平成13年10月23日

委員長コメント
 
  1.  今回の報告期間は平成13年6月25日より9月30日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規患者報告数は85件、新規感染者報告数は162件であった。
     なお、新規感染報告数は前回が144件、前々回が129件であり、3回続けて増加が認められる。

  2.  感染経路別に見ると、新規報告のAIDS患者では異性間性的接触によるものが37件、HIV感染者では同性間性的接触によるものが77件とそれぞれ第1位を占めていた。これは前回同様の傾向と言える。患者・感染者の感染経路が不明である例数も前回 同様である。
     年齢別では前回同様、患者・感染者ともに各年齢層に分布しているものの、患者では30代以上、感染者では20代〜30代の占める割合が高い。
     性別でみると、患者・感染者とも男性が8割以上を占めており、これは前回同様の傾向である。男性感染者の半数以上は同性間性的接触による。男性エイズ患者では同性間性的接触より異性間性的接触による報告数が多かった。女性では感染者・患者とも異性 間性的接触によるものが大多数を占めていた。

  3.  保健所におけるHIV抗体検査・相談受付実施件数の平成13年第3四半期までの累計報告数を集計した。検査件数は52,530件(平成12年1年間における検査件数は 48,754件)、相談件数は105,443件(平成12年1年間における相談件数は107,266件)であり、今後の推移に注目していきたい。

  4.  前回のエイズ動向委員会で指摘した「病院清掃業者の針刺し事故」について、疾病対策課より関係省庁及び都道府県に対し情報提供を行うとともに使用済み医療器具によるHIV感染の危険性について注意喚起を行ったという報告を受けた。

 

結果報告
  1.  本日の委員会では、平成13年6月25日より9月30日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成13年7月1日から9月30日までの任意報告を解析した。

  2.  平成13年6月25日より9月30日までの間に感染症法に基づき報告されたエイズ患者は85件、HIV感染者は162件であった。   患者85件、感染者162件の内訳は、

    (1)

    感染原因別では、異性間の性的接触による患者37件、感染者60件、同性間の性的接触による患者23件、感染者77件、その他の原因による患者4件、感染者3件、原因不明の患者21件、感染者21件であった。
    (2) 性別では男性患者74件、感染者136件、女性患者11件、感染者26件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代13件、30代20件、40代31件、50歳以上21件、感染者は10代3件、20代59件、30代60件、40代23件、50歳以上17件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者65件、感染者141件、外国人患者20件、感染者21件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者51件、感染者128件、海外で感染した患者15件、感染者12件、感染地域不明患者19件、感染者22件であった。

  3.  患者85件、感染者162件のうち

    (1)

    異性間の性的接触による患者37件、感染者60件のうち日本人男性は、患者24件、感染者37件、日本人女性は、患者5件、感染者11件であった。また、外国人男性は、患者6件、感染者6件、外国人女性は、患者2件、感染者6件であった。
    (2) 日本人男性患者58件のうち20代8件、30代16件、40代18件、50歳以上16件、日本人男性感染者123件のうち、20代47件、30代45件、40代17件、50歳以上14件であった。また、日本人女性患者7件のうち、20代3件、40代2件、50歳以上2件、日本人女性感染者18件のうち10代3件、20代9件、30代5件、40代1件であった。
    (3) 外国人男性患者16件のうち20代1件、30代3件、40代10件、50歳以上2件、外国人男性感染者13件のうち20代1件、30代7件、40代3件、50代2件であった。また、外国人女性患者4件のうち20代1件、30代1件、40代1件、50代1件、外国人女性感染者8件のうち20代2件、30代3件、40代2件、50代1件であった。
    (4) 国内感染による患者51件のうち日本人男性が47件、日本人女性が3件、外国人男性が1件であった。また、国内感染による感染者128件のうち日本人男性が109件、日本人女性が12件、外国人男性が5件、外国人女性が2件であった。
    (5) 海外感染による患者15件のうち日本人男性が3件、日本人女性が2件、外国人男性が8件、外国人女性が2件であった。また、海外感染による感染者12件のうち日本人男性が5件、日本人女性が2件、外国人男性が3件、外国人女性が2件であった。

  4.  任意報告により

    (1)

    キャリア等からエイズ患者になったとの報告は1件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡14件は11件がエイズが原因、3件がそれ以外の原因であった。
    (3) 死亡報告14件のうち10才未満1件、30代1件、40代4件、50歳以上8件であった。

  5.  今回14名の死亡報告があり、累積死亡報告数は1,239名となった。

  6.  平成13年7月から9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は22,750件、保健所における相談件数は43,592件であった。

  7.  平成13年1月から9月末日までの献血件数4,300,460件のうち、HIV陽性件数は47件であった。