平成14年7月24日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成14年4月1日より平成14年6月30日までの3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は149件、新規AIDS患者報告数は77件であった。

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では同性間性的接触によるものが77件(約52%)と第1位であり、そのうち75件が日本人男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は49件(約33%)であり、感染経路として依然重要である。

    一方、AIDS患者では異性間性的接触によるものが33件、同性間性的接触によるものが17件で、前回同様、異性間性的接触によるものが多い。

  3. 年齢別では、前回同様、HIV感染者・AIDS患者ともに各年齢層に分布しているが、HIV感染者では20代〜30代、AIDS患者では30代以上の占める割合が高い。今回は10代のHIV感染者に男性3件、女性2件があり、若年者のHIV感染者の存在が注目される。性別でみると、HIV感染者・AIDS患者とも男性が8割以上を占めており、これは前回同様の傾向である。

  4. 平成14年4月から6月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は11,129件、相談件数が25,711件であり、前年同時期と比較すると減少している。(平成13年4月〜6月末までの検査件数は18,369件、相談件数は36,456件)

  5. 平成14年1月〜6月の献血件数(速報値)は2,857,805件で、そのうちHIV抗体陽性件数は27件、10万件当たりの陽性件数は0.945件と前年より少なかった。(平成13年1月〜6月末までの10万件当たりの陽性件数は1.024件)

  6. 今回の報告では、HIV感染者・AIDS患者ともに前回報告数と比べると増加しているが前年同時期と比較するとほぼ同様の件数であった。HIV感染者のうち男性同性間性的接触による感染者は52%(前年同時期56%)、またAIDS患者のうち異性間性的接触による男性患者の比率は33%(前年同時期32%)と依然として高い数値を示している。特に男性同性間及び異性間性的接触への対策を充実することが急務であることは前回と同様であるが、若年者への対策の充実も必要である。
結果報告
  1. 本日の委員会では、平成14年4月1日より平成14年6月30日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成14年4月1日から6月30日までの任意報告を解析した。

  2. 平成14年4月1日より6月30日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は77件、新規HIV感染者数は149件であった。

    患者77件、感染者149件の内訳は、

    (1)

    感染原因別では、異性間の性的接触による患者33件、感染者49件、同性間の性的接触による患者17件、感染者77件、静注薬物濫用による患者1件、感染者1件、その他の原因による患者1件、感染者1件、原因不明の患者25件、感染者21件であった。
    (2) 性別では男性患者65件、感染者124件、女性患者12件、感染者25件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代8件、30代25件、40代18件、50歳以上26件、感染者は、10代5件、20代49件、30代51件、40代23件、50歳以上21件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者57件、感染者125件、外国人患者20件、感染者24件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者43件、感染者115件、海外で感染した患者19件、感染者17件、感染地域不明患者15件、感染者17件であった。

  3. 患者77件、感染者149件のうち

    (1) 異性間の性的接触による患者33件、感染者49件のうち日本人男性は、患者21件、感染者26件、日本人女性は、患者3件、感染者9件であった。また、外国人男性は、患者5件、感染者4件、外国人女性は、患者4件、感染者10件であった。
    (2) 日本人男性患者52件のうち20代2件、30代14件、40代11件、50歳以上25件、日本人男性感染者113件のうち、10代2件、20代36件、30代39件、40代17件、50歳以上19件であった。また、日本人女性患者5件のうち、20代2件、40代2件、50歳以上1件、日本人女性感染者12件のうち10代1件、20代3件、30代4件、40代3件、50歳以上1件であった。
    (3) 外国人男性患者13件のうち20代2件、30代7件、40代4件、外国人男性感染者11件のうち10代1件、20代3件、30代4件、40代2件、50歳以上1件であった。また、外国人女性患者7件のうち20代2件、30代4件、40代1件、外国人女性感染者13件のうち10代1件、20代7件、30代4件、40代1件であった。
    (4) 国内感染による患者43件のうち日本人男性が39件、日本人女性が2件、外国人男性が2件であった。また、国内感染による感染者115件のうち日本人男性が97件、日本人女性が8件、外国人男性が3件、外国人女性が7件であった。
    (5) 海外感染による患者19件のうち日本人男性が7件、日本人女性が2件、外国人男性が7件、外国人女性が3件であった。また、海外感染による感染者17件のうち日本人男性が6件、日本人女性が2件、外国人男性が4件、外国人女性が5件であった。


  4. 任意報告により

    (1)

    キャリア等からエイズ患者になったとの報告2件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡6件はエイズが原因が5件、その他の原因が1件であった。
    (3) 死亡報告6件のうち30代1件、40代2件、50歳以上3件であった。


  5. 平成14年4月から6月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は11,129件、保健所における相談件数は24,782件であった。

  6. 平成14年1月から6月末日までの献血件数2,857,805件(速報値)のうち、HIV陽性件数は27件であった。