平成12年12月5日

委員長コメント
 
  1.  今回の報告期間は平成12年8月28日より10月29日までの約2ヶ月であり、患者数は法定報告62件(前回63件)、任意報告1件(前回3件)、感染者数は88件(前回82件)である。

  2.  今回報告件数は前回報告と比較して、患者は1件の減、感染者は6件の増であった。
     このうち、HIV感染者では同性間性的接触によるものが43件、AIDS患者では異性間性的接触によるものが33件と、それぞれ約半数を占める。
     年齢別では前回同様、患者・感染者ともに各年齢層に分布しているものの、感染者では20代〜30代、患者では30代以上が占める割合が高い。

  3.  前述のとおり、依然として患者・感染者報告件数は増加傾向にある。2ヶ月ごとの数の合計としては今回、前回で歴代ワースト2、3を占める。そして感染経路、年齢層別の傾向もほぼ前回同様である。
     今後も引き続き、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針に基づき、個別施策層(青少年、外国人、同性愛者、性風俗産業の従事者及び利用者)に対する普及啓発の充実が求められる。

 

 

結果報告
  1.  本日の委員会では、平成12年8月28日から10月29日までの感染症法に基づく 患者・感染者報告並びに平成12年9月1日から10月31日までの任意報告を解析した。

  2.  平成12年8月28日から10月29日までの間に感染症法に基づき報告されたエイ ズ患者は62件、HIV感染者は88件であった。
     患者62件、感染者88件の内訳は、

    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者33件、感染者32件、同性間の性的接触による患者12件、感染者43件、静注薬物濫用による患者1件、感染者1件、母子感染による感染者1件、その他の原因による感染者1件、原因不明の患者16件、感染者10件であった。  
    (2) 性別では男性患者55件、感染者79件、女性患者7件、感染者9件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代7件、30代16件、40代19件、50歳以上20件、感染者は10歳未満1件、20代32件、30代34件、40代12件、50歳以上9件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者48件、感染者74件、外国人患者14件、感染者14件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者39件、感染者56件、海外で感染した患者8件、感染者11件、感染地域不明患者15件、感染者21件であった。

  3. 患者62件、感染者88件のうち

    (1) 異性間の性的接触による患者33件、感染者32件のうち日本人男性は、患者24件、感染者22件、日本人女性は、患者4件、感染者1件であった。また、外国人男性は、患者4件、感染者4件、外国人女性は、患者1件、感染者5件であった。
    (2) 日本人男性患者44件のうち20代2件、30代10件、40代14件、50歳以上18件、日本人男性感染者71件のうち、10歳未満1件、20代25件、30代 26件、40代11件、50歳以上8件であった。また、日本人女性患者4件のうち40代3件、50歳以上1件、日本人女性感染者3件のうち20代2件、50歳以上1件であった。
    (3) 外国人男性患者11件のうち20代4件、30代4件、40代2件、50歳以上1件、外国人男性感染者8件のうち20代1件、30代6件、40代1件であった。また、外国人女性患者3件のうち20代1件、30代2件、外国人女性感染者6件のうち20代4件、30代2件であった。
    (4) 国内感染による患者39件のうち日本人男性が36件、日本人女性3件であった。また、国内感染による感染者56件のうち日本人男性が53件、日本人女性が1件、外国人男性が2件であった。
    (5) 海外感染による患者8件のうち日本人男性が3件、外国人男性が5件であった。また、海外感染による感染者11件のうち日本人男性が7件、外国人男性が2件、外国人女性が2件であった。


  4. 任意報告により

    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告は1件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡4件のうちエイズが原因のものは3件、それ以外の原因のものは1件であった。
    (3) 死亡報告4件のうち20代1件、30代1件、40代2件であった。


  5. 今回4名の死亡報告があり、累積死亡報告数は1,200名となった。

  6. 平成12年1月から10月末日までの献血件数4,914,647件のうち、HIV抗体陽性件数は50件であった。