平成15年4月25日

委員長コメント

(3ヶ月報について)
  1. 今回の報告期間は平成14年12月30日より平成15年3月30日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は146件、新規AIDS患者報告数は68件であった。
    (前回:HIV感染者139件・AIDS患者61件)
    (前年同時期:HIV感染者123件・AIDS患者63件)

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では同性間性的接触によるものが83件(約57%)と第1位であり、すべて日本人男性であった。また、異性間性的接触によるものは45件(約31%)であり、感染経路として依然重要である。

    一方、AIDS患者では異性間性的接触によるものが31件(前回30件)、同性間性的接触によるものが12件(前回16件)で、異性間性的接触によるものが多い。

  3. 年齢別に見ると、HIV感染者では20代〜30代の占める割合が高く、感染者全体の約68%(100件)を占めている。一方、AIDS患者では患者分布はより高齢者層に広がっている。

    性別で見ると、HIV感染者・AIDS患者ともに男性が8割以上を占めており、これは前回同様の傾向である。

  4. 平成15年1月から3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は14,657件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,254件、相談件数が31,420件であり、前年同時期と比較すると大幅に増加している。(平成14年1月〜3月末までの保健所における検査件数は11,003件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は2,543件、相談件数は25,695件)

  5. 平成15年1月〜3月の献血件数(速報値)は1,388,920件で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は7件、10万件当たりの陽性件数は0.504件であった。平成14年の10万件当たりの陽性件数は1.418件で、前年(1.368件)よりもさらに増加した。

  6. 今回の報告はHIV感染者・AIDS患者ともに、前回報告・前年同時期報告のいずれと比較してもいまだ増加傾向にある。依然として男性の同性間性的接触による感染者の割合が高い傾向が続いており、積極的な予防施策が必要である。また、全体として男性・女性とも20代及び30代の感染者の割合が高く、こうした年齢層への啓発普及をこれまで以上に進めていくことが重要である。
結果報告
  1. 本日の委員会では、平成14年12月30日より平成15年3月30日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成15年1月1日から3月31日までの任意報告を解析した。

  2. 平成14年12月30日より平成15年3月30日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は68件、新規HIV感染者数は146件であった。

    患者68件、感染者146件の内訳は、

    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者31件、感染者45件、同性間の性的接触による患者12件、感染者83件、静注薬物濫用による感染者1件、母子感染による感染者1件、その他の原因による患者1件、感染者2件、原因不明の患者24件、感染者14件であった。
    (2) 性別では男性患者57件、感染者135件、女性患者11件、感染者11件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は10代1件、20代13件、30代24件、40代12件、50歳以上18件、感染者は、10歳未満1件、20代43件、30代57件、40代21件、50歳以上24件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者42件、感染者132件、外国人患者26件、感染者14件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者36件、感染者117件、海外で感染した患者18件、感染者8件、感染地域不明患者14件、感染者21件であった。

  3. 患者68件、感染者146件のうち

    (1) 異性間の性的接触による患者31件、感染者45件のうち日本人男性は、患者18件、感染者31件、日本人女性は、患者1件、感染者3件であった。また、外国人男性は、患者7件、感染者6件、外国人女性は、患者5件、感染者5件であった。
    (2) 日本人男性患者41件のうち10代1件、20代9件、30代6件、40代8件、50歳以上17件、日本人男性感染者128件のうち、10歳未満1件、20代37件、30代46件、40代21件、50歳以上23件であった。また、日本人女性患者1件は30代、日本人女性感染者4件のうち20代3件、50歳以上1件であった。
    (3) 外国人男性患者16件のうち、20代2件、30代10件、40代3件、50歳以上1件、外国人男性感染者7件のうち、20代1件、30代6件であった。また、外国人女性患者10件のうち、20代2件、30代7件、40代1件、外国人女性感染者7件のうち、20代2件、30代5件であった。
    (4) 国内感染による患者36件のうち日本人男性が32件、日本人女性が1件、外国人男性が1件、外国人女性が2件であった。また、国内感染による感染者117件のうち日本人男性が110件、日本人女性が3件、外国人男性が2件、外国人女性が2件であった。
    (5) 海外感染による患者18件のうち日本人男性が6件、外国人男性が7件、外国人女性が5件であった。また、海外感染による感染者8件のうち日本人男性が5件、外国人男性が1件、外国人女性が2件であった。

  4. 任意報告により

    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告1件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡9件はエイズが原因が6件、その他の原因が3件であった。
    (3) 死亡報告9件のうち30代5件、40代1件、50歳以上3件であった。

  5. 平成15年1月から3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は14,657件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,254件、保健所における相談件数は31,420件であった。

  6. 平成15年1月から3月末日までの献血件数1,388,920件(速報値)のうち、HIV陽性件数は7件であった。