平成15年1月31日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成14年9月30日より平成14年12月29日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は139件、新規AIDS患者報告数は61件であった。(前回:HIV感染者184件・AIDS患者100件)

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では同性間性的接触によるものが77件(55%)と第1位であり、そのうち73件が日本人男性であった。また、異性間性的接触によるものは45件(約32%)であり、感染経路として依然重要である。

    一方、AIDS患者では異性間性的接触によるものが30件(前回34件)、同性間性的接触によるものが16件(前回33件)で、異性間性的接触によるものが多い。

  3. 年齢別に見ると、HIV感染者では20代〜30代の占める割合が高く、特に20代が30代を上回っている。AIDS患者では30代以上の占める割合が高く、40代以上の割合が37件(約61%)であった。

    性別で見ると、HIV感染者・AIDS患者ともに男性が8割以上を占めており、これは前回同様の傾向である。

    今回の報告では、HIV感染者・AIDS患者ともに前回報告数と比べより低いものの、20代のHIV感染者報告数は増加している。

  4. 平成14年の新規HIV感染者報告数(速報値)は前年最終報告に比べて現在のところ26件少ない595件、新規AIDS患者報告件数(速報値)は前年最終報告に比べ現在のところ31件少ない301件であった。この値から、HIV感染者・AIDS患者ともに前年より低い数字になることが予想される。

  5. 平成14年10月から12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は14,988件、相談件数が29,041件であり、前年同時期と比較すると減少している。(平成13年10月〜12月末までの検査件数は17,433件、相談件数は35,925件)

  6. 平成14年1年間の献血件数(速報値)は5,784,101件で、そのうちHIV抗体陽性件数は82件、10万件当たりの陽性件数は1.418件であり平成13年の1.368件を上回った。

  7. 平成14年の速報値からはHIV感染者・AIDS患者ともに前年より低い数字になることが予測されるものの、献血陽性件数、20代のHIV感染者数等の状況を見ると、これまで同様、予断を許さない状況に変わりはない。

    これまで以上に検査体制を整備する等、感染予防及び早期発見の促進を図るとともに、様々な機会をとらえ各年代層を対象とした広範な予防啓発が急務である。
結果報告
  1. 本日の委員会では、平成14年9月30日より平成14年12月29日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成14年10月1日から12月31日までの任意報告を解析した。

  2. 平成14年9月30日より12月29日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は61件、新規HIV感染者数は139件であった。患者61件、感染者139件の内訳は、
    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者30件、感染者45件、同性間の性的接触による患者16件、感染者77件、母子感染による感染者1件、その他の原因による患者2件、感染者1件、原因不明の患者13件、感染者15件であった。
    (2) 性別では男性患者50件、感染者123件、女性患者11件、感染者16件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代7件、30代17件、40代14件、50歳以上23件、感染者は、10歳未満1件、10代1件、20代56件、30代48件、40代20件、50歳以上13件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者52件、感染者123件、外国人患者9件、感染者16件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者34件、感染者114件、海外で感染した患者12件、感染者10件、感染地域不明患者15件、感染者15件であった。

  3. 患者61件、感染者139件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者30件、感染者45件のうち日本人男性は、患者21件、感染者31件、日本人女性は、患者4件、感染者6件であった。また、外国人男性は、患者2件、感染者3件、外国人女性は、患者3件、感染者5件であった。
    (2) 日本人男性患者45件のうち20代5件、30代11件、40代9件、50歳以上20件、日本人男性感染者114件のうち、10歳未満1件、10代1件、20代49件、30代33件、40代18件、50歳以上12件であった。また、日本人女性患者7件のうち、20代1件、30代1件、40代2件、50歳以上3件、日本人女性感染者9件のうち20代3件、30代4件、40代2件であった。
    (3) 外国人男性患者5件のうち30代3件、40代2件、外国人男性感染者9件のうち20代3件、30代5件、50歳以上1件であった。また、外国人女性患者4件のうち20代1件、30代2件、40代1件、外国人女性感染者7件のうち、20代1件、30代6件であった。
    (4) 国内感染による患者34件のうち日本人男性が29件、日本人女性が4件、外国人女性が1件であった。また、国内感染による感染者114件のうち日本人男性が101件、日本人女性が5件、外国人男性が6件、外国人女性が2件であった。
    (5) 海外感染による患者12件のうち日本人男性が7件、日本人女性が1件、外国人男性が3件、外国人女性が1件であった。また、海外感染による感染者10件のうち日本人男性が5件、日本人女性が1件、外国人男性が2件、外国人女性が2件であった

  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告1件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡5件はエイズが原因が4件、その他の原因が1件であった。
    (3) 死亡報告5件のうち30代3件、50歳以上2件であった。

  5. 平成14年10月から12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は14,988件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,901件、保健所における相談件数は29,401件であった。

  6. 平成14年1月から12月末日までの献血件数5,784,101件(速報値)のうち、HIV陽性件数は82件であった。