平成15年10月30日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成15年6月30日より平成15年9月28日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は152件、新規AIDS患者報告数は71件であった。
    (前回:HIV感染者135件・AIDS患者81件)
    (前年同時期:HIV感染者184件・AIDS患者100件)

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では、同性間性的接触によるものが89件(前回76件)であった。また、異性間性的接触によるものは41件(前回33件)であった。このように、同性間性的接触によるものが異性間性的接触によるものの倍以上となっているが、HIV感染者で同性間同様、異性間性的接触によるものが前回と比べて増加している。

    一方、AIDS患者では、同性間性的接触によるものが22件(前回31件)、異性間性的接触によるものが23件(前回27件)であった。

    年齢別に見ると、HIV感染者では20代〜40代の占める割合が高く、感染者全体の約86%(130件)を占めている。なお、前回同様10代の感染報告が2件(前回3件)あった。

  3. 地域別に見ると、今回、東京での新規HIV感染者報告数が84件と前回の49件から大幅な増加を示している。

  4. 平成15年7月から9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は13,731件(前年同時期12,449件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,805件(前年同時期2,832件)、保健所における相談件数が30,629件(前年同時期28,873件)であり、前年同時期と比較すると大幅に増加している。

    なお、検査・相談の体制については、厚生労働省としても地方自治体の協力のもと、夜間・休日検査等、その利便性の向上に努めているところである。
    (平成14年7月〜9月末までの保健所における検査件数は12,449件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は2,832件、保健所における相談件数は28,873件)

  5. 平成15年1月〜9月の献血件数(速報値)は4,219,861件で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は48件、10万件当たりの陽性件数は1.137件であった。

  6. 今回の報告はHIV感染者では前回報告と比較して増加を示したが、前年同時期報告より少ない。また、AIDS患者は、前回、前年同時期いずれと比較しても少なめである。

    一方、保健所の検査・相談件数は前年同時期と比較すると増加を示しているが、前回(検査15,618件、相談33,909件)と比べると少ない。検査へ導く普及啓発を更に充実させるとともに、12月1日の世界エイズデー等あらゆる機会を通じて普及啓発事業をさらに推進していく必要がある。
結果報告
  1. 本日の委員会では、平成15年6月30日より平成15年9月28日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成15年7月1日から9月30日までの任意報告を解析した。

  2. 平成15年6月30日より平成15年9月28日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は71件、新規HIV感染者数は152件であった。

    患者71件、感染者152件の内訳は、
    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者23件、感染者41件、同性間の性的接触による患者22件、感染者89件、その他の原因による患者2件、感染者4件、原因不明の患者23件、感染者18件であった。
    (2) 性別では男性患者60件、感染者134件、女性患者11件、感染者18件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は10歳未満1件、20代2件、30代26件、40代20件、50歳以上22件、感染者は、10代2件、20代44件、30代61件、40代25件、50歳以上20件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者55件、感染者127件、外国人患者16件、感染者25件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者41件、感染者121件、海外で感染した患者11件、感染者11件、感染地域不明患者16件、感染者20件であった。

  3. 患者71件、感染者152件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者23件、感染者41件のうち日本人男性は、患者11件、感染者20件、日本人女性は、患者4件、感染者6件であった。また、外国人男性は、患者6件、感染者4件、外国人女性は、患者2件、感染者11件であった。
    (2) 日本人男性患者50件のうち10歳未満1件、20代1件、30代15件、40代12件、50歳以上21件、日本人男性感染者120件のうち、10代2件、20代32件、30代47件、40代22件、50歳以上17件であった。また、日本人女性患者5件のうち、30代3件、40代1件、50歳以上1件であった。日本人女性感染者7件のうち20代2件、30代3件、40代1件、50歳以上1件であった。
    (3) 外国人男性患者10件のうち、30代4件、40代6件、外国人男性感染者14件のうち、20代3件、30代9件、40代1件、50歳以上1件であった。また、外国人女性患者6件のうち、20代1件、30代4件、40代1件、外国人女性感染者11件 のうち、20代7件、30代2件、40代1件、50歳以上1件であった。
    (4) 国内感染による患者44件のうち日本人男性が37件、日本人女性が4件、外国人男性が2件、外国人女性が1件であった。また、国内感染による感染者121件のうち 日本人男性が106件、日本人女性が4件、外国人男性が5件、外国人女性が6件で あった。
    (5) 海外感染による患者11件のうち日本人男性が5件、外国人男性が4件、外国人女性が2件であった。 また、海外感染による感染者11件のうち日本人男性が3件、日本人女性が1件、外国人男性が3件、外国人女性が4件であった。

  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告1件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡3件はエイズが原因が2件、その他の原因が1件であった。
    (3) 死亡報告3件のうち20代1件、30代2件であった。

  5. 平成15年7月から9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は13,731件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は3,805件、保健所における相談件数は30,629件であった。

  6. 平成15年1月から9月末日までの献血件数4,219,861件(速報値)のうち、HIV陽性件数は48件であった。