平成14年10月30日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成14年7月1日より平成14年9月29日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は184件、新規AIDS患者報告数は100件であった。(前回:HIV感染者149件・AIDS患者77件)

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では同性間性的接触によるものが92件(50%)と第1位であり、そのうち82件が日本人男性であった。また、異性間性的接触によるものは67件(約36%)であり、感染経路として依然重要である。

    一方、AIDS患者では異性間性的接触によるものが34件(前回33件)、同性間性的接触によるものが33件(前回17件)で、特に男性のAIDS患者では、同性間性的接触が32件と、異性間性的接触の25件を上回った。

  3. 年齢別では、HIV感染者では20代〜30代、AIDS患者では30代以上の占める割合が高いが、HIV感染者・AIDS患者ともに特に30代以上の報告が多い。

    性別で見ると、HIV感染者・AIDS患者ともに男性が8割以上を占めており、これは前回同様の傾向である。

  4. 平成14年7月から9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は12,478件、相談件数が28,873件であり、前年同時期と比較すると減少している。ただし、一昨年同時期と比べると同様である。(平成13年7月〜9月末までの検査件数は22,761件、相談件数は43,544件)

  5. 平成14年1月〜9月の献血件数(速報値)は4,336,487件で、そのうちHIV抗体陽性件数は47件、10万件当たりの陽性件数は1.084件であり、前年同時期の1.093件とほぼ同様である。

  6. 今回の報告では、HIV感染者・AIDS患者ともに前回報告数と比べて増加しており、特にHIV感染者については過去最高を記録した。HIV感染者においては同性間及び異性間性的接触いずれも増加している。AIDS患者においては男性同性間性的接触が異性間性的接触を初めて上回った。この傾向が一時的なものであるかどうか今後の動向を見守る必要がある。

    男性同性間及び異性間性的接触への対策をこれまで以上に充実させ、感染予防及び早期発見の促進を図るとともに、12月1日の世界エイズデーを活用した国民各層への広範な予防啓発が急務である。
結果報告
  1. 本日の委員会では、平成14年7月1日より平成14年9月29日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成14年7月1日から9月30日までの任意報告を解析した。

  2. 平成14年7月1日より9月29日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は100件、新規HIV感染者数は184件であった。

    患者100件、感染者184件の内訳は、
    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者34件、感染者67件、同性間の性的接触による患者33件、感染者92件、静注薬物濫用による感染者1件、母子感染による感染者2件、その他の原因による患者3件、原因不明の患者30件、感染者22件であった。
    (2) 性別では男性患者87件、感染者165件、女性患者13件、感染者19件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代12件、30代30件、40代24件、50歳以上
    34件、感染者は、10歳未満2件、20代53件、30代64件、40代32件、50歳以上33件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者83件、感染者153件、外国人患者17件、感染者31件で
    あった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者69件、感染者134件、海外で感染した患者16件、感染者22件、感染地域不明患者15件、感染者28件であった

  3. 患者100件、感染者184件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者34件、感染者67件のうち日本人男性は、患者24件、感染47件、日本人女性は、患者4件、感染者7件であった。また、外国人男性は、患者1件、感染者8件、外国人女性は、患者5件、感染者5件であった。
    (2) 日本人男性患者77件のうち20代8件、30代18件、40代19件、50歳以上32件、日本人男性感染者145件のうち、10歳未満1件、20代40件、30代51件、40代26件、50歳以上27件であった。また、日本人女性患者6件のうち、30代2件、40代2件、50歳以上2件、日本人女性感染者8件のうち20代3件、30代1件、40代2件、50歳以上2件であった。
    (3) 外国人男性患者10件のうち20代1件、30代7件、40代2件、外国人男性感染者20件のうち20代5件、30代7件、40代4件、50歳以上4件であった。また、外国人女性患者7件のうち20代3件、30代3件、40代1件、外国人女性感染者11件のうち10歳未満1件、20代5件、30代5件であった。
    (4) 国内感染による患者69件のうち日本人男性が60件、日本人女性が4件、外国人女性が5件であった。また、国内感染による感染者134件のうち日本人男性が119件、日本人女性が5件、外国人男性が9件、外国人女性が1件であった。
    (5) 海外感染による患者16件のうち日本人男性が10件、日本人女性が1件、外国人男性が4件、外国人女性が1件であった。また、海外感染による感染者22件のうち日本人男性が11件、外国人男性が6件、外国人女性が5件であった。

  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告2件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡8件はエイズが原因が6件、その他の原因が2件であった。
    (3) 死亡報告8件のうち30代1件、50歳以上7件であった。

  5. 平成14年7月から9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は12,478件、保健所における相談件数は28,873件であった。

  6. 平成14年1月から9月末日までの献血件数4,336,487件(速報値)のうち、HIV陽性件数は47件であった。