、30代31件、40代10件、50歳以上15件であった。(表2−1,2−2)

    (4) 国籍別では日本人患者49件、感染者72件、外国人患者14件、感染者10件であった。

    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者41件、感染者55件、海外で感染した患者11件、感染者11件、感染地域不明患者11件、感染者16件であった。(表3−1,3−2)

  3. 患者63件、感染者82件のうち

    (1)異性間の性的接触による患者32件、感染者25件のうち日本人男性は、患者24件、感染者18件、日本人女性は、患者3件、感染者3件であった。また、外国人男性は、患者3件、感染者1件、外国人女性は、患者2件、感染者3件であった。(表1−1,1−2)

    (2)日本人男性患者45件のうち10歳未満1件、20代4件、30代11件、40代14件、50歳以上15件、日本人男性感染者67件のうち、20代19件、30代23件、40代10件、50歳以上15件であった。また、日本人女性患者4件のうち20代1件、50歳以上3件、日本人女性感染者5件のうち10歳未満1件、20代2件、30代2件であった。(表2−1,2−2)

    (3)外国人男性患者8件のうち20代1件、30代5件、40代1件、50歳以上1件、外国人男性感染者6件のうち20代1件、30代5件であった。また、外国人女性患  者6件のうち20代3件、30代2件、50歳以上1件、外国人女性感染者4件のうち20代3件、30代1件であった。(表2−1,2−2)

    (4)国内感染による患者42件のうち日本人男性が35件、外国人男性2件、日本人女性3件、外国人女性1件であった。また、国内感染による感染者55件のうち日本人男性が52件、日本人女性が2件、外国人女性1件であった。(表3−1,3−2)

    (5)海外感染による患者11件のうち日本人男性が5件、外国人男性が4件、外国人女性が2件であった。また、海外感染による感染者11件のうち日本人男性が7件、外国人男性が1件、日本人女性が2件、外国人女性が1件であった。(表3−1,3−2)

  4. 任意報告により

    (1)キャリア等からエイズ患者になったとの報告は3件であった。

    (2)患者・感染者の死亡7件のうちエイズが原因のものは6件、それ以外の原因のものは1件であった。

    (3)死亡報告7件のうち30代1件、40代5件、50歳以上1件であった。

  5. 「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの報告によると、平成10年5月末日時点での血液凝固因子製剤による感染例は1,432名、うち患者数は642名、死亡者数は502名(患者数に含む)であった。

  6. 今回7名の死亡報告があり、上記研究班からの報告と合わせ累積死亡報告数は1,196名となった。

  7. 平成12年1月から8月末日までの献血件数3,937,082件のうち、HIV抗体陽性件数は38件であった。