平成16年1月27日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成15年9月29日より平成15年12月28日までの約3ヶ月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は194件、新規AIDS患者報告数は106件であり、HIV感染者、AIDS患者共に前回及び前年同時期と比べて大幅増となった。
    (前回:HIV感染者152件・AIDS患者71件)
    (前年同時期:HIV感染者139件・AIDS患者61件)

  2. 感染経路別に見ると、HIV感染者では、同性間性的接触によるものが100件(前回89件)、異性間性的接触によるものは58件(前回41件)であった。

    一方、AIDS患者では、同性間性的接触によるものが28件(前回22件)、異性間性的接触によるものが47件(前回23件)であった。

    年齢別に見ると、これまで同様、HIV感染者では20代〜40代、AIDS患者では30代以上の占める割合が高い。前回(2件)同様10代の感染報告が3件(うち女性2件)であった。

    以上のように、HIV感染者・AIDS患者いずれについても、同性間性的接触・異性間性的接触によるものが増えている。

  3. 地域別に見ると、今回、大阪府での新規HIV感染者報告数が31件と前回の13件から大幅な増加を示している。

  4. 平成15年10月から12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は15,232件(前回13,732件、前年同時期14,988件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数は4,930件(前回4,119件、前年同時期3,901件)、保健所における相談件数が32,519件(前回30,743件、前年同時期29,405件)であり、自治体が実施する保健所以外の検査件数が前年同時期と比較して大幅に増加している。

  5. 平成15年1年間の献血件数(速報値)は5,621,096件で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は87件であった。10万件当たりの陽性件数は1.548件となっており、平成12年(1.140件)以降毎年増加している。

  6. 平成15年1年間の新規HIV感染者報告数(速報値)は、前年最終報告に比べて現在のところ13件多い627件であり、過去最高の621件(平成13年確定値)を超えている。新規AIDS患者報告数(速報値)は、前年最終報告に比べて18件多い326件であった。

  7. 平成15年1年間の速報値からは、HIV感染者報告数は現時点で過去最高を記録している。さらに、献血陽性件数についても現時点で過去最高を示している。このように感染者が着実に増えていることを国民は知ってほしい。こうした状況は、血液製剤の安全性にも少なからぬ影響を与えかねない。

    平成15年の保健所における検査件数は59,237件(前年49,429件)、保健所以外における検査件数は16,302件(前年12,223件)となっている。(いずれについても前年に比べて2〜3割程度の増加)

    特に大都市においては、時間や場所等に関して、より利便性の高い検査体制を整備すると同時に、普及啓発の更なる充実を図る必要がある。

 

結果報告
  1. 本日の委員会では、平成15年9月29日より平成15年12月28日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成15年10月1日から12月31日までの任意報告を解析した。

  2. 平成15年9月29日より平成15年12月28日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は106件、新規HIV感染者数は194件であった。患者106件、感染者194件の内訳は、
    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者47件、感染者58件、同性間の性的接触による患者28件、感染者100件、静注薬物濫用による患者2件、感染者1件、その他の原因による患者5件、感染者4件、原因不明の患者24件、感染者31件であった。
    (2) 性別では男性患者88件、感染者173件、女性患者18件、感染者21件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代12件、30代27件、40代29件、50歳以上38件、感染者は、10代3件、20代61件、30代66件、40代42件、50歳以上22件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者88件、感染者172件、外国人患者18件、感染者22件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者71件、感染者150件、海外で感染した患者14件、感染者17件、感染地域不明患者21件、感染者27件であった。

  3. 患者106件、感染者194件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者47件、感染者58件のうち日本人男性は、患者35件、感染者37件、日本人女性は、患者6件、感染者11件であった。また、外国人男性は、患者2件、感染者6件、外国人女性は、患者4件、感染者4件であった。
    (2) 日本人男性患者78件のうち20代10件、30代15件、40代20件、50歳以上33件、日本人男性感染者159件のうち、10代1件、20代51件、30代55件、40代33件、50歳以上19件であった。また、日本人女性患者10件のうち、20代2件、30代2件、40代4件、50歳以上2件であった。日本人女性感染者13件のうち10代2件、20代3件、30代4件、40代1件、50歳以上3件であった。
    (3) 外国人男性患者10件のうち、30代4件、40代4件、50歳以上2件、外国人男性感染者14件のうち、20代4件、30代3件、40代7件であった。また、外国人女性患者8件のうち、30代6件、40代1件、50歳以上1件、外国人女性感染者8件のうち、20代3件、30代4件、40代1件であった。
    (4) 国内感染による患者71件のうち日本人男性が59件、日本人女性が8件、外国人男性が4件であった。また、国内感染による感染者150件のうち日本人男性が135件、日本人女性が11件、外国人男性が4件であった。
    (5) 海外感染による患者14件のうち日本人男性が6件、外国人男性が1件、外国人女性が7件であった。また、海外感染による感染者17件のうち日本人男性が10件、外国人男性が3件、外国人女性が4件であった。

  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告1件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡5件はエイズが原因が4件、その他の原因が1件であった。
    (3) 死亡報告5件のうち20代1件、40代1件、50歳以上3件であった。

  5. 平成15年10月末から12月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は15,232件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は4,930件、保健所における相談件数は32,519件であった。

  6. 平成15年1月から12月末日までの献血件数5,621,096件(速報値)のうち、HIV陽性件数は87件であった。