平成16年4月26日

委員長コメント
  1. 今回の報告期間は平成15年12月29日から平成16年3月28日までの約3か月であり、法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は150件(前回194件)、新規AIDS患者報告数は69件(前回106件)であった。

    ただし、前年同時期の新規HIV感染者報告数は146件、新規AIDS患者報告数は68件であり、減少に転じたとは言えない。

  2. 感染経路別に見ると、新規報告のHIV感染者では同性間性的接触によるものが78件(52%)と最も多く、そのうち74件が日本国籍男性であった。

    また、異性間性的接触による新規感染者報告数は41件(27%)であり、不明例を除くと感染経路のほとんど(97%)が性的接触である。

    一方、新規報告のAIDS患者では同性間性的接触によるものが32件(46%)、異性間性的接触によるものが17件(25%)で、感染者・患者のいずれも同性間性的接触によるものが最も多くなっている。

    年齢別では、感染者・患者ともに30代の占める割合が高く、10代の感染者が7名と過去最高の報告となっているが、そのうち4件は外国国籍であった。

    性別でみると、感染者・患者とも85%以上を男性が占めており、前回の報告と同様の傾向が見られる。

  3. 平成16年1月から3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は15,783件、相談件数が33,801件であり、検査・相談ともに前年同時期に比べ、わずかながら増加していた。

  4. 平成16年1月から3月の献血件数(速報値)は1,374,281件で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は14件、10万人当たりの陽性人数は1.019人であった。

  5. 今回の報告では、HIV感染者・AIDS患者いずれも前回よりは少ない。

    日本国籍男性AIDS患者のうち同性間性的接触による患者数(28人)については、前回(24人)よりも増加し、かつ、異性間性的接触によるもの(11人)を凌駕したことが注目される。

 

結果報告
  1. 本日の委員会では、平成15年12月29日より平成16年3月28日までの感染症法に基づく患者・感染者報告並びに平成16年1月1日から3月31日までの任意報告を解析した。

  2. 平成15年12月29日より平成16年3月28日までの間に感染症法に基づき報告された新規エイズ患者数は69件、新規HIV感染者数は150件であった。

    患者69件、感染者150件の内訳は、
    (1) 感染原因別では、異性間の性的接触による患者17件、感染者41件、同性間の性的接触による患者32件、感染者78件、母子感染による感染者1件、その他の原因による患者2件、感染者3件、原因不明の患者18件、感染者27件であった。
    (2) 性別では男性患者59件、感染者128件、女性患者10件、感染者22件であった。
    (3) 年齢区分別では、患者は20代7件、30代24件、40代20件、50歳以上18件、感染者は、10代7件、20代43件、30代54件、40代29件、50歳以上17件であった。
    (4) 国籍別では日本人患者55件、感染者129件、外国人患者14件、感染者21件であった。
    (5) 感染地域別では、国内で感染した患者53件、感染者122件、海外で感染した患者3件、感染者9件、感染地域不明患者13件、感染者19件であった。

  3. 患者69件、感染者150件のうち
    (1) 異性間の性的接触による患者17件、感染者41件のうち日本人男性は、患者11件、感染者23件、日本人女性は、患者3件、感染者10件であった。また、外国人男性は、患者1件、感染者3件、外国人女性は、患者2件、感染者5件であった。
    (2) 日本人男性患者49件のうち20代4件、30代18件、40代13件、50歳以上14件、日本人男性感染者117件のうち、10代2件、20代37件、30代41件、40代23件、50歳以上14件であった。また、日本人女性患者6件は30代2件、40代2件、50歳以上2件、日本人女性感染者12件のうち10代1件、20代2件、30代5件、40代2件、50歳以上2件であった。
    (3) 外国人男性患者10件のうち、20代2件、30代3件、40代4件、50歳以上1件、外国人男性感染者11件のうち、10代2件、20代2件、30代3件、40代3件、50歳以上1件であった。また、外国人女性患者4件のうち、20代1件、30代1件、40代1件、50歳以上1件、外国人女性感染者10件のうち、10代2件、20代2件、30代5件、40代1件であった。
    (4) 国内感染による患者53件のうち日本人男性が42件、日本人女性が6件、外国人男性が4件、外国人女性が1件であった。また、国内感染による感染者122件のうち日本人男性が104件、日本人女性が10件、外国人男性が6件、外国人女性が2件であった。
    (5) 海外感染による患者3件のうち日本人男性が2件、外国人男性が1であった。また、海外感染による感染者9件のうち日本人男性が3件、日本人女性が1件、外国人男性が2件、外国人女性が3件であった。

  4. 任意報告により
    (1) キャリア等からエイズ患者になったとの報告4件であった。
    (2) 患者・感染者の死亡5件はエイズが原因が4件、その他の原因が1件であった。
    (3) 死亡報告5件のうち30代1件、40代1件、50歳以上3件であった。

  5. 平成16年1月から3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は15,783件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は4,480件、保健所における相談件数は33,801件であった。

  6. 平成16年1月から3月末日までの献血件数1,374,281件(速報値)のうち、HIV陽性件数は14件であった。