平成15年8月1日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成15年3月31日より平成15年6月29日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は135件、新規AIDS患者報告数は81件であった。
    (前回:HIV感染者146件・AIDS患者68件)
    (前年同時期:HIV感染者149件・AIDS患者77件)

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では同性間性的接触によるものが76件(約56%)と第1位であった。また、異性間性的接触によるものは33件(約24%)であった。

    一方、AIDS患者では同性間性的接触によるものが31件(前回12件)、異性間性的接触によるものが27件(前回31件)で、同性間性的接触によるものの増加が著しい。

  3. 年齢別に見ると、HIV感染者では20代〜30代の占める割合が高く、感染者全体の約68%(92件)を占めている。なお、今回は10代の同性間性的接触によるものが3件報告されているのも特徴である。一方、AIDS患者では患者分布はHIV感染者より高年齢層に広がっており、前回同様である。

  4. 平成15年4月から6月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は15,618件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,631件、相談件数が33,909件であり、前年同時期と比較すると大幅に増加している。
    (平成14年4月〜6月末までの保健所における検査件数は10,989件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は2,947件、相談件数は24,938件)

    平成15年1月〜6月の献血件数(速報値)は2,818,053件で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は22件、10万件当たりの陽性件数は0.781件であった。

  5. 今回の報告はHIV感染者では前回報告・前年同時期報告のいずれと比較しても増加は見られなかった。AIDS患者は増加しており、とくに日本国籍の男性の同性間性的接触によるAIDS患者の増加が顕著である。届出されたエイズ患者は、HIVに感染しても発症するまで受診しない人達である。早期発見・治療は発症防止に有効なため、自発的な検査へ導く普及啓発を更に充実させる必要がある。また、今回、日本国籍の10代のHIV感染者報告が3件あり、同様に今後の動向に注意する必要がある。

    一方、保健所の検査・相談件数は増加の傾向を示しており、その利用度が高まっていることがうかがわれる。

    いずれにしても夏休みに実施している青少年向けの普及啓発事業をさらに推進していく必要がある。
結果報告
  1. 本日の委員会では、平成15年3月31日より平成15年6月29日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成15年4月1日から6月30日までの任意報告を解析した。

  2. 平成15年3月31日より平成15年6月29日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は81件、新規HIV感染者数は135件であった。患者81件、感染者135件の内訳は、
    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者27件、感染者33件、同性間の性的接触による患者31件、感染者76件、静注薬物濫用による感染者1件、その他の原因による患者5件、感染者8件、原因不明の患者18件、感染者17件であった。
    (2) 性別では男性患者75件、感染者120件、女性患者6件、感染者15件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代7件、30代32件、40代18件、50歳以上24件、感染者は、10代3件、20代44件、30代48件、40代21件、50歳以上19件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者74件、感染者115件、外国人患者7件、感染者20件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者56件、感染者103件、海外で感染した患者10件、感染者10件、感染地域不明患者15件、感染者22件であった。

  3. 患者81件、感染者135件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者27件、感染者33件のうち日本人男性は、患者22件、感染者20件、日本人女性は、患者2件、感染者4件であった。また、外国人男性は、患者2件、感染者2件、外国人女性は、患者1件、感染者7件であった。
    (2) 日本人男性患者71件のうち20代5件、30代26件、40代17件、50歳以上23件、日本人男性感染者108件のうち、10代3件、20代35件、30代35件、40代17件、50歳以上18件であった。また、日本人女性患者3件のうち、30代1件、40代1件、50歳以上1件であった。日本人女性感染者7件のうち20代3件、30代3件、50歳以上1件であった。
    (3) 外国人男性患者4件のうち、20代1件、30代3件、外国人男性感染者12件のうち、20代2件、30代7件、40代3件であった。また、外国人女性患者3件のうち、20代1件、30代2件、外国人女性感染者8件のうち、20代4件、30代3件、40代1件であった。
    (4) 国内感染による患者56件のうち日本人男性が53件、日本人女性が3件であった。また、国内感染による感染者103件のうち日本人男性が93件、日本人女性が2件、外国人男性が6件、外国人女性が2件であった。
    (5) 海外感染による患者10件のうち日本人男性が9件、外国人男性が1件であった。また、海外感染による感染者10件のうち日本人男性が3件、日本人女性が3件、外国外国人女性が4件であった。

  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告2件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡2件はエイズが原因が0件、その他の原因が2件であった。
    (3) 死亡報告2件のうち50歳以上2件であった。

  5. 平成15年4月から6月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は15,618件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,631件、保健所における相談件数は33,909件であった。

  6. 平成15年1月から6月末日までの献血件数2,818,053件(速報値)のうち、HIV陽性件数は22件であった。